新・ことば事情
5514「ジャージか?ジャージーか?3」
「平成ことば事情82パーカとジャジー」「平成ことば事情279パーカとジャージー、再発見」に続いて、「ジャージとジャージー」について、「言葉クイズ」の第1回(2007年4月)に書いていました。言葉クイズはこの7月28日分で最終回になりますので、記念に、ここにクイズごと転載しておきます。
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(Q)体育やスポーツをするときに着るのは、どっち?
(A)ジャージー
(B)ジャージ (正解)A
<解説>
本来、ジョギングなどの時に着る運動着は英語で、
「jersey(ジャ\ージー)」
で、アクセントも「ジャ」を高く発音しました。ラグビーの実況中継などを聞いていると、
「左から右に攻める赤のジャ\ージーが○○高校、右から左に攻める白のジャ\ージーが○○高校です」
のように「ジャ」を高く発音しています。
しかし、最近は「平板アクセント」で「ジャ/ージ」と言う人が増え、それに伴って、おしりの「-」も省略されて「ジャ/ージ」と短く呼ぶ傾向があります。
ただ、ほとんどの国語辞典はまだ、
「ジャージー」
という表記になっていて、私が調べた中では『三省堂国語辞典』の見出しが、
「ジャージ(ー)」
とおしりの「-」に( )をつけていました。(当時。)
2007年4月2日の夕刊各紙は、新入社員の入社式の様子を伝えていましたが、この3月に大地震に見舞われたばかりの石川県の輪島市役所の新人さんは、入庁式でみな、
「ジャージー姿」
であったと「-」をつけて書いていました。(朝日・毎日・産経・日経。読売は輪島市役所のことは触れていなかった。)
翌朝(4月3日)の日本テレビ『ズームイン!!SUPER』でも、
「ジャージー姿」
と、字幕・音声とも「伸ばして」伝えていましたが、そのあとの時間帯の『スッキリ!!』では字幕も音声も、
「ジャージ姿」
と短いものでした。
また、リリー・フランキーさんの大ベストセラー『東京タワー~オカンとボクと、時々、オトン』(扶桑社)で、高校時代の著者の様子が描かれている中(136ページ)に、
「一時限目が終わる頃になってもまだボクはベッドの中にいた。すると、アパートのドアを激しく叩く音がする。ジャ-ジのままドアを開けると、新しい担任の先生が立っていた。」
と、後ろを伸ばさない、
「ジャ-ジ」
が使われています。