新・読書日記 2014_104
『叱られる力~聞く力2』(阿川佐和子、2014、6、20)
タイトルにもある通り、あの150万部の大ベストセラー(と帯に書いてあるが、つい先日、本屋さんで見たら、いつのまにか『160万部』になっていた。この『叱られる力』が出たことで、前著もまた一気に売れているのであろう)『菊地から』・・・いやいや『聞く力』の第2弾と銘打ってますです。聞くだけでなく今度は「叱られる」のか・・・いや、この謙虚さが大事なんだよね、きっと。そう思って読み始めた。帯には、
「親に上司に怒鳴られ続けて60年。『叱られて、叱ってわかることはたくさんある』
前回の『聞く力』は比較的、インタビューなどの「テクニック」や「心構え」中心の話だったように記憶するが、今回は、阿川先輩の経験談・エピソードが中心かな。ま、お説教を聞くつもりで読んでください。
ひとつ気になったのは、120ページと166ページに出て来る、
「野方図」
という言葉。これは当然「のほうず」と読むのでしょうね。これって、普通は、
「野放図」
と書くのではないか?それとも阿川家では、志賀直哉先生は「野方図」と書く伝統があるのか?そう思って『新聞用語集2007年版』を引くと、
「のほうず(野放途・野放図)」→野放図
とありました。やはり新聞・放送ではそうなんだな。でも、『広辞苑』『精選版日本国語大辞典』を引くと、なんと
「野方図・野放途」
の順で載っているが、なんと「野放図」は載ってない!『明鏡国語辞典』は、
「野放図(野方図)」
と、「野放図」も「野方図」もありました。『デジタル大辞泉』は、
「野放図・野方図」
の順で「の」は接頭語、「野」は当て字、とあります。阿川さんが帯で「推薦」している『三省堂国語辞典・第7版』は、
「野放図」
しか載せていません。推薦しておきながら、その辞典の表記は使っていないんだ・・・。道理で、帯の文字に「三国」とは書いていない、「国語辞典」としか・・・。
『新明解国語辞典』も、
「野放図」
しかなく、「表記」の欄に、
「『野放』は借字」
とありました。総合すると、
「『野放途』『野方図』の方が古い表記で、最近は『野放図』と書く」
様ですね。つまり、
「漢字の表記で、年がバレる」
ということのようでした。