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『道浦TIME』

新・ことば事情

5436「切り貼り」

 

STAP細胞の論文を巡り、小保方晴子さんが、論文の写真を「切り貼りした」という原稿の、

「切り貼り」

の読み方について質問を受けました。すなわち、

「キリバリ」か?「キリハリ」か?

「濁る」か?「濁らない」か?という問題です。

辞書を引くと、ほとんどの辞書の見出しは、

「キリバリ」

と濁っています。意味の説明の中に、「キリハリとも」と書いてあるものもありますが。

私の語感では、

「キリハリ」

「濁らない」ので、ちょっと驚きました。

しかし、辞書の記述から考えると、濁る方の「キリバリ」は、

「切ってから、貼りつける」

というように、「貼り方」がメインになっているのに対して、濁らない「キリハリ」は、

「切ったり貼ったりする」

というように、「切る」「貼る」という2つの動作は「並列で同等の扱い」を受けているように感じます。

この2つの動作は、たいてい「切ってから貼る」ことが多いために、これまでは、

「キリバリ」

と濁って「一語の複合語」として扱われてきたのでしょう。それに対して、濁らない「キリハリ」は「新しい言葉」なのではないでしょうか?

今回のSTAP細胞の論文に関しては、

「切ってから貼った」

わけですから、濁る「キリバリ」が妥当であろうという結論に達しました。

その後、各社のニュースを聞いていても、

「キリバリ」

「濁って」読んでいることが多いようです。(読売テレビも含めて。)

これは、「見え隠れ」という言葉と似ているなと思いました。辞書などには、

「ミエガクレ」

「濁って」載っているのだけれど、私たちが読むときは、

「ミエカクレ」

「濁らずに」読むことが多い。

「ミエガクレ」は「隠れ方のひとつ」として、「ちょっと見えている隠れ方」を指し、一方「ミエカクレ」は「見えたり、隠れたり」という「2つの動作を並列で同等に並べている」という場合です。こちらの言葉の方が新しい。

そんな中、4月8日、「みんなの党」の渡辺喜美氏に関連して、江田憲司氏が「濁らず」に、

「きりはり新党」

と言っているのを耳にしました。これはもしかしたら、

「切った、はった」

ということがあるという意味ですかね?

(2014、4、25)

(追記)

4月25日に大阪で開かれた新聞用語懇談会放送分科会でも、この話題が出ました。というか、私が出しました。各社の対応は以下の通り。

★「切り貼り」の読みについて(ytv道浦)

 STAP細胞の論文で、小保方さんがデータを「切り貼り」していたという件。「切り貼

り」の読み方は、「キリバリ」と濁るでしょうか?それとも「キリハリ」と濁らないでしょ

うか?放送ではいかがでしょうか?

→(TBS)統一していない。辞書は「バリ」と「濁る」。

(NHK)「バリ」で放送。「キ/リ\ハリ」は「切る」のと「貼る」のが並列。「キ/リバリ」は「貼る」ほうに重点がある。

(テレビ朝日)若手アナは「キ/リ\ハリ」と濁らない傾向がある。「キ/リ\バリ」は、「針」のように聞こえる。論文に関しては「コピー・アンド・ペースト」がベストの表現ではないか?

(ytv)濁らない「キ/リ\ハリ」に違和感。「キ/リハリ」にも違和感。「キ/リバリ」=「改ざん」だが、若手アナは知らない。

(KTV)「キ/リバリ」に違和感があった。「バリ」だとは知らなかった。

(MBS)決めていない。

(テレビ大阪)若い人は「コピペ」が一番分かりやすいのでは。もしくは「改ざん」。

(ABC)「キリバリ」で放送した。

(テレビ朝日)「キリハリ」だと、(ヤクザの)「切った張った」のようだ。

(日本テレビ)アクセント辞典など辞書では「キ/リバリ」だが、藤井貴彦キャスターぐらいのベテランでも「キリハリ」と読んでいた・・・。ナレーターさんも「キリハリ」と読んでいた。(ネットの日本テレビのサイトでも「切りはり」になっていた)

(新聞協会・伊藤氏)最近は、複合語は連濁する傾向にあるのではないか?「平侍」が「ヒラサムライ」→「ヒラザムライ」、「平仮名」が「ヒラカナ」→「ヒラガナ」、「洗い張り屋」が「アライハリヤ」→「アライバリヤ」と濁る。年代によっても違うかもしれないが。

(NHK)「ATM」も本来は「現金自動アズケハライ機」だが、濁って「アズケバライ機」と言うようになっている。

(日本テレビ)しかし逆に、時間の「3分・4分」を「サンフン・ヨンフン」と濁らない傾向もある。

(MBS)「柿の葉はすし」「回転すし」「越前かに」のように、一般的には「ずし」「がに」と濁って発音するものを、濁らずに清音で書いてあることがある。「田中の柿の葉すし」という商品は、商品名として「すし」と濁らないで読んでほしいとスポンサーに言われる。

(NHK)食品の固有名詞は、たとえ濁って読む場合でも、「表記は濁らず清音で書かれる傾向」がある。「濁音は汚い」という意識があるようだ。清酒「鳴門鯛」の「鯛」は、濁らずに「ナルトタイ」だ。

(テレビ朝日)「コピペ」という言葉、『広辞苑』にはもう載っているが、ニュース原稿で使うのはダメか?→スタジオトーク、フリートークなどでは構わないが、書き言葉・原稿では、まだダメ!

ということでした。

(2014、4、29)

2014年4月30日 11:37 | コメント (0)

新・ことば事情

5435「剛速球か?豪速球か?」

 

「ゴウソッキュウ」(ゴウソクキュウ)

の漢字表記は、「剛速球」でしょうか?「豪速球」でしょうか?

『広辞苑』を引くと、

「豪速球」

でした。

『三省堂国語辞典』「剛速球・豪速球」と並列で。

『新聞用語集2007年版』「剛速球」(「豪速球」とも)と、やはりやや並列。

『読売スタイルブック2014』「剛速球」だけでした。

『明鏡国語辞典』『デジタル大辞泉』『精選版日本国語大辞典』『岩波国語辞典』『新明解国語辞典』『新潮現代国語辞典』には載っていませんでした。

グーグル検索(4月27日)では、

「剛速球」=35万2000件

「豪速球」=23万6000件

「剛速球」の方が多かったです。そこで、「ミヤネ屋」の特集では、

「剛速球」

でいくことにしました。

(2014、4、27)

2014年4月29日 23:32 | コメント (0)

新・ことば事情

5434「せんすいし」

 

「ミヤネ屋」のスタッフが、

「セ/ンス\イシ」

と言っているのを聞いて、

「扇子石」

と聞こえました。なんだ?「扇子石」って?

もちろんこれは、

「潜水士」

です。韓国の旅客船沈没事故に関連しての話だったのですが、全体の話を全然聞いていなくて、この「センスイシ」という言葉だけが耳に飛び込んで来たので、一瞬、耳を疑ってしまうイメージが浮かんだのですね。

私はふだんあまり「潜水士」になじみがないから、よりなじみのある「扇子」「石」に置き換えて聞き間違えたんだなあ!

あ、これって「聞き間違い」の原因の一つではないか?「言い間違い」とは別に、受け取る側が間違う要因ですね!こないだの

「ドームツア-」→「動物園」

も発音が似ているとともに、

「『聞き手にとってなじみのない言葉』は『なじみのある言葉』に置き換えて聞く」

んですね!「空耳アワー」はそうやってできているんだ!

爆笑の「バーレーンサッカー実況」もそうだな。聞いたこともないアラビア語が、

「むっちゃ、風邪ひいてん」

「冷房ボタン勝手に押さないで」

「札幌!やわらかい札幌!」

などと、ヘンな日本語に聞こえるんですから。こちらの知ってる言葉に結び付けちゃうんだね。いろいろと分かって来ました!

