新・ことば事情
5301「肌色」
先日、大分市内で行われた新聞用語懇談会の秋季合同総会で、毎日新聞の用語委員から出た言葉の事例で、
「肌色」
についての話がありました。それによると、読者の方から、
「『肌色』という言葉は特定の人種を前提にしており、クレヨンや絵の具などの業界では名称を『ペールオレンジ』などとしているが新聞ではどうか?」
という趣旨の質問があったのだそうです。毎日新聞では特に規制をかけていないそうですが、対応を決めているとか論議したという社があったらご意見を、ということ。
ちなみに、この毎日新聞の委員の方が、会議の前に文房具屋さんに寄ってみたら、たしかに「ペン類」は、
「ペールオレンジ」
あるいは、
「うすだいだい色」
という表示だったそうですが、「画用紙」は、
「肌色」
と表示されていたそうです。また小学生に聞いてみたら、小学1年生は、
「うすだいだい色」
と答えたけれども、小学2年生は、
「肌色」
と答えたそうです。これに対して各社の意見は、
(NHK)5年以上前に「『肌色』という表現はおかしい」という指摘が視聴者からあった。今は「肌色」を使っていない。なかなか出ては来ないが、「ペールオレンジ」も使わない。近い色で「ベージュ」と言ったりする。年配の人が「肌色」と言うことはある。3年ほど前に調べた時、「JISの色の名称」で「肌色」は、まだあった。もちろん「焼き物」の「『はだ』の色」の「はだ色」は使える。
(テレビ東京)「肌色」を英語で「スキンカラー」と言っても、人種によっても違うので意味不明だ。もし「肌色」と使って抗議があれば、「『日本人の(黄色人種の)肌の色』という意味だ」と答えてはどうか。
というような意見が出ました。私もこの問題は何年か前に耳にしたことはありましたが、そもそも最近、放送で「肌色」って使わない気がします。