京都の夏を彩る「祇園祭」の「山鉾巡行」は、毎年7月17日に行われていますが、「大船鉾」が150年ぶりに復活した今年(2014年)から、「7月17日」に巡行を行う、
「前祭(さきまつり)」
と、一週間後の「7月24日」に巡行を行う、
「後祭(あとまつり)」
の2回に分けられることになりました。これによってより一層、京都の7月は「祇園祭一色」になった気がします。
さて、その「山鉾巡行」の「山鉾」を、「ヤマホコ」と濁らないか、「ヤマボコ」と濁るかについて、「平成ことば事情1264山鉾巡行」、「平成ことば事情2244山鉾巡行2」にも書き、きのう(7月23日)のニコ生「道浦俊彦のことばのことばかり」でも各社の読み方をご紹介しましたが、その中で、
「地元・京都のKBS京都は、どう言っているの?」
という疑問が出ました。さあ、調べてなかったな、ということになって翌日、つまりきょう、たまたまつけていたテレビの「KBS京都」で、「祇園祭・後祭の山鉾巡行」の生中継をしていました。その中でアナウンサーは、
「ヤマホコ巡行」
と「濁らずに」話していました!
「山鉾」だけに気を取られがちですが、実は、「巡行」も気を付けないといけないのです。特に「祇園祭」をよく知らない東京の局のキャスターで、以前、
「ヤマホコ・ジュンギョー」
と読んだ人がいました。「大相撲」じゃないんだから「ジュンギョー」ってことはなかろうと。ああ、「巡行」にもルビを振っておいてやればよかったと思いました。(「山鉾」には「ヤマホコ」とルビを振ってあったんですがね。)
ところで、読売テレビのアナウンス部では、ことしの「祇園祭」を前に、各「山」や「鉾」
の読み方に関しての統一の読み方が出ました。記録としてここに残しておきます。
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『京都祇園祭2014 山鉾(やまほこ)の読みの統一について』
2014年7月1日
昨年(2013年)、暫定的な基準の下で、それぞれの山や鉾の名称とその読みを統一しました。
その基準の優先度を、ことし、あらためて見直し、下記の基準で統一名称を改訂します。
【改訂基準】
① 地元山鉾保存会の公益法人としての届け出名表記に準拠。
② 地元山鉾保存会の公式サイト表記、あるいは鉾町・保存会での表記に準拠。(市による案内高札の表記を除く)
その上で、次の2点について十分考慮する
③ 記者による地元取材での確認内容
④ 著しく人口に膾炙している呼び方、過去のytvニュースでの呼び方
上記の基準に照らしても確定できない場合は、
⑤清音の「○○ほこ」とする。(京都市、および祇園祭山鉾連合会表記に準拠)
いずれもローマ字による「hoko」表記は海外向けの便宜的表記を含む可能性があるため、できるだけ排除しています。
上の基準に照らした各鉾名称の読み一覧を次に記します。(★は昨年から変更のある読み)
「鉾」名称 基準 【町名】(参考)
【濁音】「○○ぼこ」
長刀鉾(なぎなたぼこ) → ①に拠る 【なぎなたぼこちょう】
函谷鉾(かんこぼこ) → ①②に拠る
菊水鉾(きくすいぼこ) → ③④に拠る 【きくすいぼこちょう】
放下鉾(ほうかぼこ) → ①②に拠る
★鶏鉾(にわとりぼこ) → ①②に拠る 【にわとりぼこちょう】
船鉾 (ふねぼこ) → ①②に拠る 【ふねぼこちょう】
【清音】「○○ほこ」
月鉾 (つきほこ) → ①に拠る 【つきほこちょう】
綾傘鉾(あやがさほこ) → ②⑤に拠る
四条傘鉾(しじょうかさほこ)→ ⑤に拠る 【かさぼこちょう】
大船鉾(おおふねほこ) → ①に拠る
※但し、「菊水鉾」については、公益法人としての届け出名表記(①)は清音「ほこ」だが、
一般の呼びならわしでは濁音「ぼこ」が大勢で、過去のニュースでも濁音で読んできていること(⑤)から、今年においてはこれを踏襲しています。今後変わっていく可能性があります。
同様に、上記の基準は2014年7月段階のもので、今後、必要に応じて加えるべき基準を加味しながら、その都度、変更していいきます。
一方、「○○山」については読みにあまり問題はなく、昨年からの変更もありません。
以下、「○○山」の読み一覧です。
郭巨山(かっきょやま)
霰天神山(あられてんじんやま)
蟷螂山(とうろうやま)
油天神山(あぶらてんじんやま)
占出山(うらでやま)
孟宗山(もうそうやま)
太子山(たいしやま)
木賊山(とくさやま)
伯牙山(はくがやま) ※「が」は鼻濁音
芦刈山(あしかりやま)
白楽天山(はくらくてんやま)
山伏山(やまぶしやま)
保昌山(ほうしょうやま)
岩戸山(いわとやま)
橋弁慶山(はしべんけいやま)
北観音山(きたかんのんやま)
鈴鹿山(すずかやま)
浄妙山(じょうみょうやま)
黒主山(くろぬしやま)
南観音山(みなみかんのんやま)
鯉山(こいやま)
八幡山(はちまんやま)
役行者山(えんのぎょうじゃやま)
★山鉾は鉾10基、山23基の、計33基。「山鉾」の読みは「やまほこ」(清音)で確定。
~基準については、主に、山鉾保存会の公益法人としての登録名や、各保存会の公式サイト中の表記に基づいています。しかし、記者による取材での確認内容と食い違う場合は、その都度、報道デスクと相談してください。また、企画取材等のナレーションでは、記者・ディレクターが別の読みを指定することがあるかもしれません。そうした場合は、指定の意図や理由を理解したうえで従って構いません。
このおしらせは、混在する鉾の呼称を便宜上統一するもので、他の呼び方が誤りというわけではありません。ニュースの場で、鉾名の読みが錯綜しないための一助です。ご活用を。
なお、各鉾の名称とは別に「山鉾」の読みはどんな場合でも清音の
「やまほこ」
です。(×「やまぼこ」)
「山鉾巡行」も「やまほこ・ジュンコー」で決まり。「やまぼこ・ジュンギョー」などは二重の誤りになるのでご注意!以上、よろしくお願いします。
ハギー、ご苦労様!
(2014、7、24)