(2014、4、29)

2014年4月29日 21:29 | コメント (0)

新・ことば事情

5433「ドームツアー」

 

4月のニコ生「道浦俊彦のことばのことばかり」で、2か月ぶり出演(先月は急病でお休み)の「ヤマンゴ」こと山本隆弥アナウンサーが、

「こないだ、福山雅治さんの"ドーブツエン"行って来たんですよ」

と言うので、

「え?福山雅治の"動物園"??」

と聞き返すと、

「違いますよ!"ドームツアー"ですよ!」

「・・・・ああ、"ドーム・ツアー"」

と理解できました。私の耳が悪いのかな?とも思ったのですが、その場にいた脇浜紀子アナウンサーも、

「『動物園』に聞こえた」

と言っていましたので、これは、

「ヤマンゴのカツゼツが悪い」

という結論に落ち着いたのですが、「ドームツアー」と「動物園」は音が似ているのか?

doomutuaa」「ドームツアー」

doobutuen」「ドーブツエン」

あ、似ている!「ム」と「ブ」の音が似ているのと、最後の「アー」で伸ばす音に「に」がくっつくと「エン」をあいまいに言ったような音になるので、やはり滑舌が悪いと同じように聞こえる恐れがあります。

それとともに、

「ドームツアー」

という言葉に、私はなじみがありません。そもそも、野球などのスポーツを行う場所として「ドーム球場」は建てられましたが、野球などがない時に、何万人も集められるイベント会場として貸し出されている現状では、

「何万人もののお客さんを集められるアーティストなどの人気のバロメーター」

として「ドームツアー」という言葉が一般的になって来たのでしょうね。しかし私は、

「武道館ライブ」

までは(たとえ行ったことがなくても)なじみがあるのですが「ドームツアー」には、なじみがないのです。

おそらく、そういうものによく行っていて、あるいは、よく耳にしていてなじみのあるヤマンゴは、何の迷いもなく「ドームツアー」と言ったのでしょうが、あまり聞いたことのない言葉を聞き取るのは、難しいのです。そういった要因もあって、より、耳になじみのある「動物園」と聞き間違ったのでしょう。ちょうど「アクセントパターン」も似ているんですよね。

「ド/ームツ\アーニ」

「ド/ーブツ\エンニ」

様々な要因が、この聞き間違いを誘発したのだとわかりました。

(2014、4、29)

2014年4月29日 18:27 | コメント (0)

新・読書日記 2014_052

『シェフvs主婦 料理バトル厳選レシピ』(ぴあMOOK関西:2014、5、10)

 

関西情報ネット「ten.」の名物コーナー「シェフvs主婦 料理バトル」で5年間に紹介した料理250点から厳選された50点のレシピ集。4人前で1000円以内というお手軽な材料費で出来ているとは思えない料理の数々が、綺麗なカラー写真で紹介されています。作ってみようかな?でも結構、複雑な...プロ級なんですよねー、主婦の皆さんの料理も。もう「プロ主婦」みたいで「シェフ」に完勝したりするんですから・・・すごいです。関西の方は、番組も見てね!

 


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(2014、4、24読了)

2014年4月27日 23:19 | コメント (0)

新・ことば事情

5432「『お』と『ご』」

 

「御」を「お」と読むか「ご」と読むか?

は、その後に来る言葉が「和語か?漢語か?」によるというのが原則です。つまり、

「お」+「和語」

「ご」+「漢語」

ということですが、実はこれにはたくさん「例外」があるのでややこしい。例えば、

「電話」

漢字2文字ですので「漢語」だと思いますが、

「ご電話」

とは言いませんね。絶対に、

「お電話」

と言いますね。これは「電話」という漢語が、既に「和語並み」に我々の生活の中に溶け込んでいることを示すのだと思います。

しかし、生活に溶け込んでいても「ご」とも「お」とも言うことがあります。

「返事」

「漢語」だと思いますが、

「ご返事」「お返事」

両方とも使いますよね。これは「漢語」が「和語」に溶け込む途中だということなのでしょうかね?

そもそも、「お」が付くかどうかは、

(1)  その物が、敬語・美化語を使うに値する「尊敬の対象」の物であること。

(2)  文脈上「お」「ご」を使う文章の中で出て来ること。

(3)  文脈の中で並列で使われる片方の物に「お」「ご」が付いている場合。

等が考えられます。

(1)で言うと、関西弁や幼児語では「古くからの食べ物」に「お」が付きます。例えば、

「お豆」「お米」「お芋」「お豆腐」「お揚げ」「お餅」「おかき」

といった具合です。これはもしかしたら、宮中の「女房詞」の影響があるかもしれません。(女房詞では、「豆腐」は「おかべ」と言ったり「お餅」は「おかちん」と言うなど、別の言い方があったりするのですが)

(2)で言うと、これはまさに「敬語の使い方」の中の分類ですね。

「お返事」「ご返事」「お電話」「ご本」「お尋ね」「ご努力」

などは、これにくくられますね。

(3)で言うと、そもそも「外来語」には「お」も「ご」も付かないので、放送では「誤った使い方」とされる、

「おビール」「おコーヒー」

などが挙げられます。これはたぶんですが、こういった言葉と一緒に出されるのが、

「『お酒』になさいますか?それとも『おビール』?」

「『お紅茶』になさいますか?それとも『おコーヒー』?」

みたいな使われ方なのではないかと。「お酒」と言っているので、そのバランスで「ビール」にも「お」を付けて「おビール」になるのではないかなあと思います。(でも「ウイスキー」は言いにくいから、「おウイスキー」とは言いませんね。)「紅茶」に「お」を付けるのもあまり好きではありませんが、「お茶」は「お」が付くんだから「お茶」の一種である「紅茶」に「お」が付いてもおかしくないという判断なのでしょうか?それで、一緒に提示される飲み物の「コーヒー」も、バランスを取って「お」が付いて「おコーヒー」になるのではないかと思われます。

「調味料」の場合で「お」が付くのは、

「砂糖・塩・酢・醤油・味噌」

これらは、

「お砂糖・お塩・お酢・お醤油・お味噌」

と、全て「お」が付きます。お気づきの様に、"調味料の基本"と言われる5つ、

「さ・し・す・せ・そ」

ですね!ここに入っていない物でも大事な、「出汁(だし)」は、「お」が付いて、

「お出汁」

と言います。でも「みりん」は、

「おみりん」

とは言いません。外来語でも身近な「ソース」は、

「おソース」

と言いますね。

野菜で「お」が付くのは、

「豆」「ネギ」「芋」「大根」

「お」が付かない物は、

「白菜」「キャベツ」「キュウリ」「ごぼう」「セリ」「タケノコ」「レタス」「蓮根」「蕗(ふき)」

略語になると、「カボチャ」は、

「おカボ」

という言い方もします。「キノコ」類は「お」が付きません。

「松茸」「シイタケ」「エノキ(ダケ)」「マイタケ」

果物で「お」が付くのは、

「みかん」「りんご」

ぐらいですかね?「お」が付かないのは、

「バナナ」「パイナップル」「スイカ」「キーウイフルーツ」「グアバ」「グレープフルーツ」「ブドウ」「桃」「スモモ」「メロン」「サクランボ」などなど。

考えれば考えるほどわからなくなってくる気がします。

こりゃあ、外国人の方は覚えきれないよなあ・・・。

(2014、4、21)

2014年4月27日 21:19 | コメント (0)

新・読書日記 2014_051

『大学教授がガンになってわかったこと』(山口仲美、幻冬舎新書:2014、3、30)

 

山口仲美先生と言えば、埼玉大学などで教鞭を執られ、現在は明治大学の教授。1943年生まれ日本語の先生で、本もたくさん書かれている。擬態語などに詳しく、若者(大学生)の言葉に関しての本も出されている。これまでに何冊も本を読んだことがある。その山口先生が、ガンの闘病生活をされていたとは!ビックリしました。

2009年に大腸ガン、2013年に膵臓ガン。

プロローグに、

「あ~あ、死期は近いのう。」

と記している。自らの病も客観的に見られるというのは、すごい。如何に病院を選び、医師を選び、悩み、決断をし、闘病しているかが、それほど湿っぽくない筆致で記されていた。でもやはり、相当悩まれたのであろうなあと推測する。懸命の闘病は、今も続いているのだろう。頑張ってください!


