新・読書日記 2014_088
『沸騰!図書館~100万人が訪れた驚きのハコモノ』(樋渡啓祐、角川oneテーマ21:2014、5、10)
著者は、佐賀県の武雄市長。人口5万人の町の図書館の運営を「TSUTAYA」に任せたところ、大人気の図書館になったという話。そのためにクリアしなければならない困難も多々あったが、頑張りました、と。口絵写真を見ると、とってもいい感じの図書館になっている。帯の文字は「すごい図書館つくりました」。
著者の樋渡市長は、1969年、佐賀県武雄市生まれ(8歳も年下だ!写真を見ると、とってもそうは思えないんだけど・・・失礼)。地元出身。東大を出て総務庁に入ったあと、出向で大阪・高槻市の市長公室長を経験した後、2006年、大臣官房秘書課課長補佐で退職し、当時全国最年少で武雄市長に当選。現在3期目。当時の図書館は、働いている大人が仕事帰りに寄ろうとしてももう早くに閉館しているし、年間の休みの日も多くて利用しにくい!悪い意味での「お役所的施設・サービス」の典型的だった。職業的政治家というのではなかった著者は、それを「利用者目線」にしていくことを目標にした。大阪で言うと橋下知事・市長的な人なんですね。でも、既存勢力(職員・議員など)の抵抗などもあってなかなか困難な道のりだったけど、実際やってみたらとってもうまいこと行って、もう100万人が訪れた「ハコモノ」になってますよ!という成功譚(たん)。読んでいたら、ぜひとも行ってみたくなる図書館です!
でも、あくまで「市長側からの目線」で書かれているので、本当は「反対側」の視線も読まないと、バランスを欠く気がする。ネット上では、賛否両論あるようだ。しかし、「今後の公共図書館の在り方」を考えるうえで、貴重な例だと思う。注目に値する。
それと、新しいものは、最初はものめずらしいので人が集まるが、2年目・3年目と、どうなっていくのかを見守らないといけないと感じた。
ちなみにこの本は、樋渡市長を応援している就職ジャーナリストの石渡嶺司さんに頂きました。ありがとうございました。