新・ことば事情
5373「『受け止める』と『受け入れる』」
「ソチ五輪」も終わりましたね。その「ソチ」を振り返るVTRを作っていたディレクターから質問を受けました。
「浅田真央選手が、ショートプログラムで失敗した直後のインタビューで、うつろな表情だった時のことを指して言うなら、『現実を受け止められなかった』でしょうか?それとも『受け入れられなかった』でしょうか?」
うーむ、難しい質問をしてきやがって。
知恵を絞ると、当時の浅田選手の様子は、4年間をかけてやってきた集大成の五輪での失敗という現実を、
「受け止められないでいる」
感じがしました。
「受け止める」と「受け入れる」の違いに関しては、
*「受け止める」=現実の現象を現実として、客観的に認識する。
*「受け入れる」=現実を認識した上で、それを自分の考えとして好悪にかかわわらず認める。
という違いがあるように思います。ですから、順番で言うと、まず「受け止め」て、その次の段階で「受け入れる」となると思います。
競技直後の真央ちゃんの様子は「受け入れるかどうか」というところまで達していない、そういった出来事があったことすら、
「信じられない」
段階で、「受け止める」ことすらできていなかったのではないかと思いました。
フリーの演技は、そういった経験があったからこそ、開き直って本来の力を出すことができたのではないかと思いました。