新・ことば事情
5503「4ハイ目を喫しました」
7月10日のテレビ朝日のお昼のニュースを見ていたら、メジャーリーグのニューヨーク・ヤンキースのマーク君こと田中将大投手が、「4敗目」を喫したというニュースを、女性のアナウンサー(ナレーター)が、
「4ハイ目を喫しました」
と「敗」を半濁音で濁らずに、清音で「ハイ」と読んでいるのを耳にしました。すぐにテレビに向かって、
「4パイだよ!」
と言ったものの、もちろん聞こえるわけではありません。
なぜ濁らずに言ってしまうのか?と考えたのですが、例えば、同じように「ハイ」と読む
「杯」の場合は「4パイ」とは言わず、
「4ハイ」
と「濁らず」に「清音」で言います。もしくは、
「4バイ」
と完全に「濁る」と思います・・・・一応確認してみましょう。日本新聞協会新聞用語懇談会の放送分科会で2008年9月に作った『放送で使用する助数詞』という冊子を見てみると、「4杯」は、
「ヨンハイ」
と「濁らない」と出ていました。備考欄に、「特殊」として、
「太平の眠りを覚ますじょうきせん たった四杯8しはい」で夜も眠れず」
というペリーの黒船来航の有名な狂歌(林子平・作?)を挙げていますが、「4バイ」は載っていませんでした。失礼しました。
つまり、その「4杯」が「ハイ」と濁らないことの影響を受けて、「4敗」も「ヨンハイ」と濁らなかったのではないか?という推測です。
たしかに、その「四杯」の「四(4)」は、「ヨン」ではなく「シ」と呼んでいたが、「死」と同音なので「忌み言葉」としてその発音を避けて「ヨン」になったことから言うと、「ヨンハイ目(4敗目)」でもいいのかもしれない。しかし、「○敗目」というような言葉が生まれたのはかなり新しいと考えられるので、それまでに「シハイ(4敗)」という読み方があったのかというと、それは疑問。「4敗」は最初から「ヨンパイ」だったのではあるまいか?それが、最近の「助数詞が濁らない傾向」につられて「ヨンハイ」となってしまったのではないか?と考えられます。
皆さん、どう思われますか?