新・ことば事情
5316「当面の間」
午前11時10分、11時半からのお昼のニュース担当のWアナウンサーが、お昼のニュースの原稿を持って尋ねて来ました。
「道浦さん、『当面の間』というのは『重複表現』ですよね?」
「うん?そのとおり!これは『当面』でいいよね。おそらく『当分の間』との"混交表現"だね」
「わかりました!」
ということで、問題が解決した後に、
「あれ?でも『当分の間』も、『当分』でいいのではないかな?これも『重複表現』かな?」
と思って辞書(『精選版日本国語大辞典』)で「当分」を引いてみたら、意味は、
「ここしばらく。あとしばらく。また、今この場合。現在のところ。さしあたり」
と列挙されていました。そして、「当分の間」も載っていました。意味は、
「ここしばらくの間」
で、用例はなんと夏目漱石の『吾輩は猫である』(1905-06)で、
「翌日から当分の間といふものは<略>昼寝もしないで」
というものでした。