新・ことば事情
5368「岩辺」
インドネシアのバリ島でダイビング中に行方不明になった日本人女性7人の捜索で、5人は無事救助されましたが、1人が遺体で発見され、もう1人の行方はまだ分かっていません。(日本時間2月20日正午現在)
そのニュースを伝えた2月19日の「ミヤネ屋」の中で、現地を取材している記者のコメントの音生かしのフォロースーパーで、
「あ、あそこの岩辺に4人がいます!」
というのがあり、そのままOKで通していたところ、読売新聞校閲部OBのOさんから、
「『岩辺』という言葉はおかしい。『岸辺』ではないか?」
と指摘がありました。たしかに!「岸辺」は聞いたことがありますが、「岩辺」は初めて聞きました。見逃していたんだけど。
「岸辺」のように「○辺」となる言葉は、
「岸辺」「浜辺」「海辺」「磯辺」
などですが、いずれも、
「水と陸地が接する部分で、人が入り込めるところ。みぎわ(水際)。遊水地的な場所」
を指します。「岩場」は、人が入り込めますが「水」とは断絶しているので、「岩辺」とは呼ばないのではないかと思います。
今回の場所は「岸辺」と呼ぶにはふさわしくなく、いわば「岩場」と読んだ方がよい所でしたが、
「岩場+岸辺=岩辺」
となってしまったんでしょうか?実際のVTR映像で音声を聞くと、確かにその記者は、
「いわべ」
と言っていました。
実際の放送では、その「岩辺」をカットして、
「あ、あそこに4人がいます!」
としました。それで全然、問題なかったな。
グーグル検索では(2月20日)
「岩辺」=4万7200件
出て来ましたが、「一般名詞」というよりは、「人名」「地名」のようです。岡山県美作市に「岩辺」という地名があるようです。