新・ことば事情
5537「ユリの数え方は本?輪?」
7月24日、お昼のニュースの前に、報道のWデスクが、
「つかぬことを伺いますが・・・」
と、私のデスクの所にやって来ました。
「お昼のニュースでユリ園のニュースをするのですが、ユリの花を数える時は『本』でしょうか?それとも『輪』でしょうか?」
「えー?『本』でいいんじゃないの?」
「そうですよね。でも現地の記者が、『250万輪』でいきたいって言って来てるんですけど・・・」
「『輪』は『一輪挿し』とか、『2輪、3輪』とか一桁なら分かるけど『250万輪』って聞いたことがないなあ。一応調べてみるね。」
飯田朝子さんの『数え方の辞典』(小学館)を引くと、
「ゆり【百合】=本、株、輪=植物としては『本』『株』で数えます。花は『輪』で数えます」
とありました!そうだったのか!
しかし1本の茎から、いくつか花が咲いていることもあるし、「本」と「輪」の数は、必ずしも一致しないですよね。
「本」<「輪」or「本」=「輪」
ということですね。「たくさんユリがある」ことをPRしたい「ユリ園」としては、「輪」を使いたがる気持ちもわかります。また、「植物の数」としての「本」よりも、「ユリ園」としてのメインは「花」でからね。
実際の「ユリ園」のホームページでの紹介文をいくつか調べてみました。すると、
*「可睡(かすい)ゆりの里」(静岡・袋井市)
=3万坪に広がる、世界150品種のゆりの競演
*「ところざわのゆり園」(埼玉・所沢市、西武鉄道)
=約3万㎡の自然林に咲き誇る50種類・約45万株のゆり
*「大阪舞洲ゆり園」(大阪・大阪市)
=シーサイドに200万輪のゆりが咲き誇る
*「ダイナランドゆり園」(岐阜・郡上市高鷲町)=毎日新聞のサイトより
=約5万7000㎡に、約50種360万輪が咲き誇る
ということで、
「品種」「株」「輪」
が使われていましたね。
結局、本番のニュースでは、テロップ・ナレーションとも、
「250万輪」
で放送しました。意外と違和感はありませんでした。
でも「ゆり園」のPR文章では、
「咲き誇る」
が決まり文句のようですねえ。