新・ことば事情
5398「『現在』か?『時点』か?」
最近、「データの日時・時刻」を表すスーパーで、
「午後2時時点」
「きのう時点」
というものが目立ちます。これらはチェックの段階で、
「午後2時現在」
「きのう現在」(あるいは「今月11日現在」など)
と直していますが、どうも若いスタッフの中には、
「『きのう現在』というと、『きのう』なのか『現在』(つまり『きょう』)なのかが分からない」
という考え方があるようです。
たしかに「過去・現在・未来」という場合の「現在」は、
「きょう」「たった今」
になりますが、「データの時刻・日時を言う場合」には、
「『時点』の意味で『現在』という言葉を使う」
のです。気象情報などではよく出て来ます。
『精選版日本国語大辞典』には「現在」の3番目の意味として、
「変動するもの状態をある時点で記述する際、その時点を示す語に添える。
(例)一月一日現在」
と載っています。まさにこの使い方なのです!
(追記)
と、ここまで書いたところで、
「『現在』と『時点』では、使い方が違うのではないか?」
という意見が出て来ました。
ポイント・ポイントしか観測をしていない場合は「現在」でいいけれども、「ずーっと記録している」ものの中の「まさにピンポイントでその時刻」を表すのであれば「時点」の方が良いのではないか?という考え方です。
うーん、難しい。
これについて他社にも聞いてみたところ、関西テレビの知り合いから、
「1月に開催されたFNSアナウンス用語統一部会の総会で、『時間的な概念で現在と近い場合は「~現在」、遠い場合は「~の時点」という方がふさわしいのではないか?たとえば、お昼の『スピーク』で、"最新情報"という意味で『午前11時現在の情報』とするのはよいが、『午前9時現在の情報』とするのは情報が古く、ふさわしくないのではないか」
というような意見が出たと教えてもらいました。「古い時刻」に「現在」というのが合わないのではないか?というご意見のようです。これは少し私が考えていたポイントとは違うような気がしますが、貴重なご意見ありがとうございます。もしかしたら「時点」という言葉を使いたがることと、つながるかもしれません。
この「時点」を使う傾向は広がっているのでしょうかね?どうでしょうか?「現"時点"」において。