新・読書日記 2013_192
『劇団四季メソッド「美しい日本語の話し方」』(浅利慶太、文春新書:2013、7、20)
「劇団四季」の創設者で、長野冬季五輪の開会式の演出でも知られる著者。
発声の基本は「呼吸法(腹式呼吸)」「母音法」「フレージング法」の3つだと言い切り、その方法を説いている。これを守れば美しい日本語を話せるようになると書かれている。それを浅利氏は、長年の親友である小澤征爾氏の言葉から学んだと言う。小澤氏の言葉というのは、
「優れたピアニストの音は、一音一音が分離している。ピアノ・コンチェルトでピアノの音がオーケストラの壁を抜けて響くのは、演奏された一音一音が等間隔で並んでいるときだ」
というもの。浅利氏はこれを聞いて、
「俳優のセリフも同じことではないか?」
と思って、
「母音をはっきりと、滑舌よく話す」
ことの重要性を、改めて感じたという。
ただ、一音一音をはっきりしゃべることだけでは、ブツギレの言葉になってしまう。そこで「フレージング」が出てくるというわけ。意味で捉えて「伝える」気持ちで歌うということだと思う。
内容は、半分ぐらいは同意、細かいところはちょっと感想が違う。
浅利慶太が、慶応高校時代、1つ先輩に、のちの作曲家・林光がいたとか、小澤征爾とも長年の親友であるなどの交遊録もおもしろい。
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