新・読書日記 2013_227
『辞書に載る言葉はどこから探してくるのか?~ワードハンティングの現場から』(飯間浩明、ディスカヴァー携書:2013、12、30)
去年12月に「第7版」が出た『三省堂国語辞典』=『三国(さんこく)』。その編纂を担当した早稲田大学非常勤講師の飯間浩明さんによる、「三国」の解説書とでもいえる一冊。それも単なる解説書ではなく、面白くてためになる解説書だ。(飯間さんから1冊、贈呈していただきました。ありがとうございます。)
サブタイトルは「ワードハンティングの現場から」とある。飯間さんは、そういった言葉を本や雑誌・新聞・テレビ・インターネットなどのメディアからも、もちろん「ハンティングする」のだが、もっと人々の生活の中からも"獲物"を捕まえる。それは「街中から」だ。実際に街に出て、店の看板やメニューなどなどから「言葉」を拾ってくる。まさに「ワードハンティング」だ。その「狩猟場」は、「秋葉原、渋谷、銀座、原宿」など「流行を発信する街」から、「アメ横、戸越銀座、高円寺、巣鴨」という「ふだん着の街(お年寄りの街?)」、水道橋、深川、浅草~押上、月島~佃島など「昔の面影を残す街」、高田馬場~早稲田、新橋、神田、大久保という「混沌と熱気の街」、池袋、新宿、麻布十番~六本木、日本橋という「高層ビルのある商業地区」、千住、吉祥寺、柴又、舞浜という「都心を離れた街」を歩いて拾い集めた言葉を紹介。「辞書を作るのには、こんなに歩かなければならないのか!」と、皆さんビックリするのではないか?まあ、私なども似たようなことをやっていますが、これほど徹底してはやっていません。できません。さすが、プロ!ですね。
なおこの「ワードハンティング」のエッセイは、NHKラジオのテキスト「英語5分間トレーニング」に「街角ことば探検」というタイトルで、2年に亘って連載されていたそうです。知りませんでした!