新・ことば事情
5288「過払い」
11月20日のお昼のニュースに出て来た、
「過払い」
という言葉を、Iアナウンサーは、
「カバライ」
と濁って読んでいました。これって「未払い」=「ミハライ」とおんなじで、濁らずに、
「カハライ」
ではないか?と思って、以前書いた「平成ことば事情351未払い」の原稿をチェックした所、案の定『広辞苑』では、
「カハライ」
と濁らなかったので、その旨をIアナウサーに伝えました。
しかし、その日の夕方のニュースで、今度はHアナウンサーがまた、
「カバライ」
と濁って読んでいたので、アナウンサー全員に、
×「カバライ」→○「カハライ」 ※「未払い」と同じ。
とメールしました。
ところが、本番が終わって戻ってきたHアナウンサーが、
「NHKのアクセント辞典には載っていなかったので、『新明解』を引いたら『カバライ』と濁っていたんで、そう読みました」
と言うではありませんか!そこで、さっそく『新明解国語辞典』を調べてみたところ、たしかに、
「かばらい」
と「濁って」見出しになっていたのです。他の辞書は、
『三省堂国語辞典』も「かばらい」と濁る。
『岩波国語辞典』も「かばらい」で濁る、
『明鏡国語辞典』は見出しは「かばらい」と濁り、「かはらいとも」と。
『デジタル大辞泉』は見出しは「かはらい」と濁らず、「かばらいとも」と。
『新潮現代国語辞典』は見出しは「かはらい」と濁りませんが「かばらいとも」と書かれていました。
こういったことから考えると、元々は「かはらい」と濁らなかったものが、最近は「かばらい」と濁るようになってきているのではないか?と考えられます。
必ずしも「かばらい」が間違いとは言えないようです。失礼しました。