新・読書日記 2013_183
『石原慎太郎を読んでみた』(栗原裕一郎・豊﨑由美、原書房:2013、9、4)
栗原裕一郎=1965年生まれ、豊﨑由美=1961年生まれ。ほぼ同世代の二人。トヨザキさんは書評家。豊崎さんは「石原慎太郎が大キライ」だが、批判するにしても、ちゃんと石原慎太郎の作品を読んでいなかったことに気付き、「作家・石原慎太郎」をきっちり評価すべく、その作品を通読して、1年間を通して月1回のペースでトークイベントを開いた。その企画を持ち込んだのが栗原さん。おもにこの2人の対談を集めたもの。400ページ近くて、しかも上下2段組で、かなりボリュームがある。
私も、立場的には豊崎さんに近いものがあるので、興味があってこの本を読んでみた。
結果から言うと、「作家としての石原慎太郎は、かなりすごい」というような結論に至ったようだ。特に初期の頃は。更に言うと、文章は悪文でヘタ、特に心情を描かせると全然ダメなのだが、情景を描かせるとかなり秀逸なのだとか。しかも、ものすごい量の作品を精力的に書いている。弟・裕次郎に対するコンプレックスなどもあったのでは?と読み解かれたりしていて、おもしろい一冊でした。
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