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(2014、4、9読了)

2014年4月27日 19:17 | コメント (0)

新・ことば事情

5431「電車内での化粧」

 

これは「ことば」とは直接関係ないですが、けさの通勤途中の電車内でのできごと。静かな車内に急に中年の男性の声が聞こえて来ました。携帯電話で話しているぐらいの大きさの声です。しかしそれは携帯の通話ではなく、なにやら"モメゴト"っぽい感じ。そちらの方を見ないようにしながら、耳だけそちらにピント?を合わせて聞いていると、どうやら車内で化粧をしている女性に対する言葉のようです。

「知ってますか!?大体、電車内で化粧をするなんて、海外じゃあ"売春婦"だと思われるんですよ!」

声は押さえてはいるが、かなりキツイ物言いです。女性がこれに何か答えているかどうかは、わかりません。女性の声は聞こえて来ません。声の方向から察すると、座っている人ではなく、立っている男の人のようです。すると、その化粧をしている女性も、立ったまま化粧をしているのでしょうか?おそらくそうなのでしょう。声はその後は続くことなく、収まったようです。ちょっと、ホッとしました。

「電車内の化粧」と言えば、先日、やはり通勤電車の中で、吊革をつかんで立ちながら本を読んでいて、ふと隣りに立っているOLらしい女性の方を見ると、立ったまま化粧をしていました。化粧の粉がこちらに付くと嫌だなあなどと思い、少しいやーな気がしましたが、よく見るとその女性は、

「立ったまま、『眉毛』を描いている」

のです!走っている電車の中ですよ。いつ急ブレーキがかかるか、揺れるかもしれない電車の中で立ったまま眉毛を描く!これは「木下大サーカス」クラスのスリルではないですか!もし、ガクン!と揺れたら、眉毛は無残な姿に。落書きされたような顔で会社に行くのでしょうか???これって、もしそうなったら、誰の責任?運転士?いやいや、電車の中で立ったまま眉を書いている"本人の責任"としか言えないでしょうね、さすがに。

しかし、ジーッと見つめるのも失礼だと思って、あんまりじっくりとは真横の女性の方を見られなかったのですが、ここで一つ疑問が。

「この人は、鏡も何も見ずに『眉毛』を描けるのか?」

ということです。「口紅」の場合は、まあ唇が出っ張ってるから、感覚だけで塗ることはできるかもしれませんが、さすがに「眉毛」をフリーハンドで描いたら、

「福笑い」

みたいになるのではないでしょうか?眉毛を描いたことがないのでわかりませんが。

ドキドキしながら横の様子をうかがっても、右手は眉毛を描く筆、左手は吊り革をつかんで立っています。鏡らしきものはありません。

あ、もしかしたら「窓ガラス」に映る自分の顔を見て描いているのでは?いや、それも「夜」なら、顔が映るかもしれないが、今は「朝」。外が明るいから「顔」は映らない。うーん、本当に何も見ずに描いているのか?

降りる駅が近付いてきた時に、もう一度、ソッと横の人の様子をうかがうと、答えが出ました。なんとその人は、

「吊革を握った左手に『スマホ』を持っていた」

のです。その電源の入っていないスマホの暗い画面に自分の顔を映して、「眉毛」を描いていたのです!

うーん、「スマホ」って、電源が入ってなくても使えるんだ。

キレイに眉毛を描き終えたその女性は、颯爽と電車を降りて行ったのでした・・・・。

(2014、4、24)

2014年4月24日 21:32 | コメント (0)

新・ことば事情

5430「ジョージ王子動物園で公務」

 

「ミヤネ屋」の中で、日本テレビからニュースを伝えるコーナーがあります。大体、14時50分ぐらいから始まるので、我々は「250(ニーゴーマル)」と呼んでいます。その項目をマルチ画面に背景として出すのです。4月21日、その文字をチェックしていたときのこと。イギリスのジョージ王子が訪ねている先のオーストラリアの動物園を訪問したというニュースでした。その項目を見て「アッ!」と思いました。

画面に打ちだされた文字は、

「ジョージ 王子動物園で公務」

ち、違う違う!文字は一字一句間違ってないけど「王子動物園」とちゃう!正しくは、

「ジョージ王子 動物園度公務」

です!関西以外の人はわからないかもしれませんが、

「王子動物園」

というのは神戸にある、関西では有名な動物園なのです。オペレーターさんが「関西人」だったので、つい、漢字がつながっていてなじみ深い、

「王子動物園」

を優先して、「ジョージ」って一体誰だろうなあと思いながら、

「ジョージ 王子動物園で公務」

としてしまったたんでしょうね。でも、ジョージ(王子)が神戸の王子動物園を訪れたら、もっと日本で話題になって盛り上がっていると思うよ!来てませんから、神戸には!

もし、ジョージ王子が王子動物園を訪れたら、

「ジョージ王子王子動物園で公務」

となるのでしょうか?

「ジョージオージオージ動物園で・・・」

というのも言いにくいかもしれません。

小泉今日子さん、「キョンキョン」を「KYON2」と、「2乗」の表記にするみたいに、

「ジョージ王子2動物園で公務」

としますか?それは無理だなあ。

しかし束の間、和んだ一瞬でした。まあ、放送には出なかったからだけど。

(2014、4、21)

2014年4月24日 18:31 | コメント (0)

新・ことば事情

5429「劇変」

 

このところ「ミヤネ屋」のスーパーチェッククで、よく出て来る間違いに、

「劇変」

というのがあります。正しくは、

「激変」

ですよね。なぜ間違うのかな?と考えた時に「あ、そうか!」と思い当ったのが、某局の

「劇的ビフォー・アフター」

という番組。あの「劇的」という言葉と、「変化」が合わさって、「劇変」になったのではないか?

ただ、「劇」という字は「激」と同じように使われるケースもあります。たとえば、

「劇薬」

等は、意味上は「激薬」と同じですよね。そう書いても良いのではないかなと思います。

「劇的な変化」

を略して「劇変」と書いてしまうのかもしれませんね。

グーグル検索(4月23日)では、

「激変」=182万0000件

「劇変」=  3万46000件

でした。

と、このあとに国語辞典で「げきへん」を引いてみると・・・なんと、「激変」と並んで、

「劇変」

も載っているではないですか!『新聞用語集2007年版』で「げき」を引くと、

「『激』と『劇』の使い分けの例」

が載っていました。それによると、

*「激」=急激、激臭、激暑、激賞、激職、激震、激甚、激戦、激痛、激変、激務、激烈、激論

*「劇」=劇症肝炎、劇毒、劇物、劇薬

という使い分けのようで、これによると

「激変」

を使うことになっていますね。

(2014、4、23)

2014年4月24日 12:30 | コメント (0)

新・読書日記 2014_050

『日本人の知らない日本一の国語辞典』(松井栄一、小学館新書:2014、4、6)

「日本一の国語辞典」といえば「日本国語大辞典」。その編纂にあたった松井栄一(しげかず)さんの本ということで、書店で見つけてすぐ購入。「日本国語大辞典」を出した「小学館」から出ています。松井先生も、もう80代後半のはずだ。

松井先生は、祖父・簡治が国語辞典を編纂、1日33語ずつのペースで言葉の解釈を書き続けた。手伝いをしていた父・驥(き)は、簡治亡きあとを継いだが、50代で若くして他界。そのあとを継いだのが、栄一氏だ。

昨年の本屋大賞を受賞した三浦しをんの『舟を編む』以来、"辞書編纂者"の仕事にスポットライトがあたっているが、日本最大の辞書「日本国語大辞典」の編纂者が、どのようにこの辞書を編んだかを知る手掛かりになる一冊です。


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(2014、4、11読了)

2014年4月23日 21:57 | コメント (0)

新・ことば事情

5428「自首と出頭」

 

【2008年6月10日に書き始めました。当時の番号は「平成ことば事情2349」】

 

随分前のことになりますが、いまだに解決されていない大阪・堺市の母娘殺傷事件で、被害者の父親が、

「犯人に自首してほしい」

と言っていました。でもこれ、

「自首」

でいいんでしょうか?

「出頭」

ではないのでしょうか?

また、2008年4月30日の夕刊に、ガソリンスタンドで、ガソリンをポリタンクか何かに移そうとして引火して(失火ですね)逃げた「49歳の男」が、警察に出てきた様子を指して、各新聞は、表記が違いました。

(読売)出頭

(朝日)自首

(毎日)出頭

(産経)出頭

で、朝日新聞だけ「自首」で、他紙は「出頭」でした。結構、揺れているのかもしれませんね。

 

【ここから2014年4月23日に書きました】

と、ここまで書いてから、なんと6年が経過!

