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『道浦TIME』

新・読書日記 2013_226

『紅白歌合戦と日本人』(太田省一、筑摩選書:2013、11、15)

 

大晦日までに読もうと。でも感想を書くのが年明けになりました。

こういうような視点で書く人は、例えば京都大学の佐藤卓己先生などがいらっしゃる(やはりNHKの「青年の主張」や「のど自慢」等の「素人参加番組」を分析されたりしている)が、私は好きですね。著者は1960年生まれの社会学者。テレビ文化論がご専門だそうです。(たしか佐藤先生も1960年生まれだった!)

第1章「復興の中の『紅白歌合戦』」、第2章「豊かさの中の『紅白歌合戦』」、第3章「喪失の再生――80年代後半―2000年代の『紅白』」、そしてまとめとして、終章「3・11以後の『紅白歌合戦』」と、いうように流れを追っている。私が、子ども心に紅白を意識し始めたのは、「第2章」の途中ぐらいのフォークソングあたりからだが、それは、それまでに「創成期」があっての「中継ぎ投手的」な歴史の1ページだったわけですね。

「『紅白』というホームドラマ」「ワイドショー化する『紅白』」あたりで「歌謡曲の衰退」を感じ、第3章で「紅白」で中島みゆきや長淵剛の「生中継」(NHKホールの外からの)が始まったことや、「J-POP」の台頭、「トリ」の意味の変容、パロディなど「遊び場」になった「紅白」、アイドルたちの現在など、興味深い分析が続く。

そして最後に「3・11以後」という時代の、2011年&2012年の紅白(美輪明宏の「ヨイトマケの唄」まで)の分析。

350ページの本書の分析の結論は、実は、帯に書いてある、

「それは『心のふるさと』だった」

と。安住の地として、バーチャルな存在の「ふるさと」、今は存在位しないかもしれないが、記憶の中に残る「故郷」「ふるさと」を、「歌」で提示することだと。

 


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(2013、11、30読了)

2014年1月22日 14:00 | コメント (0)