新・読書日記 2014_112
『果つる底なき』(池井戸潤、2001、6、15第1刷・2011、10、3第17刷)
ことしの夏休中に読んだ6冊の内の1冊。唯一の小説。
第44回江戸川乱歩賞受賞作。1998年9月の単行本は出ているから、もう16年前の本。しかし、文庫本が2001年に出てからの10年で、なんと17刷というロングセラーだ。「倍返しだ!」の「半沢直樹」の著者だが、同じように銀行が関係しているけれども、もっとハードボイルドな感じがした。「逢坂剛」的な感じ。とにかく次々と人が死ぬ。
「16年前」という「時代感」は、こんなところで感じられた。
「留守電の点滅を見ながら」(99ページ)
「まるで茶店(サテン)だな」(122ページ)
「公衆電話ボックス脇で車を停め難波からもらったメモの番号に掛けてみた」(333ページ)
つまりこれは、「携帯電話がない時代」の小説である。
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