新・ことば事情
5396「『木くず』のアクセント」
滋賀県高島市の河川敷に、放射性物質「セシウム」に汚染された「チップ」「木くず」が放置されていた問題。その中に出て来る、
「木くず」
のアクセントが、「平板アクセント」で、
「キ/クズ」
と言うのをよく耳にします。きょう(3月6日)のNHK大津からのお昼のニュースを読んでいた男性アナウンサーも、そのように発音していました。
しかし『NHK日本語発音アクセント辞典』を引いてみると、
「キ/ク\ズ」(中高アクセント)
「キ\クズ」(頭高アクセント)
の2種類しか載っていません。次回の改訂で「平板アクセント」が載るのかどうか、注目したいですが、とりあえず、現在は載っていません。しかも、うち(読売りテレビ)のアナウンサーも「平板アクセント」で読んでいるケースを散見します。
「モ/ズク」
のような感じになっています。これってどうなのかなあ?
改めて読売テレビのアナウンス部のみんなに聞いてみたところ、
(1)「キ/クズ」(平板アクセント) =14人
(2)「キ/ク\ズ」(中高アクセント)= 0人
(3)「キ\クズ」(頭高アクセント) = 3人
という結果が出ました」。圧倒的に「平板アクセントで読む」という人が多いのです。
『NHK日本語発音アクセント辞典』の改訂作業に携わっている、NHK放送文化研究所の塩田雄大さん聞いてみたところ、
「『木くず』は、あいにくアクセント調査の対象語になっておらず、改訂の可能性は現時点では薄いと思われる」
という返事が。そのメールには、
「『おがくず』が、現行では『オ/ガク\ズ』のでみあることを考えても、『キ/ク\ズ』は、さほど無理のあるアクセントではないように感じますが(だからといって『平板アクセント』の『キ/クズ』を否定することには、つながりませんが)いかがでしょうか。」
とありました。