その間、"ほったらかし"でしたが、忘れていたわけではありません!

2014年4月17日の「ミヤネ屋」の中で「自首と出頭」に関するケースが、また出て来ました。

その際に参考にしたのが、読売新聞社の『読売スタイルブック2014』の「法令関連用語」の欄です。そこには、こう記されていました。

「『自首』は刑事事件の発生がまだ捜査機関に知られていないか、知られた後でも容疑者が特定されていない段階で、検察官、警察官に犯罪事実を自ら申告し、訴追を求めること。刑法上、刑の減軽事由とな」

ると。そして、

「容疑者が特定された後で名乗り出た場合は『自首』ではなく『出頭』とする。『出頭』は裁判で情状の対象となることがある。ただ、自首の成立が裁判の争点になることが多いため、公判では原則的に『出頭』を使用することが望ましい」

と記されていました。

つまり、まだ犯罪がバレていないのに警察に出て来るのが「自首」。指名手配されたあとだと「出頭」。犯罪はバレていても、まだ犯人が誰かわからない場合は「自首」だが、裁判での量刑(情状酌量)に関係して来るので、この場合も「出頭」と表現することが多いということですね。

今回のケースでは、普通は「裁判での量刑(情状酌量)に関係して来るので、この場合も『出頭』と表現することが多い」にも拘わらず、被害者の肉親が、

「犯人に自首を呼びかけた」

というシーンだったので、「自首」に" "を付けて、

「犯人に"自首"を呼びかけた」

としました。

(2014、4、23)

2014年4月23日 16:51 | コメント (0)

新・読書日記 2014_049

『ネットで「つながる」ことの耐えられない軽さ』(藤原智美、文藝春秋:2014、1、30)

 

「暴走老人」の著者が、「ネット社会」に物申す!

序章「ことばが人と社会をつくる」。それが、ネットの普及によって「ことばから狂いはじめた日本」という第1章。ネットの言葉は「書き言葉的」でありながら、「話し言葉的」な特徴を持っていると。それは、私もかねがね指摘している点です。それによって「書き言葉的」社会が揺らいでいるのだと。政治家の言葉の中で「がんがん」「どんどん」といったオノマトペがたくさん使用されるようになり、政治が軽くなっていると指摘もしている。大阪大学の秋田喜美氏が、国会議員の議事録の中でのオノマトペを数えたのだそうだ。それによると、1990年に1万4000回だったオノマトペが、現在は3万8000回にもなっているという。オノマトペは、典型的な話し言葉で、情感や気分に訴えかけるものだという。グーテンベルクの活版印刷の発明以来500年、近代は「書き言葉」が作って来たが、いま、ネットの時代で、その規範が崩れつつある。多様性から均一性へと針を進めた活字が、ネットでは、また多様のカオスの世界に我々を導くのか?ネットの通信の速さが何をもたらすのかも、見守っていきたい。


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(2014、3、22読了)

2014年4月23日 15:55 | コメント (0)

新・ことば事情

5427「島が林立」

 

韓国の大型旅客船「セウォル号」が沈没した事故の中継を見ていたら、あるワイドショーのリポーターが、こう言っていました。

「ご覧のように、このあたりは、大小さまざまな島が林立しています」

はぁ?「島が林立」島すか?いや、しますか? それは、

「大小さまざまな島が浮かんでいます」

と言うべきところだったでしょうねえ。

このリポーターさんは、同じ場面で、

「霧のため視界が1メートルにも及ばない」

という風にも言っていましたが、これもなんだか気持ちが悪い。普通は、

「霧のため視界が1メートルにも達しない」

でしょうなあ。

(2014,4,18)

2014年4月23日 11:49 | コメント (0)

新・読書日記 2014_048

『2014高校サッカー年鑑(講談社:2014、2、14)

 

毎年買い続けて30年近くになります。

昔は「高校サッカー」の中継を担当していたんだけどね、もう離れて長くて、息子がその年代になったけど、サッカーやってないしね。でも母校の成績を見たり、今の若者のサッカーの傾向を知るために、この年鑑だけは買い続けています。講談社さんも出し続けてくれています。ありがとう!


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(2014、3、30読了)

2014年4月21日 18:25 | コメント (0)

新・読書日記 2014_047

『家めしこそ、最高のごちそうである。』(佐々木俊尚、マガジンハウス:2014、2、27)

 

「家めし」とは「家で作るごはん」のこと。あ、わかりますね。

外のレストランなどの店で食べる「外食」、出来合いの御惣菜などを買って来て家で食べる「中食」ではなく、「家で、自分たちの手で作って食べるごはん」が「家めし」。それが「最高である」というのは、当たり前の様であるが"原点回帰"という感じかな。

激烈な新聞記者生活で体を壊した著者が、結局「めし」と、それを作る「生活環境」が、人間らしく生きる生活の基本なのだと悟り、以後、シンプルかつおいしい「家めし」を楽しんでいる様子が記されている。この「家めし」は、いわゆる「エコ」であったり「有機野菜」とか、今の時代「特別」になったものを取り上げているわけではなく、手軽に手に入るもので、いかにシンプルでおいしく食べるかという感じ。「バブル時代」を経て「ぜいたく=外食=おいしい」と思い込んでいる人が多いかもしれないが(これは、そうかな?)実は「家めしが最高」ということ。実際のレシピがいくつも書かれていて、読んでいるだけで美味しそうである。ポイントは「旬の物に、ひと手間かける」。具体的には、まず「食材」を決めて、次に「味付け」を決める。味は①甘い②塩味③しょうゆ味④みそ味⑤酸っぱい⑥クリーム味④7カレー味、の「7つの味」から柱を決める。そして「調理法」を、①炒める②蒸す③煮る④焼く⑤ゆでる⑥上げる⑦和えるの「7種類」。これまで「調理法」は考えていたけど「味付けの7つの味」には、あまり気が回っていませんでした。しかしこんな風に整理されると、すごく頭の中がスッキリするなあ。

読んだ中では「焼きそば」と「カルボナーラ」を作ってみたいと思いました!


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(2014、3、27読了)

2014年4月21日 11:23 | コメント (0)

新・読書日記 2014_046

『朝日新聞校閲センター長が絶対に見逃さない 間違えやすい日本語』(前田安正、すばる舎:2014、3、28)

 

新聞の広告欄で見つけた一冊。著者の前田さんは、朝日新聞の校閲センター長。以前、大阪にもいらしたので、その時以来の用語懇談会での「仲間」である。こりゃあ、読まなきゃ!と思って発行元を見ると、「すばる舎」。あ、これは大学のゼミの後輩の出版社じゃないか!と思って「広告、見ましたよ!」とメールして、まんまと一冊送ってもらった。ありがとうございます。

頂いたからには宣伝しなくちゃ!・・・ということでもないのだが、「言葉」に関して非常に読みやすく、しかも内容豊富な一冊です。

一般的に間違いやすい言い回しの正誤が1ページに2つぐらいずつ、ちょっとしたクイズ形式で掲載されていて、じっくり読まなくても、知っている所はパラパラと見て、「お?」と思う所は読み込むというのでも十分かと思いますが、初心者の方は"読むところだらけ"だと思います。

私が引っかかったのは、「白羽の矢が立つ」。これは「人身御供」「犠牲」の時に使われたというのは知っていますが、今や「当たった」という意味だけでも使われたりしているので、どのあたりでそれを認めるのかなあというところが気になりました。

また、会社に入りたての30年ほど前に「のべつまく()なし」を「のべつくま()なし」だと思い込んでいたのですが、それもクイズで出て来て、ちょっと懐かしくうれしかったです。137ページから139ページの「爆笑」「号泣」に関しては「意味が変わりつつある言葉」ですね。「三省堂国語辞典・第7版」で飯間さんも取り上げていますね。202ページの「にやける」もその一つですが、これに関して前田さんは、新しい意味の「にやにやする」も認めているのですね。いろいろとスタンスが分かり、勉強になりました!あ、それと私としては「文章の添削」のところは、あまり読む気にならずに読み飛ばしてしまったのですが、「ここが一番勉強になる」という人もいるのだろうなあと思いました。


