新・ことば事情
5336「レンジアップ」
いつも「新ネタ」を提供してくれるM若アナウンサーからの情報です。
「『レンジアップ』という言葉を雑誌(サイトだったかな)で見つけました。電子レンジでチンして料理を作ることらしいんですが、これって新しい言葉じゃないですかね?」
私は耳にしたことも目にしたこともありません。英語なのか?それとも和製英語なのか?調べてみましょう。
国語辞典にはまだ載っていない言葉だろうなあ。『三省堂国語辞典・第7版』を引きましたが、載っていませんでした。ネット検索(2月16日)してみましょう。
「レンジアップ」=6万2200件
その中で「知恵袋」としてトップに出て来たのは、この言葉に関する疑問です。2010年4月の時点ですね。それによると、
「『レンジアップ』なる和製英語が、何の説明もなく、また意味不明のまま使用されている。おそらくは『食品を温める』という意味で使用しているものと思われるが、あえてそう言う意味があるのか?」
という疑問が提示されており、これに対する回答(ベストアンサー)は、
「『レンジアップ(=電子レンジによる加熱)』も、『電子レンジで加熱する』という文章よりは一単語にまとめることで、より簡潔に内容を受け手に伝えることができ、商品の利点(簡単に食べられる)をアピールする際にも便利なため、広まった。」
「『レンジアップ』という単語自体は消費者側からでてきたものではなく、食品業界や流通業界で使われ始め、それが企画書や現場、商品での説明書き等に降りてきて一般でも使われるようになってきたという経緯がある。」
というもので、これは食品業界か、それに近い専門家の方が書かれたのではないかなという感じがしました。
これよりはるか前、2002年8月にはこんな記述も。
「『レンジアップ』というのは コンビニで『弁当を温める』というようなニュアンスで使われている言葉。サイトの管理者は、『変な英語だ、店員は使ってないぞ、いやそのうちアメリカに輸出されるに違いない』という風だった。」
と取り上げていました。既に10年以上の歴史があったのか、「レンジアップ」には。
そのほか、
「レンジアップ商材」「レンジアップ商品」「レンジアップサラダ」「レンジアップケーキミックス」
など、いろいろ使われていました。「チンする」では、余りに使い慣れた言葉なのであんまりかっこよくないから、ちょっとカッコよく言ってみたのかなあ。