新・ことば事情
5351「国会の安倍首相の答弁」
2月4日の国会の答弁で、安倍首相がこのように話しているのを、NHKのお昼のニュースで流していました。
「国民の6~7割が賛成していても、国会議員の3分の1が反対して、憲法が変わらないというのはいかがなものか」
だから、憲法96条を改正して「憲法改正の手続き」を変えようという趣旨ですね。
現状では、憲法改正には、
「衆参両院の国会議員の3分の2以上の賛成が必要」
です。それを「過半数」にハードルを下げようというわけです。
確かに、安倍首相の発言、そこに数字上の嘘はないのですが、
「あれっ?」
っと思いました。というのは、この文章が成り立つのなら、逆の文章も成り立つはずだからです。もし「過半数」に改正のハードルが下がると、
「国民の6~7割が反対していても、国会議員の半数を少し超える人が賛成して、憲法が変わるのはいかがなものか」
ということですよね?この手の数字を用いた話はしっかりと聞くことが大切です。一種の「詭弁」であることもあるからです、「答弁」ではなくて。
明らか「詭弁」だったのに反論できなかった(あきれてしなかった)ものでは、小泉元首相の、
「自衛隊は戦闘地域には派遣しない。だから、現在、自衛隊の派遣されている所は戦闘地域ではない」
というトートロジーがありました。
たとえば、6割の投票率の選挙で、その中の6割の得票率で当選した人は、
「全体の36%の支持しか得ていない」
ということ。残りの64%は、「少なくとも、支持はしていない」ということに気を付けないといけません。民主主義は万全ではなく、欠陥がある。それをちゃんと分かった上でフォローする姿勢が、政治家に求められるのではないでしょうか。