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(2014、4、7読了)

2014年4月20日 18:22 | コメント (0)

新・ことば事情

5426「顔本」

 

「フェイスブック」のことを

「顔本」

と書くことがあるらしいです。

「フェイス=顔」+「ブック=本」=「フェイスブック(顔本)」

ということですか、なるほど。直訳と言うかなんというか・・・。

グーグル検索では、(4月18日)

「フェイスブック」=758万0000件

「顔本」     = 28万6000件

でした。

(2014、4、18)

2014年4月19日 12:07 | コメント (0)

新・ことば事情

5425「土地勘?土地鑑?」

 

「土地カン」

の「カン」の表記に関して、よく悩みます。

以前(2012年6月)の「新聞用語懇談会放送文化会」でも議題に上りました。というか、私が質問しました。

『オウム特別手配の高橋克也容疑者関連で出て来る「土地カン」の「カン」の表記ですが、A「土地鑑」、B「土地勘」、Cその他のどれを使っているでしょうか?新聞は読売だけが「土地鑑」で、他社は「土地勘」のようですが。「新聞用語集」は「土地勘」なのですが「本来は『土地鑑』」という微妙な注記が付いています。読売テレビ「ミヤネ屋」では、スタッフからの要望もあり、ここ数日は「土地鑑」を使っています。』

これに対して各社の当時の回答は、

A「土地勘」=日本テレビ、フジテレビ、テレビ朝日、共同通信、NHK

B「土地鑑」=テレビ東京(勘もOK)、ABC(基本「鑑」だが「勘」もOK)、読売新聞

C「その他」・・・両方使っている=TBS

・・・カンor勘=WOWOW

ということで、補足説明としては、

「共同通信」=1993年に「土地カン」になったが、1997年以降は「土地勘」に。

「読売新聞」=1981年の用語集で「『勘』は誤字。語源的に『鑑』」としていたが1996年に「勘」に用語懇談会で統一。読売新聞に持ち帰ったら社会部が猛反対して「鑑」に。元々は誤字である「勘」が、一般には定着しているのは認めざるを得ない。

というようなことでした。

実はきょう(4月17日)も、2005年に栃木・旧今市市で小学1年生の女の子が殺害された事件に関連して、「土地カン」という言葉が出て来て、「ミヤネ屋」では、

「土地鑑」

を使いました。

(2014、4、17)

2014年4月18日 11:42 | コメント (0)

新・ことば事情

5424「電書」

 

ITジャーナリスト・佐々木俊尚さんのツイッターを読んでいたら、

「電書」

という言葉が出て来ました。

「電子書籍を略した呼び方」

のようです。初めて目にしましたが、既に流通している言葉なのでしょうか?

たしかに「電子書籍」=「デンシショセキ」は「シ」「ショ」「セ」というような「サ行の音」が続くし、「ショ」という拗音もあるのでちょっと言いにくい。「電車」のような感じで略したほうが呼びやすいですが、まだ、それほど一般的とは言えないのではないでしょうか。

しかし、そのうち普通の本より「電子書籍」のほうが一般的になったら、「電子書籍」を「電書」と略すのではなく、今は一般的な「紙の本」を、

「紙本」

などと略して呼ぶようになるのではないか?と考えます。もちろん、

「電子書籍のほうが、紙の本よりも一般的になったら」

という前提条件は付きますが。その意味では、一番それに近いのが、

「電子辞書」

かなあと思います。「電子辞書」や「ネットの辞書」がかなり一般的で、いまやなかなか「紙の辞書」を引かなくなっていますから、既に、

「紙の辞書」

という呼び方が定着しているように思います。その流れで、「の」を省略して

「紙辞書」

という呼び方が出て来るのではないか?グーグル検索では(4月16日)、

「電子書籍」   =755万0000件

「電書」     = 40万5000件

「電子書籍、電書」= 14万4000件

「紙の本」    = 56万6000件

ネットでは「紙の本」よりも「電子書籍」という言葉の方がよく出て来ます。当たり前か。で、講談社のサイトには、

「電書info

というのが、既にありました!そのほか、

「電書協」「電書ちゃんねる」「電書雑誌」「対面電書」

等の表記が出て来ました。使われているんだ、「電書」!

そして「辞書」は、

「電子辞書」   =256万0000件

「紙の辞書」   =196万0000件

「紙辞書」    =  1万8600件

という結果でした。「紙の辞書」「紙の本」「紙辞書」、やはり使われていますね。「紙辞書」は、まだ少ないけれど。

しかし!

私のスタンスとしては、たとえ使われることは減っても、

「カミは不滅です!」

さらには、

「私の辞書に"電書"はない!」

(2014、4、16)

2014年4月17日 18:36 | コメント (0)

新・ことば事情

5423「ミニ丼の大盛り」

 

昼休みに会社の食堂に行ったら、今日の目玉メニューは、

「チャーシュー丼」

でした。お、うまそうだな。でもカロリー高そう。

その辺を考慮してか、なんと、

「ミニ丼」

というものも用意されているではないですか!至れり尽くせりだなあ。

ちょっと食指が動きましたが、それを我慢して野菜系のメニューにしました。

すると、私の次に並んでいたT君が、こんな注文の仕方をしているのが聞こえました。

「ミニ丼の大盛りってできますか?」

え?何それ?「大盛り」を食べたいのなら「ミニ丼」を頼まずに「普通のチャーシュー丼」を頼んだらいいじゃないか!?と思いつつ、まんまと「ミニ丼の御大盛り」という要求が通ったT君に、

「『ミニ丼の大盛り』って、どこがどう違うの?」

と聞くと、

「チャーシューは『ミニ丼』のままで、ご飯だけ大盛りにしてもらったんです。」

値段の面で言うと、「普通のチャ-シュー丼」は324円、「ミニ丼」は半額の162円なのです。また、会社の食堂は(会社から福利厚生としてコメの現物支給があるので)

「ご飯は無料」

なので、「ご飯だけ大盛り」にしても、

「値段は『ミニ丼』と同じ」

なのです。なるほどなあ、「おサイフにもやさしい」というヤツですか。でも、ご飯のカロリーも、結構あるけどなあ・・・T君は若いから大丈夫なのか。色々と考えてますね。

(2014、4、16)

2014年4月17日 12:15 | コメント (0)

新・ことば事情

5422「おしゃべりになる」

 

STAP細胞を巡り、理化学研究所CDB(発生・再生科学総合研究センター)の笹井芳樹・副センター長の会見が始まる直前の、4月16日の「ミヤネ屋」で、宮根さんが、

「そのあたりを笹井さんが、どのようにおしゃべりになるか、注目です」

と言いました。この、

「おしゃべりになるか」

に違和感がありました。普通は、

「お話しになるか」

ですね。「話す」と「しゃべる」は、ほぼ同じ意味で使われますが、「しゃべる」は「お」を付けた尊敬語では使われない、ということです。

つまり「話す」に比べると「しゃべる」は、

「俗語・くだけた場面で使う言葉」

ということですね。

ふだんはそんなに意識していませんが、こういうときに気付かされる言葉でありました。

(2014、4、16)

2014年4月16日 16:29 | コメント (0)

新・ことば事情

5421「無人航空機」

 

北朝鮮の無人の飛行機が落ちているのが、韓国内で相次いで発見されました。大きさは、一人で持とうと思えば持てるぐらいの大きさ。「模型飛行機」の大きいもののような感じです。これを指して、

「無人機」

と言うか、

「無人航空機」

と呼ぶか?

思うに、「航空機」は、

「客や操縦士など、人が乗っている飛行機」

だと思うのですよね。

模型ぐらいの大きさで、当然、人は載っていない物は「航空機」とは呼べないのではないか?そう思って、辞書(『精選版日本国語大辞典』)を引くと、

「航空機」=人や物を載せて空中を飛行することができる乗物の総称。気球、飛行船、グライダー、飛行機、ヘリコプターなど。ミサイルや宇宙ロケット、宇宙船等の飛翔体は航空機とみなさない。

とありました。「無人偵察機」も、形は「飛行機」でも、「航空機」とはみなさないでしょう。「ミヤネ屋」では、

「無人機」

で通しました。

(2014、4、14)

2014年4月15日 12:18 | コメント (0)

新・ことば事情

5420「飛ぶか?跳ぶか?」

同音異義語の「飛ぶ」と「跳ぶ」。ソチ五輪のニュースの際には、その使い分けに気を配りました。

「スキー・ジャンプ」は「飛ぶ」

「フィギュアスケート」は「跳ぶ」

「スノーボード・ハーフパイプ」は「跳ぶ」

で、一番の問題は、

「スキー・モーグル」は「跳ぶ」なのか?「飛ぶ」なのか?

