新・ことば事情
5279「甘じょっぱい」
『ビッグコミックスピリッツ』に連載中の吉田戦車の漫画『おかゆネコ』第70話「塩麹のおかゆ」の最後のコマで、「塩麹のおかゆ」を食べての感想で、
「まろやかな甘じょっぱさ・・・美味しい!」
というように、
「甘じょっぱい」
という言葉が出て来ました。
関西人にとっては、そもそも、
「しょっぱい」
という言葉はあまりなじみがありません。普通は、
「塩辛い」
を使うと思います。作者の吉田戦車さんは岩手出身。東日本の人は「しょっぱい」を普通に使うでしょうから、
「甘辛い」
のような使い方で(味は違いますが)「甘じょっぱい」を使うのでしょうね。
あれ?今「味は違いますが」と書きましたが、そもそも「しょっぱい」を「塩辛い」と表現するのならば、「甘じょっぱい」は「甘辛い」と言うかもしれないな。同じものかな?
それと私の違和感は「甘じょっぱい」が「じょっぱい」と濁ることです。「甘辛い」は、あくまで
「あまからい」
と濁らず二つの味を並列にしていますが、それと同じような感覚ならば、
「甘しょっぱい」
と濁らないはずでは?発音が濁ると「味も濁る」ような気がするのですが・・・・。
いかがでしょうか?グーグル検索(11月18日)では、
「甘じょっぱい」= 14万3000件
「甘しょっぱい」= 6万7700件
「甘辛い」 =152万0000件
「甘がらい」 = 3万7600件
「甘からい」 = 5万2300件
「あまからい」 = 1万3300件
「あまがらい」 =「甘辛い」と同じ表示
でした。ネットによると、「お餅を食べる時の砂糖醤油」「みたらし団子」「鶏肉の照り焼き」「高級な梅干し」といった物に使われる表現のようで、やはり関東以北でよく使われているようです。