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『道浦TIME』

新・ことば事情

5491「耐食鏡」

 

大阪の地下鉄心斎橋駅でトイレに入った時、用を済ませて手を洗おうとしてふと、目の前の「鏡」に目が行きました。その下のほうにこんな文字が。

「TOTO 耐食鏡」

この、

「耐食」

という文字に目が留まったのです。

「耐蝕」

ではなく「耐食」。何を「食」べるのを「耐」えているのでしょうか?

『広辞苑』を引くと、

「たいしょく【耐蝕・耐食】」=腐食しにくいこと。

両方の表記がありました。『精選版日本国語大辞典』でも、

「たいしょく【耐食・耐蝕】」=金属などの腐食に耐えること。くさったりむしばまれたりしにくいこと。

とありました。そうか、

「腐食」

も、本来は、

「腐蝕」

だったのだな。それが「蝕」が表外字なので「食」で代用していると。

それと同じことが、

「耐蝕→耐食」

でも起きているのですね。『新聞用語集2007年版』で「ふしょく」を引くと、

「腐蝕→ ◎腐食」

となっており、「◎」は、

「国語審議会『同音の漢字による書きかえ』の語」

とありました。

(2014、6、25)

2014年6月25日 15:22 | コメント (0)