新・ことば事情
5312「忌み言葉としての『で』『から』」
放送では「場所を示す」場合の助詞は、
「で」
を使います。古風な、
「にて」
は使わないことになっています。また「期間の始まり」を意味する、
「より」
は、「比較の『より』」と混同するといけないので使わず、代わりに、
「から」
を使うようにしています。
ただし、例外があります。「演劇・興行関係」の告知では、
「『で』『から』は避ける傾向がある」
のです。たとえば、
×「松竹座で」 →○「松竹座にて」
×「4月1日から」→○「4月1日より」
のようにします。これは、
「『で』は『出』に通じて縁起が悪い」
「『から』は『空』に通じて縁起が悪い」
ということで、つまり、
「忌み言葉」
というわけですね。昔、毎日放送の三好俊行・元アナウンサーに教わった話です。