新・ことば事情
5471「敷居としきみ」
『「サバを読む」の「サバ」の正体~NHK気になることば』(NHKアナウンス室編、新潮文庫)を読んでいたら、
「『敷居』は古くは『閾(しきみ)』ともいいました。部屋などの境界を表すことから、出入り口を意味する場合にも使われます」
とあるではないですか!
「閾(しきみ)」
という「門がまえ」の難しい漢字は、
「閾値(しきいち)」
の「閾(しきい)」ですよね。「しきい」は「しきみ」とも言うのかあ!
ということは、仏壇やお墓に供える植物の、
「しきみ」(しきび)
も「閾」からきてるのでしょうか?
「この世」と「あの世」の「閾」ということなら、意味も通じますが。
『精選版日本国語大辞典』では、「敷居」は、
「『敷き藺(い)』の意、または、『敷き居る』の意から」
と書かれています。同じく『精選版日本国語大辞典』で、御仏前へ供える「しきみ」を引くと、
「しきみ【樒、梻】(「梻」は国字)モクレン科の常緑小高木。各地の山林に生え、墓地などにも植えられる。高さ三~五メートル。(中略)全体に香気があり、枝を仏前にそなえ、葉から抹香や線香をつくる。材は数珠などとする。また節分の夜、柊(ひいらぎ)の代わりに用いる。これは徳川家康が武田信玄との戦いに敗れ、浜松城に逃げ込んだ時、折からの節分に柊がなく、樒を代用した故事によるという。はなのき。しきび。こうしば。こうのき。まっこうぎ。木密。仏前草。樒の木」
とありました。うーん、「閾」とは関係なさそうだなあ。たまたま「音」が同じだったのかもしれませんね。