という点です。

「こぶ」を越えるために「ジャンプ」する程度なら、

「跳ぶ」

だと思いますが、「ジャンプ」した空中でクルクル回ったりひねったりしている様子を見ていると、

「飛ぶ」

なのかなあという気もして、

「飛ぶように跳ぶ」

ということなのかな?困ったら「平仮名」で、

「とぶ」

にしようかなあと悩んだのでした。たぶん、結局「跳ぶ」にしたと思うけど。

そもそも「とぶ」とは、どういう言葉なのか?

「自らの力によって、身体全体(特に足が)地面を離れて空中にある状態」

という説明はいかがでしょうか?

『三省堂国語辞典・第7版』で「とぶ」を引いてみると、いくつも意味が書かれていました。

つばさを使って空中を進む。(例)「鳥がとぶ」「とんぼがつぶ」

プロペラやジェットエンジンなどの推進力によって空中を移動する。(例)飛行機がとぶ」「ヘリコプターがとぶ」

力が加わって空中を進む。()「ボールがとぶ」「しぶきがとぶ」「つばがとぶ」

風に吹かれて空中にまい上がる。(例)「木の葉がとぶ」「シャボン玉が飛んだ」

飛行機で旅をする。(例)「成田からパリへとぶ」

散る。(例)「しずくがとぶ」「火花がとぶ」

「つながっていたものがはなれる」(例)「ヒューズがとぶ」「首がとぶ」(=失職する)

大いそぎで走る・移動する。()「伝令がとぶ」「記者が現場にとぶ」「飛んで帰る」

間をおく。(例)「あみ目がとぶ」

順序をぬかして、先へ行く。(例)「ページがとぶ」「そのあたりから記憶が飛んでいる」

急に広まる。(例)「うわさがとぶ」「デマがとぶ」

遠くへにげる。(例)「犯人が海外へとぶ」

(ある動作が)すばやく・勢いよくなされる。(例)「外掛けがとぶ」「びんたがとぶ」

ある人に大声などを発する。(例)「やじがとぶ」

消える。うすくなる。()「色がとぶ」「アルコールがとぶ」「データがとぶ」

()自由に活動する。()「とんでる女」「あいつとびたいんだよ」

なんと16種類も!難しいはずだ。13番目の用例「外掛けがとぶ」の「外掛け」は、「相撲や柔道の技」ですね。これはちょっと、わかりにくい。

でも、よく見てみると、これは「飛ぶ」の説明ですね。「跳ぶ」の見出しは、その次にありました・・・。

地面をけって高く上がる。はねる。(例)「ぴょんととぶ」

はねてこえる。()「みぞをとぶ」

(中部方言)走る。(例)「跳びっくら(=かけっこ)」

3種類の意味が記されていました。

うーむ、この意味から言うと、いわゆる「ジャンプ」は全部、

「跳ぶ」

になりますね。ただ、「空中での滞在時間が長い」「飛ぶ」の3番目の意味、

「力が加わって空中を進む」

が該当することもあるということですね。なかなか難しいです。

(追記)

「平成ことば事情5364 跳ぶと跳ぶ」もお読みください。おんなじようなタイトルで、書いてるな。

(2017、8、31)


(2014、4、14)

2014年4月14日 16:35 | コメント (0)

新・ことば事情

5419「作成か?作製か?」

 

STAP細胞関連でよく質問を受けました。

「STAP細胞の"さくせい"は、『作』でしょうか?それとも『作』でしょうか?」

答えは、

「作

です。『新聞用語集2007年版』234~235ページによると、

*「作」=(文書・計画・原本を)()ケアプランの作成、計画書・試験問題の作成、法案の作成、ホームページの作成、名簿・目録の作成

*「作」=(物品・図面などを)合鍵の作製、地図・設計図の作製、標本の作製、ポスター・カレンダーの作製

()パンフレット、本などの場合、書かれた内容に重点を置けば「作成」、物品として大量生産する点に重点を置けば「作製」と使い分ける。

とあります。大きく見ると、

「文書=作」:「物品=作

ということで、

「STAP細胞の論文"作"」:「STAP細胞の"作"」

というふうに使い分けましょう。

まあ問題は、

 

「本当に作製できたかどうか?」

 

なんですけどね。

(2014、4、8)

2014年4月11日 16:06 | コメント (0)

新・ことば事情

5418「安全損なう」

 

「グーグルグループ」が、中部国際空港と新千歳空港の平面図を、不注意誰でも閲覧できる状態にしていたことが分かった件で、4月11日の読売新聞朝刊に、こんな見出しが出ていました。

「空港の安全損なう」

これを見た私は、こう、読んでしまいました。

「くうこうの あんぜんそん なう」

もちろん正しくは、

「くうこうの あんぜん そこなう」

ですが、「安全」と「損」という漢字が続いていて、その後に平仮名の、

「なう」

と来ていたので、パッと見た時に、つい、そう読んでしまいました・・・。

いやあ、しかし私の使用語彙に「なう」は「ない」(つまり、自分からは使わない言葉)ですが、最近始めたツイッターの影響で、「なう」という文字を目にする機会が増えたからかなあ・・・。

うーん、どうなんやろか?

でも、「なう」を使うとしても、

「安全損なう なう」

としないとね。

 

(2014、4、11)

2014年4月11日 11:57 | コメント (0)

新・読書日記 2014_045

『宇宙兄弟23』(小山宙哉、講談社:2014、3、20)

 

読売テレビでのアニメは終わってしまったが、原作の漫画は終わっていません!

せりかさんがついに宇宙へ!ムッタもいよいよあと50日で宇宙へ、カウントダウン!ワクワク。でも暗雲が・・・。


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(2014、4、6読了)

2014年4月10日 12:30 | コメント (0)

新・読書日記 2014_044

『希望の国』(園子温、リトルモア:2012、9、15)

 

園子温監督の映画「希望の国」のシナリオプラス、製作の裏側を記した本。舞台は「長島県」。これは「長崎」と「広島」&「福島」から取ったそうだ。「東日本大震災」による原発事故、それを下敷きに書かれた映画だ。出張先の名古屋の美術館のショップで見つけたので本だけ先に買ってしまったが、なかなか読み進めなかったのだが、DVDを借りて映画を見てから読んだら、スッと入って来た。

この映画のタイトル、当初は「大地のうた」の予定だったが、福島を旅してシナリオを描いている途中に「希望の国」に変わったのだそうだ。

映画では、故・夏八木勲がいい。つい先日亡くなった蟹江敬三といい、なんだか70歳前後の名優が、続けざまに亡くなる気がして、大変残念である。


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(2014、4、4読了)

2014年4月 9日 21:29 | コメント (0)

新・読書日記 2014_043

『角川映画1976-1986~日本を変えた10年』(中川右介、KADOKAWA:2014、3、8)

最近、めちゃ積極的に活動されている中川右介氏。そもそも「クラシック・ジャーナル」編集長という「音楽畑」の人なのに、「ドラえもん」に手を出したり、「映画」に手を出したり(これは、音楽と関係ある)、はたまた「大悪人政治家」にまで手を伸ばし(これも実は、音楽と関係している)ている。すごい。大活躍である。

ということで、何冊かの本を読んだことがあったのだが、その中川右介さんの「ドラえもん」に関する本(2014読書日記038『源静香は野比のび太と結婚するしかなかったのか~『ドラえもん』の現実(リアル)』PHP新書)を読んでいた時に、弊社コンテンツ部の後輩が「道浦さん、『関西ぴあ』の人から本を預かったんですけど・・・」

と言って持って来てくれたのがこの本。なんでも、著者の中川右介さんからだそうだ。おお、この読書日記を読んでくれていたのか!ありがとうございます!

