新・ことば事情
5502「スマテレ送り」
報道フロアで仕事をしていたら、報道デスクが、
「スマテレ送りで!」
と言っているのが耳に入りました。これまでに何度でも聞いている言葉でしたが、ふと、疑問が生じました。普通、
「○○送り」
と言う場合には、「○○」には「行き先」が入ります。つまり、
「ホテル送り」「病院送り」「島送り」
という具合です。これは何かを「送る」際に、
「どこへ送るのか?」
という「送り先」が最も重要だからでしょう。
ところが、この「スマテレ送り」の場合、「○○」に入っている「スマテレ」とは、
「スマートテレキャスター(略称・スマテレ)」
という、
「素材の伝送方法」
を示しています。なぜか?
取材先で撮影した映像を送る方法には、「マイクロ回線」で送る場合や、通信衛星を使った「SNG」で送る場合、そのほかインターネットのIP回線を使った「スマテレ」こと「スマ-トテレキャスター」や「ロケーションポータブル」「ライブユー」といった機材を使う場合などがあります。もちろん、撮影したテープやデータを記者やカメラマンが持ち返って来る「持ち便」ということもあります。そういった場合には、
「マイクロ送り」「SNG送り」「スマテレ送り」「ロケポタ送り」「ライブユー送り」
というように、
「その伝送方法+送り」
という呼び名になります。いずれも「送り先」は「読売テレビ本社」ですから、「送り」という場合に重要なのは「伝送方法」になるわけです。
つまり、
「『○○送り』の『○○』には(「送り先」ではなく)『伝送方法』が入る」
ということですね。
業界用語についての一考察でした。