新・ことば事情
5516「没取」
保釈されるときに支払う「保釈保証金」や、選挙に立候補するときに払う「供託金」は、一定の基準を満たせば返してもらえます。しかし、もし保釈中に逃げたりしたら、そのお金は返してもらえません。一般的にはそのことを、
「没収」
と言いますが、専門用語ではこれを、
「没取」
というそうです。「ボッシュ」。さらに、弁護士さんの間では「没収」と「没取」は間違い易いので、この「没取」のことを、
「ボットリ」
と言うこともあるそうです。「私立」と「市立」を区別して、
「わたくしりつ」「いちりつ」
と言うような感じですかね。
「ミヤネ屋」で保釈金を「没収」として放送したら、視聴者の方から、
「『没取』が正しい」
とご指摘を受けました。恥ずかしながら、その時点では「没取」という言葉、知りませんでした。そこで、新聞・放送各社に「没取」と言う表現を使っているのかどうか、メールで質問して聞いてみました。
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『さて今回は「保釈保証金」、いわゆる「保釈金」関連で質問です。
「保釈金」を返してもらえないケースのことを、専門用語では
「没取」(ぼっしゅ)
と言うそうですが、われわれはこれまで、
「没収」
という言葉を使って来ました。貴社ではこの場合、
「没取」「没収」
のどちらを使っているでしょうか?ご教示下さい。よろしくおねがいします。
(個人的には、専門用語は「没取」とわかった上で、放送では「没収」を使うのが良いと思うのですが。「競売」を、専門用語の読み方は「けいばい」とわかった上で「きょうばい」と読むように)』
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これに対して、NHK、朝日新聞、毎日新聞、朝日放送の知り合いからお返事を頂きまして、各社とも
「『没取』は使わずに。『没収』を使っている」
ということでしたので、「ミヤネ屋」でも今後は、
「『没収』を使う」
ことにしました。