ということで読み始めました。結構分厚い、黒い表紙のシブい本は、角川春樹による「角川映画」の最盛期1976年から1986年までの記録と分析本という、映画ファンなら飛びつく本。

私はと言うと、映画は好きだし、まあまあ見ているが、「映画ファン」を名乗るほどのものではない。何より、実は「角川映画」は、ほとんど見ていなかったのだ。

当時をご存じの方には言うまでもないが、あの当時の「角川映画」の宣伝は物凄かった。映画を見ていない私でも当時の「角川映画」がどのようなものであったかを言えるぐらい、今でいう「メディアミックス」を最大限に活用して、テレビCM・本・雑誌など、メディアを総動員して売るという姿勢が見え見え、イケイケだった。しかも「角川書店の御曹司(二代目)の道楽」というような"やっかみ"的な見方もあって、その姿勢があまり好きではなく(アマノジャクだから)見なかった。レンタルビデオなどが隆盛の時代になっても、「洋画は見るが邦画はなあ、まして『角川映画』なんて・・・」という、鼻持ちならないヘンケンを持っていたことをここで 告白しておく。ITバブルの時の企業家、例えば「ホリエモン」などに対する「アンチ派」的な感情である。その発言や事業規模が大きければ大きいほど、"うさんくささ"を感じていたのである。でも、「本」は好きだったから、角川文庫の「赤川次郎シリーズ」は、当時100冊以上読んだと思いますが・・・。

しかし、この本を読めば、いかに角川春樹がスケールの大きな人間であったか、それまでの「日本の映画界」を、「世界規模」「世界標準」で闘えるようにしようと考えていたかなどがわかり、見る目が変わった。

いま、あれから30年以上が経過して、今一度、角川映画を見直すというのに良いきっかけになる一冊だなあと感じた。で、レンタルしてきました、「戦国自衛隊」「復活の日」。なかなかすごいスケール。今、見ても面白い。いま「セーラー服と機関銃」を見始めています。薬師丸ひろ子、永遠のアイドルだなあ。「時代」を感じさせるセットや役者。渡瀬恒彦は角川映画によく出て来るなあとか、柳沢慎吾、30年以上たっても全然変わってねえじゃねーかよ!とか、「30年たった今、見るからならではの楽しみ方」もあります。ほかの作品もボチボチ見て行こうと思っています。で、今月10日に大阪・ミナミの「ロフト・プラスワン・ウエスト」で中川さんたちの「角川映画」に関するトークイベントがあるので、聴きに行こうと思っています!


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(2014、3、2読了)

2014年4月 9日 11:50 | コメント (0)

新・ことば事情

5417「缶発泡酒」

 

いつも飲んでいる「発泡酒」

「ビール」も好きですが、「発泡酒」も嫌いではない。

コンビニで「缶入り発泡酒」を145円で買って、近くの公園で歩きながら「お手軽夜桜見物」としゃれ込んだ時のこと。

「コンビニで買った缶ビールを片手に夜桜見物、145円。安上がりな幸せ」

と綴って、ふと疑問が。

「『缶ビール』という言葉はあるが、『缶発泡酒』はない。なぜだろう?」

もちろん、「ビール」「缶ビール」に比べて、「発泡酒」という言葉の歴史が浅いことが原因でしょうが、言葉が単に現象を表すのであれば、歴史が浅いか深いか(短いか長いか)に関係なく、そういうふうに呼ばれてもいいのではないか?と思うのですが。

しかし実態として「缶発泡酒」という言葉は耳にしない。私だけ?グーグル検索(4月7日)では、

「缶ビール」=99万5000件

「缶発泡酒」= 6万7900件

ということで「缶発泡酒」という言葉がないわけではありませんが、この中には、

「缶・発泡酒/ビール」「350ml缶(発泡酒)」

のように、たまたま「缶」と「発泡酒」という文字が続いているだけで、一つの単語として「缶発泡酒」があるものばかりではありません。あ、そうだ、これも検索しておこう。

「缶チューハイ」=83万2000件

「缶酎ハイ」  = 9万5900件

「缶チューハイ」は浸透している言葉のようです。

さて、「缶発泡酒」という言葉がなぜ、広がらないか?について考えてみると、そもそも「発泡酒」は、誕生の時から「缶」で販売されていて、「ビン発泡酒」というものが、(それほど)なかったのではないか?ということが"カン"がえられます。

「ビール」というものは、初めは「ビン」しかありませんでした。それが「缶」ビールが出てきたり「生」ビールが出てきたために、従来「ビール」としか呼ばれなかったものが、

「ビンビール」

と呼ばれるようになったと思われます。それと同じようで、しかもそもそも「ビン」がなかった「発泡酒」には、当初形態である「缶」を、わざわざ名乗る必要がなかった。しかも未だに「ビン発泡酒」は登場していない。(あるかもしれないけど、普及していない。)だから「缶発泡酒」という言葉は生まれて来なかったのではないか。

ただ、区別を付ける必要があるのは、

「缶飲料」

の中身が、

「ビールか?発泡酒か?」

ということが問われた場合のみですね。

いいじゃ、どっちでも、おいしければ。

飲めば飲むほど、そう思うのでありました。

(2014、4、7)

2014年4月 8日 18:47 | コメント (0)

新・ことば事情

5416「ご用命」

近所のショッピングモールで見かけた「生命保険会社」のブースに書かれていた文字が、気になりました。

「ご用命は○○生命保険に」

この、

「ご用命」

という言葉に引っかかったのです。

「生命保険会社」が「ご用命」は、なんかおかしい!

「用命」

を辞書で引くと、

「用事を言いつけること。命令すること。注文すること」(『広辞苑』より)

とありました。「命」は「命じる」ことか。

でも、「用命」という言葉の漢字は「命を用いる」を書くんですから、

「『生命保険』は『命を用いる』」

から、問題ないか?たまたまとはいえ、文字が重なっちゃったのはどうなのかなあと感じるわけですね。

「平成ことば事情5115」で書いた「ライフストア」、「生命保険会社」ならば、まさに「ライフストア」かもな、と思いました。

(2014、4、7)

2014年4月 8日 11:47 | コメント (0)

新・ことば事情

5415「ライフストア」

 

近くのショッピングモールを歩いていたら、新しいお店の看板が目に入りました。そこにはアルファベットで、

「LIFE STORE」

と書かれていました。「ライフストア」?・・・「命」を売ってるのか?

と思いました。ゲーテの「ファウスト」のメフィストフェレス、悪魔のような・・・。

な、わけはなく、これは、

「生活雑貨」

を売っているお店ですね。「命」ではなく「生活」。わかってますよ、もちろん。でも、

「生活を売っている」

わけでもない。そんなもの、売れない。

もし、英語で書くのなら、私のごとき貧弱な英語力で考えても、

「LIFE GOODS STORE」

のように、せめて「GOODS」を入れたらどうやろかと思うわけですが・・・。

そういえば、そのままズバリ「LIFE」という名前のスーパーマーケットもありますね。「日本語」として考えるなら、「ライフストア」でOKということなのでしょうか?

(2014、4、7)

2014年4月 7日 19:46 | コメント (0)

新・ことば事情

5414「134日の読み方』

Mアナウンサーが、

「『134日』はどう読めばいいのでしょうか?」

と聞いてきました。つまり「134日」の「4日」は、

「『ヨッカ』か?『ヨンニチ』か?」

ということですね。つまり、「平成ことば事情728 あと34日」でも書いた「34日」関連の読み方についてです。

「平成ことば事情728 あと34日」では、「14日」「24日」は「カレンダーにある」から「ヨッカ」という読み方に慣れているが、「34日」はカレンダーにないから「ヨッカ」と読むことはなじみがないのだ、という結論になっていました。

ですから、「134日」も、

「ヒャクサンジューヨンニチ」

でいいのではないかという結論を出しました。お昼のニュースの時間も迫っていたので、一応そういう結論でしたが、その後さらに考えてみました。

そもそも「暦(カレンダー)の数え方」では、「1日~10日」に関しては、「和語読み」で、

「ツイタチ、フツカ、ミッカ、ヨッカ、イツカ、ムイカ、ナノカ、ヨウカ、

ココノカ、トウカ」

となりますが、「11日」からあとは「漢語読み」で、

「ジューイチニチ、ジューニニチ、ジューサンニチ・・・」

となる中で、なぜか「14日」だけが、

「ジューヨッカ」

「4日」部分が「和語読み」になっています。そして「15日」からは、

「ジューイツカ」

とはならずに、

「ジューゴニチ、ジューロクニチ・・・」

また「漢語読み」に戻っているのです。ということは「14日」だけが特殊。しかし、その後も「24日」も、

「ニジューヨッカ」

と、また「4日部分」が「和語読み」です。ということは「14日」「24日」が特殊なのではなく、「4」という数字の読み方が特殊なのではないでしょうか?

