新・ことば事情
5280「お上がりなさい」
『失礼な敬語~誤用例から学ぶ、正しい使い方』(野口恵子、光文社新書:2013、6、20)を読んでいて、敬語の使い方で最近は、
「召し上がる」「いらっしゃる」
のように形が変わる敬語はあまり使われなくなってきていて、その代わりに、
「れる敬語」
がよく使われていると。具体的に言うと、
「食べられる」「来られる」
というように「食べる」「来る」という元の形が分かるものに「れる」をくっつける敬語の使い方になっていると書かれていました。
だから、「行く」も敬語にすると「いらっしゃる」ではなくて、「行かれる」になるので、
「先生はイカレタんですか?」
というような、聞きようによってはビックリするような「イカレタ物言い」になってしまうと。確かにそんな傾向はあるよなあ。
そこでふと浮かんだ、最近はあまり耳にしなくなった敬語に、
「お上がりなさい」
があるなと思いました。これも、
「お食べなさい」
になるんですかね。子どもの頃、友達の家に行って「おやつ」をもらったり、おばあちゃんの家に行ってご飯を「よばれる(御馳走になる)」場合に、友達のお母さんやおばあちゃんなどが、
「お上がり(なさい)」
と言っていたなあ。最近、聞かないなあ。そういう状況がないからかなあ。今でも使われているんだろうか?