新・読書日記 2014_003
『勇者たちへの伝言~いつの日か来た道』(増山実、門川春樹事務所:2013、12、15)
西宮市民と阪急ブレーブスファンは、すべからく読むべし!「フィールド・オブ・ドリームス・オブ・ブレーブス」!
「ビーバップ・ハイスクール」「探偵!ナイトスクープ」や「ミヤネ屋」等、関西を中心にテレビ番組の構成を担当してきた放送作家・増山実(ますやま・みのる)氏が先月、初めての著作である小説『勇者たちへの伝言~いつの日か来た道』を上梓しました。この作品は、第19回松本清張賞の最終候補(4作品)に残った小説です。
舞台は、兵庫県西宮市。そしてタイトルからも想像されるように、「勇者」というのは、
「阪急ブレーブス」
のことを指しています。
少年の頃、「阪急ブレーブス」ファンだった、五十路に入った放送作家である主人公が、たった一度だけ父に連れて行ってもらった「西宮球場」の思い出の地を歩くうちに、不思議な記憶のつながりの中で、自らと家族、父の初恋の人などのルーツをたどることになり、意外な歴史の荒波にもまれて波瀾万丈の人生を送ることになった人たち、同じく歴史の波間に消えていった「ブレーブス」の魅力に改めてはまっていくという、ファンタスティックな物語です。おそらく、一度読み出すと、読み終わるまで眠れないことでしょう。
本書は12月中旬の発売以来、舞台となった西宮球場の跡地に建った「西宮ガーデンズ」の書店(「ブックファースト」)では、文芸部門ランキング2位を記録。また、「ジュンク堂西宮店」でも、文芸部門1位を記録するなど、「地元小説」として、西宮ではブームとなり始めています。
この小説は、単なる「地元・西宮」や「阪急ブレーブスファン」のみならず、「昭和」の時代に青春を過ごし、その後の平成の時代を生き抜いてきた人たちへの「応援歌」として、強く心に響く、良い作品だと思います。