新・ことば事情
5283「『あんさん』と『あんちゃん』」
NHKの朝ドラ『ごちそうさん』主演の女優「杏」。「さん」を付けると、
「あんさん」
ですが、「あんさん」は、「あんたさん」の略で、大阪弁では「あなた」を丁寧に言った言葉ですよね。牧村史陽『大阪ことば事典』には、
「あなたさんの略語。主として商人用語。一般にはアンタハンを用いた」
とありました。
一方、「杏」に「ちゃん」を付けると(発音は)、
「あんちゃん」
となりますが、これは大阪弁ではなく、「あにさん」「お兄さん」を指す言葉。『精選版日本国語大辞典』には、
(1) 自分の兄を呼ぶ。幼児の語。あんちゃ。
(2) 一般に若い男を呼ぶことば。時に不良青少年を呼ぶ場合もある。
とありました。
「ひや」と「おひや」、「にぎり」と「おにぎり」というような、「お」を付けるかどうかで意味が異なる言葉のように、「さん」を付けるか「ちゃん」を付けるかで意味が変わる言葉もあるのですね。
と、小学3年生の娘に教えたのですが、伝わったかな?