新・読書日記 2014_090
『「負け」に向き合う勇気~日本サッカーに足りない視点と戦略』(杉山茂樹、星海社新書:2014、5、22)
ギリシア戦に引き分け、決勝トーナメント進出の望みが限りなくしぼんでしまった現在に読むには絶好の書。本書が出たのはブラジルワールドカップ開幕以前だが、正確にその内容を予言している。例えばB組。スペイン・オランダ・チリ・オーストラリアというこの組は、スペイン・チリ共に「オランダ」の流れをくむ国(チーム)であり、特にチリは伏兵であると。前回、南アフリカ大会でも優勝したスペインと対戦して1-2で敗れたものの、その失点はGKの不用意なミスによるもので、試合内容そのものは決してスペインの圧勝などではなかったと指摘している。
そして、20世紀後半から21世紀の世界のサッカーの潮流を作ったのは「オランダ」、ミホルス(ミケルス)監督であると指摘している。著者の「サッカーの本質を見る目」が正確であることを示していると思う。
その著者が、今後の日本のサッカーに必要とする監督は、
「信念に基づく名言を残せる監督・哲学を持っている監督」
だという。オシムはそういった監督だった。また、ヨハン・クライフがバルセロナの監督をしている時に会ったときに言われた言葉、
「勝利は貪欲に、少々汚くても構わないが、敗れるときは美しく」
というのはまさに名言なのだなあと思った。
あれ?この言葉、どこかで目にした(耳にした)ことがあるような・・・
たしか、故・児玉清さんの本のタイトルにも似たのがあったなあ・・・
「負けるのは美しく」
だ。全く同じ。日本代表も、試合後にブーイングをもらわない試合をお願いしますね。
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