新・ことば事情
5343「炒まったら」
「ミヤネ屋」の名物コーナー・林先生「愛のスパルタ料理塾」のレシピを事前にチェックをしていたら、
「炒まったら」
という表現が出て来ました。これに違和感が。
「炒める」
は他動詞です。目的語を取ります。つまり、
「○○を炒める」
となるわけです。それが「自動詞」だと、
「炒まる」
ですが、その「○○」が、自分で勝手に「炒まる」ということはありません。必ず「炒めた」結果「炒まる」わけですから、「炒まる」を単独で使うのは、やはりおかしいはずです。
『三省堂国語辞典・第7版』を引くと、見出し語として載っているのは「炒める」だけ。その中に「自動詞」は「炒まる」は載っていましたが、見出し語としては載っていない。ということは、実際には流通していない、これまでは使われていなかったということでしょう。『精選版日本国語大辞典』にも「炒める」は載っていても、「炒まる」は載っていませんでした。
では、炒めた結果、「炒められた状態になったこと」を、どう言えばいいのか?
「火が通ったら」
で、いかがでしょうか。
実際の「炒める」は、「油で炒める」ので、「火が通ったら」だけでは表現が足りないかもしれませんが、なかなか言い換えが難しいのも事実ですね。