新・ことば事情
5417「缶発泡酒」
いつも飲んでいる「発泡酒」。
「ビール」も好きですが、「発泡酒」も嫌いではない。
コンビニで「缶入り発泡酒」を145円で買って、近くの公園で歩きながら「お手軽夜桜見物」としゃれ込んだ時のこと。
「コンビニで買った缶ビールを片手に夜桜見物、145円。安上がりな幸せ」
と綴って、ふと疑問が。
「『缶ビール』という言葉はあるが、『缶発泡酒』はない。なぜだろう?」
もちろん、「ビール」「缶ビール」に比べて、「発泡酒」という言葉の歴史が浅いことが原因でしょうが、言葉が単に現象を表すのであれば、歴史が浅いか深いか(短いか長いか)に関係なく、そういうふうに呼ばれてもいいのではないか?と思うのですが。
しかし実態として「缶発泡酒」という言葉は耳にしない。私だけ?グーグル検索(4月7日)では、
「缶ビール」=99万5000件
「缶発泡酒」= 6万7900件
ということで「缶発泡酒」という言葉がないわけではありませんが、この中には、
「缶・発泡酒/ビール」「350ml缶(発泡酒)」
のように、たまたま「缶」と「発泡酒」という文字が続いているだけで、一つの単語として「缶発泡酒」があるものばかりではありません。あ、そうだ、これも検索しておこう。
「缶チューハイ」=83万2000件
「缶酎ハイ」 = 9万5900件
「缶チューハイ」は浸透している言葉のようです。
さて、「缶発泡酒」という言葉がなぜ、広がらないか?について考えてみると、そもそも「発泡酒」は、誕生の時から「缶」で販売されていて、「ビン発泡酒」というものが、(それほど)なかったのではないか?ということが"カン"がえられます。
「ビール」というものは、初めは「ビン」しかありませんでした。それが「缶」ビールが出てきたり「生」ビールが出てきたために、従来「ビール」としか呼ばれなかったものが、
「ビンビール」
と呼ばれるようになったと思われます。それと同じようで、しかもそもそも「ビン」がなかった「発泡酒」には、当初形態である「缶」を、わざわざ名乗る必要がなかった。しかも未だに「ビン発泡酒」は登場していない。(あるかもしれないけど、普及していない。)だから「缶発泡酒」という言葉は生まれて来なかったのではないか。
ただ、区別を付ける必要があるのは、
「缶飲料」
の中身が、
「ビールか?発泡酒か?」
ということが問われた場合のみですね。
いいじゃ、どっちでも、おいしければ。
飲めば飲むほど、そう思うのでありました。