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『道浦TIME』

新・読書日記 2014_034

『死からの生還』(中村うさぎ、文藝春秋:2014、3、1)

 

えらい、マジなタイトル。内容も重い。まるで「哲学書」だ。「週刊文春」での連載コラムをまとめたもの。「週刊文春」の中村うさぎさんのこらむは、昔は面白くて読んでいたが、ある時期から、あまり読まなくなった。だから毎週のように「週刊文春」は買っていたのに「え?中村うさぎさんって、死にかけてたの?」と驚いて、ついこの本を買ってしまったのである。2010年3月~2013年12月までの連載をまとめたもの。中村さんは、何でも入院中に3回も死にかけたそうです。

第1章が「まさかのセカンドバージン!?足掻いてたら、想定外の入院、三回も死にかけた!」という長いタイトルで、これが2013年1月から12月のコラム。私が読んでいなかった時期。でも、死に直面しただけあって、大変哲学的な深いコラムが続く。

すこし読まない間に「女王様」とか「民よ」という呼び掛けが無くなっている所に注目した。そんなカッコつけている余裕がなくなったというか、「中村うさぎ」という仮面を取った「本人の心の声」のように感じた。

第2章は「閉経、ババアってタブー用語なの?ツイッター始めて 個と全体の問題にハマる」というのは2010年3月から2011年3月まで。つまり「東日本大震災の前」の時期。あきらかに「東日本大震災の前」と「後」で、中村さんの意識は変わっているので、ここで区切ったのだろう。

第3章は「3・11のあとの幸福とは何か 気がつけば、女王様はデビュー二十周年 もう『欲しいもの』がなくなった!」(2011年4月から12月)。「東日本大震災」によって変わった意識の中でのコラム。

4章「女は女を救えるのか?木嶋佳苗と『ヘルタースケルター』のりりこにおける美のヒエラルキーと欲望」(2012年1月~2013年1月)では、「女の業(ごう)」「人間の意識」へと深く深く潜っていく。その後の「第1章」に通じる所で、このコラムの構成って「輪廻」じゃないの?と感じさせる。

「書くことは考えること」だということを感じさせるコラム集。

で、「週刊文春」での中村うさぎさんのコラムが終わるらしい。深く掘り過ぎたか?読者がついて来られなくなったのか?編集部がついていけなくなったのか?残念である・・・。


star4

(2014、3、10読了)

2014年3月24日 10:43 | コメント (0)