そこで思い出すのは、

「4=死」

という「忌み言葉」です。「漢語読み」であるならば「4=シ」と読むはずですが、

「シ=死」

ということで避けられてそこだけ「和語読み」の「ヨ」になったのではないか?

それならば、

「ジューヨニチ」

となるところですが、これだと、

「十余日」

と同音で間違う恐れがある。そこで、「4日」の「和語読み」である「ヨッカ」を「ジュー」あるいは「ニジュー」の後に付けて、

「ジュー・ヨッカ」「ニジュー・ヨッカ」

という日付の読み方が出て来たのではないか?

そのあと、「34日」を「サンジューヨッカ」としない理由は、「平成ことば事情728 あと34日」で書いた通りです。そもそも「ひと月」を越えるような日数を、「日数」として数える習慣は、あまりなかったのではないか?昔は「ひと月」以上については、

「ふた月」「み月」「よ月」

のように「月単位で」数えていたのではないかということです。

大きな日数を、ちゃんと「日数」として数えるようになったのは、せいぜいここ100年ぐらいの「最近」の話で、だからこそ、

「サンジューヨッカ」「ヨンジューヨッカ」

などという言い方には、まだ我々のDNAは慣れていないのではないかと、きょう、

「4月4日(ヨガツ・ヨッカ)」

に感じたわけですが、いかがでしょうか?

(「4月」は「シガツ」、忌み言葉ではないのかな?昔は「卯月」といったので関係なかったのかな?)

(2014、4、4)

2014年4月 7日 11:25 | コメント (0)

新・ことば事情

5413「打ち合わ費」

 

年度末分の経費の請求書が回って来ました。

大体、担当の人って、自分が帰るときに、ついでにこちらに寄って請求書を出して、

「お願いしまーす」

と、ひと言だけ言ってそそくさと帰ります。

こっちも帰ろうと思ったのに、また伝票処理しなくてはならない。しかも金曜の夕方5時半を回った時間。来週月曜に仕事を残すのは嫌だから、そこから計算して伝票を切らなくてはならない。結構、手間です。

その請求書を見ていたら、こんな文字が。

「打ち合わ費」

あれ?なんだかちょっとおかしい・・・あ、「せ」が抜けている!正しくは当然、

「打ち合わせ費」

だ!きっと、あっていたんでしょうね・・・、いや、あ「せ」っていたんでしょうね。

ちょっと「しょうがねーな」と思って、和みながら伝票作業をすることが出来て、ネタにもなったので、許してやるか。

(2014、4、4)

2014年4月 4日 18:41 | コメント (0)

新・ことば事情

5412「雨模様」

 

「雨模様」

という言葉は、本来は、

「雨催い(あめもよい)」

で、それが訛ったものです。意味は、

「今にも雨が降りそうな天気」「雨を催しそうな天気」

を指します。「降りそうな」ということは、

「降っていない」

ということです。ですから、

「雨が降っている状態」

に使うのは「間違い」です。放送では、極力使わないようにしたいところです。

しかい、辞書によっては、「雨模様=雨が降っている状態」を認めているものもあります。

さて、どうしたものか?

日本新聞協会新聞用語懇談会放送分科会で作成した『放送で気になる言葉2011』の47ページには、

「天気予報などで使う場合は注意したい」

とあります。ですから、コメントやフリートークなど「話し言葉」で出るのは仕方がないとしても、「書き言葉」である原稿では、使わないほうが無難ですね。

(2014、3、27)

2014年4月 3日 18:20 | コメント (0)

新・ことば事情

5411「目配せと目配り」

4月1日、消費税が5%から8%になりました。

17年ぶりの税率の引き上げです。もう、そんなになるのか。ちょうど、うちの息子が生まれた年だったので、その息子が今、高校2年だから、計算は合っています。ずいぶん久しぶりという感じもします。

4月1日、安倍首相は、「消費税増税」に関してコメントを出しました。それを伝えたNHKのニュースが、

「国民生活に"目配せ"しながら」

と伝えたそうです。私は見てなかったのですが。これは正しくは、

「国民生活に"目配り"しながら」

ですね。「目配せ」と「目配り」。平仮名で書くと、

「めくばせ」「めくばり」

「目」は一緒(同じ)ですから違うのは、「くばせ」と「くばり」。

「せ」か「り」かの違いですね。どう違うのでしょうか?だいぶ違う気がしますが。

辞書を引きましょう。『精選版日本国語大辞典』では、

「めくばせ」(眴)

こんな漢字があるのか!「目」へんに「旬」!本来の読みは、

「めくわせ」

だそうです。そこで「めくわせ」を引くと、

「まばたきして意志を伝えること。目を動かして合図すること。めくばせ。めぐばえ。めぐわえ。めくばし。」

とありました。

ここで「めくばせ」に戻ると、用例は1658年、江戸時代の浄瑠璃でした。その「語誌」を読むと、

「(1)中古には目で合図をすることを『めをくはす』『めくはす』といった。『め』は『目』、『くはす』は『食はす』で、目を合わせる意を表す。この『めをくはす』は中世には用いられなくなり、『めくはす』『めくはせ』の形のみが残った。(2)中古には『めくはせ』と清音であったが、中世末には第二音節が濁音化した『めぐはせ』も使われた。近世には第三音節を濁音とする『めくばせ』が表れた。(3)互いに目を交わすというところから『めくばせ』とほぼ同意の『めまじ(目交)』『めまぜ(目交)』も用いられていたが、現在では『めくばせ』が一般的である。」

とありました。ああ、長い引用!

この「眴」の項目の下に、

「目配り」

がありました。意味は、

「目を方々にくばって見ること。洩れのないように、注意してみること」

とあり、用例は、1717年、江戸時代の「節用集」でした。

つまり、「めくばせ」は「視線を合わせて合図をすること」であり、「めくばり」は「視線を方々に配って配慮すること」。やっぱり、意味が違いますね。

(2014、4、2)

2014年4月 3日 15:53 | コメント (0)

新・ことば事情

5410「『火事』と『火災』の違い」

 

「ミヤネ屋」の若いスタッフから、

「道浦さん、『火事』と『火災』の違いは何ですか?」

本番直前に聞かれました。

「『火事』は火が出たことを指す。最初に発生するのは『火事』。それが燃え広がって、逃げる人がこけて骨折したり、煙で一酸化中毒になる人が出たりというようになったら『火災』。その意味では、『地震』と『震災』の違いが、よく似てるね」

と答えました。

我ながら簡単明瞭、素晴らしい説明です。本番直前は、このぐらいの説明がいいのです。

(2014、3、31)

2014年4月 3日 11:52 | コメント (0)

新・ことば事情

5409「背番号を身にまとい?」

 

いつものように「ミヤネ屋」のテロップチェックをしていたら、

「背番号を身にまとい」

という表現が出て来て、「おや?」っと思いました。

「背番号を身にまとい」ははおかしい。「背番号」は、

「身に付け」

ですよね。

「背番号を身に付け」

です。「身にまとう」のは「ユニフォーム」など「着る物」。

「ユニホームを身にまとい」

「スーツを身にまとい」

「法被(はっぴ)を身にまとい」

「紋付羽織はかまを身にまとい」

といった感じ。「着る物」と言っても、「普段着」や「Tシャツ」「ワイシャツ」「セーター」など、のは「身にまとい」は合わない感じ。少し、決意を持って着るような物、

「『ハレ』の場・勝負の場で着る物」

に相性がいいようです。

一方、「背番号」は、

「身に付け」「背負い」

辺りの表現が良いのではないでしょうかね。「背番号を身にまとい」という表現は、一種の、

「混交表現」

ですね。

(2014、3、31)

2014年4月 2日 19:50 | コメント (0)