新・ことば事情
5336「鈴懸のなんちゃら(略呼称)」
(2013年11月22日に書きかけました)
AKB新曲のタイトルが、長いので話題になりました。そのタイトルは、
『鈴懸の木の道で「君の微笑みを夢に見る」と言ってしまったら僕たちの関係はどう変わってしまうのか、僕なりに何日か考えた上でのやや気恥ずかしい結論のようなもの」
なーがーいなー!
で、当然、全部放送で字幕では出せない長さなので、なんと「略称」が決まったそうです。略称は、
「鈴懸のなんちゃら」
うーん、最初からそれでいいのではないか?と思っちゃいました。
その後、『ポエムに万歳!』(小田嶋隆、新潮社)という本を読んで、
「ふーん、いわゆる『きれいごと』っぽい、上滑りしているような言葉のことを『ポエム』と呼ぶのか」
と思っていたら(「"ポエム"」は小田嶋隆さんが名付けたようです)、今(2014年1月14日)NHKの『クローズアップ現代』で、
「あふれだす"ポエム"のような言葉」
「若者たちが熱狂?前向きで優しい言葉」
として、この「"ポエム"」を取り上げていました。「居酒屋」の経営者が、店内などでこういったことを積極的に行う傾向があるほか、「新しい地名」や、なんと地方自治体の「条例名」にも、先ほどの「鈴懸のなんちゃら」のように、めちゃくちゃ長い名前が付けられる傾向があるそうです。
例えば、熊本県人吉市の「ふるさと納税条例」の名称は、
「子どもたちのポケットに夢がいっぱい、そんな笑顔を忘れない古都人吉応援団条例」
という長いもの。前文も、
「人吉をふるさとだと思っていただいているすべての方々に伝えたい。
ふるさとはあなたの思い出のとおり、今も青い山々と翠(みどり)なす球磨川のきらめきの中で春夏秋冬を優しく刻んでいます。
あの春の日、大きな夢と少しの不安を抱いて旅立った人吉駅のプラットホームは、昔と同じ官製(昭和)の匂いがかすかに残ったまま新生SLを迎え、秋空に響き渡るおくんち祭りの青井さんは国宝になりました。線路の遥か向こうに憧れを追いかけていたあの頃、小さな幸せが子どもたちのポケットからこぼれ落ちそうで、また、悲しみさえも持ち寄り、支え合う場所があったような気がします。今、人吉は笑顔のまちづくりに取り組んでいます。時代が変わっても誠実に生きることが報われるまちであることを目指して。
いつまでも人吉の応援団としてお見守りください。」
と長―い!!これが「条例」の「前文」?たしかに"ポエム"だな!うーん、いいのかな、これで!(伝わればいいのか?伝わる?)
で、この「クローズアップ現代」の放送が終わった直後に流れたのが、なんと、
「花は咲く」
のミュージックビデオ。これこそまさに"ポエム"的な音楽なのでは?番組の方向とちょっと違うなあ・・・と、放送の直後だっただけに思いました。