新・ことば事情
5509「亘ると及ぶ」
「亘る」は「わたる」と読みます。常用漢字ではないので、普通は平仮名で「わたる」と書きます。
7月15日の「ミヤネ屋」で放送した北海道・小樽市と埼玉・川口市での飲酒運転ひき逃げ事件。その中で、加害者の男は、
「12時間にわたる飲酒」
を行っていたという表現が出て来ました。その後に、同じ状況を指して、
「12時間に及ぶ飲酒」
という表現も出て来ました。どちらも間違いではありませんが、
「『わたる』と『及ぶ』のニュアンスの違い」
はどうなるのか?考えてみました。
それによると、
「わたる=長い時間、その影響下にあること」
を指し、一方、
「及ぶ=本来あるべき範囲を超えて、その時間にまで至る」
という感じで「及ぶ」の方が「程度を越える」ニュアンスがあります。それが「マイナス評価」にせよ「プラス評価」にせよ。
それに対して「わたる」は「その範囲まで」という意味に留まっていて、それに対する「評価」は入っていない感じがします。
その意味では、「わたる」の方が、
「プラス・マイナスゼロ=客観的」
で、「及ぶ」は、
「なんと、そんなに長い時間も酒を飲みやがって・・・!」
という「評価」、この場合は「批判・非難の気持ち」が入っている気がしますが、いかがでしょうか?