新・ことば事情
5379「創業」
福岡放送(FBS)の同期・古賀ゆきひとアナウンサーから、言葉の質問が来ました。
「『創業』という言葉を使う際には、基本的には『明治5年 創業』と言う使い方が正解で、『創業100年』は間違いだと聞いたことがありますが、最近はとてもあいまいです。どう対処しているか教えてください。」
へえー、それは気付きませんでした。改めて考えてみましょう。
「創業」=「事業を始めること」
なので、名詞でありながら「動詞」の要素の強い言葉ですね。ですから、
「明治5年創業」=「明治5年に事業を始めた」
で、もちろん本来の使い方でOKですが、「創業100年」の場合は、
「創業」=「創業以来」
の意味になっています。『新明解国語辞典』では2番目の意味として、
「営業を始めること」
として載っていて、用例は、
「創業(=創業以来)三十年」
となっています。『明鏡国語辞典」も同様で、用例は、
「創業三十周年記念」
です。『広辞苑』『精選版日本国語大辞典』『三省堂国語辞典』には、最初の意味し
か載っていなかったので、それをとらえて、
「『創業100年』という使い方はダメ」
という方もいらっしゃるのではないでしょうか?でも、
「使ってもOK」
でしょう。そのように回答しました。