新・読書日記 2014_110
『街場の憂国会議~日本はこれからどうなるのか』(内田樹・編、晶文社:2014、5、10)
「街場の~」という内田樹さんの一連のタイトルは決して好きではないのだが、ついつい呼び込まれてしまう魅力がある。今回は内田さんだけでなく、小田嶋隆・想田和弘・高橋源一郎・中島岳史・中野晃一・平川克美・孫崎亨・鷲田清一という、まあ、大体顔ぶれを見れば「右か?左か?」で言うと「左寄り」の人たちの意見を集めたものという感じですねえ。「憂国」というタイトルは「右」っぽいですが。私は、想田さんの文章を読みたいと思って購入。
「まえがき」に続いて書かれた「株式会社化する国民国家」(内田樹)というのは、まさに堤未果さんの『(株)貧困国家アメリカ』と同じ考え方でないか!「新自由主義」の行きつく先は同じなんですね。想田和弘さんは「安倍政権による『民主義の解体』が意味するもの」とう論文で、自民党の憲法試案を分析して読み解いている。それによると、今の自民党が目指す理想の国家像は、「国民の基本的人権が制限され、国家権力がやりたい放題できる、戦争のできる全体主義の国」だと。そして安倍・自民党の目指す究極の目標は「ネオ・開発独裁」とも言うべき「企業主権のための独裁政治体制の構築」であると。おお、やはり「株式会社化」といい「企業主義」といい、なんだか「個人」よりも「法人」が優遇されるような、そんな感じがするな・・・。9月の内閣改造で、どういう一歩を踏み出すのか、注目である。
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