新・読書日記 2014_083
『からくり民主主義』(髙橋秀実(ひでみね)、新潮文庫:2009、12、1)
単行本は2002年6月に草思社から出ているそうです。その意味ではちょっと古いが、いつ書かれたものかを踏まえて読むと、かえって新しい面も。
いま放送している日テレのドラマ『弱くても勝てます』の原作もこの人が書きました。
あとがきを読むと「からくり・民主主義」ではなく「からくり民主・主義」なのだそうです。
本書ではまず、「テレビ番組に対するクレーム」についての考察が。その中に、読売テレビ制作のドラマ『リミット・もしもわが子が』が取り上げられていて、ビックリした。あったな、そんなドラマ。
そのあと、「小さな親切活動」「統一教会とマインドコントロール」「世界遺産観光」「諫早湾干拓問題」「上九一色村とオウム、ガリバーの王国」「沖縄米軍基地問題」「若狭湾原発銀座」「横山ノック知事セクハラ事件」「富士山青木ケ原樹海」「車椅子バスケットボール」と、興味深い話題が並ぶ。
特に「若狭湾原発銀座」は、「東日本大震災」の前に書かれたもの。改めてその意味が増しているのではないか。
また、「世界遺産」の人気があるのはいいんだけど、何となく持っていた違和感が「そうだったのか!」とわかる。
「横山ノック」、懐かしく感じた。
「諫早湾の干拓問題」は、まだ終わっていない。もちろん、「沖縄の基地問題」も。
こうやって見ると、解説(なんと、あの"村上春樹"が書いているのだが)のタイトル「僕らが生きている困った世界」こそが、「からくり民主・主義」社会なのだろうと、ため息を吐く。
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