新・ことば事情
5386「リフトオフ」
2月28日、鹿児島県の種子島から「H2Aロケット」の打ち上げが行われ、見事成功しました!以前、旅行で種子島に行った時に、このJAXAの打ち上げ場を見学したことがあります。広い敷地内の、発射台から何百メートルか横に「組み立て工場」のような背の高い建屋があって、そこから発射台へレールが敷いてあって、レール上を横に移動するようになっているんですね。あれは行ってみないと、なかなかわかりません。
ニュースを見ていたら、きょうの発射の際、中継の記者が、
「いま、『リフトオフ』しました!」
と言っていました。これって専門用語なんですかね?これまでは、
「打ち上がりました」
と言うことが多くて、この「他動詞(打つ)」と「自動詞(上がる)」が混ざった形が不自然に感じます。『放送で気になる言葉2011』の36ページにも、
「違和感を持つ人も多く、放送で使うにはまだ不適切であろう」
と記されており、「他動詞」+「他動詞」の、
「打ち上げられました」
が「普通の言い方であろう」と記されています。そういったコンフリクトを避けて、「リフトオフ」という言葉を使ったのでしょうか?
英和辞典で「lift」を引くと、「原義」は、
「天まで持ち上げる」
だそうですから妥当かな。「lift off」は、
「(通例、重い物)を持ち上げる、引き上げる」
とありました。ロケットは、そりゃあ重いですからね。
ところで、「H2A」の読み方ですが、『放送で気になる言葉2011』の101ページには、
「えいちニ」
とあります。そして注釈として、
「宇宙開発事業団では『型』がつかない場合、『Hツー』のような英語読みを希望しているが、放送では原則として『ニ』と読む」
と記されていて、放送各社の報道ニュースでは、そう読んでいるはずです。
(追記)
ちなみに、
「リフトアップ」
と言うと、美容整形で、
「顔の皮膚を持ち上げて、たるみ(シワ)をなくすこと」
H2Aロケットは関係ありませんね。
(2014、3、4)