新・読書日記 2013_185
『地雷を踏んだらサヨウナラ』(一ノ瀬泰造、講談社文庫:1985、3、15第1刷・2012、9、3第29刷)
今年の夏休みにベトナムのホーチミン(サイゴン)を訪れた。戦争博物館にも行った。そこに殉死した戦争ジャーナリストの名前の一覧もあった。日本人ジャーナリストの名前が4人記されていた。そのうちの一人がこの本の著者。沢田教一と一ノ瀬泰造という名前だけは知っていたし、この本のタイトルは知っていたが、まだ読んでいなかったので、読むことにした。読み終えるのに、結構時間がかかったが、「本」「手記」と言うより、「手紙」をまとめたものだった。その分、ものすごくあからさまに、当時の状況が浮かび上がる。ベトナムで「女を買う」は当たり前だったのだなあとか、当時は「バングラデシュ」という国名のカタカナ表記は「バングラディッシュ」だったとか、40年前の状況が浮かんできて、いろいろとわかる。
25歳ぐらいの若者が、ベトナム戦争という中にカメラマンとしての立身出世を求めて、命懸けでカンボジアのアンコールワットの写真を撮りたいと向かって行った。先のことなどあまり考えていなかったのだろうな。
当時の時代背景が分からないと、きっちりとは理解できないのではないかと思った。
石原慎太郎も作家としてベトナムに行き、その後、政治家になった。開高健もベトナムに行った。
それにしてもこの本、映画化もされたし、なんといっても文庫本になったのが1985年で、私が買ったのが2012年9月の発行のものだが、なんと「29刷」である!超ロングセラーだ!!生きていたら著者は、66歳になっている。
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