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『道浦TIME』

新・ことば事情

5376「犠牲」

 

2月23日、名古屋駅前で自動車が故意に歩道に突っ込むという事件がありました。それを伝えた他局のある番組で、

「この事件で13人が犠牲となった」

とナレーションで読んでいたそうです。(私は聞いても見てもいないのですが)

でも、実はこの事件件では、

「亡くなった方は、一人もいなかった」

のです。

「無謀に突っ込んで来た自動車に轢かれてけがをした」=「犠牲になった」

という表現には無理があると思います。普通、こういった場合の「犠牲になる」の意味は、

「亡くなる・死亡する」

です。

『三省堂国語辞典・第7版』には、

「犠牲」①(文)いけにえ。②ほかのものの利益のために損害を(引き)受けるもの。また、その損害。(例)「自分を犠牲にする」「犠牲をはらう」③(災難に遭って)死ぬこと。(例)「戦争で市民が犠牲になる」

とありまして、このケースでは、③のことですね。

(2014、2、24)

2014年2月25日 12:19 | コメント (0)