新・ことば事情
5446「午前11時半ごろです」
北海道・札幌で、25歳の女性の行方が分からなくなっている事件で、5月7日、地元のテレビ局の記者が、行方が分からなくなったあたりの現場からリポートしていました。
その際の「顔出しリポート」で、
「午前11時半ごろです。あちらが、女性の行方が分からなくなった現場付近です」
と言っていたのを聞いて「おや?」っと思いました。それは、
「午前11時半ごろです」
というコメントの「ごろ」に関してです。
「『現在の時刻』に関してリポートする際に、『ごろ』を付けて言うのは、おかしくないか?」
という点が気になったのです。
「現在、午前11時半です」
「現在、午前11時28分です」
「現在、時刻は正午前です」
「現在、時刻は正午すぎです」
と言うのであれば、違和感なく聞けるのですが、
「現在、午前11時半ごろです」
は違和感があるなあ。なぜだろう?
たぶん、「現在」と言った時には「正確な時刻」が求められるのでしょう。ただ、それは、「○分」と言うように「分単位での正確さ」までは求めていない。「○時前」の様に、
「ややアバウトな時刻表示」
も許されます。「前」(「すぎ」)というのは「前」(「すぎ」)の前に付いている時刻の「少し前の時刻」(「少し後の時刻」)を指しているから。
しかし「ごろ」というのは、
「『前』(『すぎ』)よりも『アバウトさ』が大きい」
のではないでしょうか?しかも、
「その時刻の、『前』か『後』かが、確定されていない」
というところが、「正確さに欠ける」と判断されて、違和感があるのではないでしょうか?
現地でのリポートであれば、より正確な情報を求められている・・・というところなんでしょうね、きっと。