新・ことば事情
5318「へたれ具合」
会社からの帰途にすれ違った女性二人の会話の断片が耳に入りました。それは、
「ボアのへたれ具合が・・・」
というものでした。うん?なんだかおかしい。
「ボア」というのは「大蛇」ではなく、コートなどの首のところ(襟)に付いているモコモコとした暖かい物ですよね。それの
「へたれ具合」
うーん、なんだか。
「屁たれ具合」
に思えてしまって、思わず「プッ」と噴き出してしまいました、あ、もちろん「口」から。
この「へたれ具合」というのは正しくは、
「へたり具合」
なのではないでしょうか?
ただ、「へたり具合」という場合の「へたり」は、
「へたる」
が原形ですよね。それであるならば、五段活用で「連体形」は、
「へたる具合」
かな?「り」になるのは「連用形」ですね。
一方、「へたる」に似た言葉には、
「へたれる」
がありますね。こちらは「下一段活用」で「連体形」は、
「へたれる具合」
になって、やはり「へたり」にはならない。あ、そうか、つまりこれは、「へたる」の「連用形」が、そのままの形で「名詞」になっている。その「名詞」である「へたり」+「具合」で「へたり具合」なのですね!
「へたれ」は、「へたれる」の「連用形」の「へたれ」が「名詞」になってそれに「具合」が付いたと考えられるかな。
ちなみに、「へたる」「へたれる」を漢字表記は、国語辞典に載っていません。あえて書くなら、
「斃(へた)る」
かなあ・・・。似ている言葉には、
「へばる」
がありますね。
いま、「ミヤネ屋」の、年内最終12月27日の放送で、AKBの指原莉乃さんのことを指して、カタカナで、
「ヘタレ」
と出ていました。これは「屁たれ」ですね。