新・読書日記 2013_179
『ヘイトスピーチとネット右翼~先鋭化する在特会』(安田浩一・岩田温・古谷経衡・森鷹久、オークラ出版:2013、11、4)
京都の朝鮮学校の周辺で「ヘイトスピーチ」と呼ばれる差別的な発言をしたとして、街宣活動を行った団体(在特会=「在日特権を許さない市民の会」)などに10月7日、京都地裁が1200万円余りの賠償などを命じた。私はこれまでに安田さんの著作を読んだりして「ヘイトスピーチ」という言葉を耳にしたことがあったが、今回のこの裁判のニュースで、初めて「ヘイトスピーチ」という言葉を聞いた人も多いことだろう。そこでもう一度「ヘイトスピーチ」について勉強しておこうと思って、この本を読んだ。4人の著者の内、安田さんが1964年生まれで、少し年が行っているが(と言っても私よりは若いが)、そのほかの人たちは、岩田氏(1983年生まれ)、森氏(1984年生まれ)、古谷氏(1982年生まれ)といういずれも若者の論客たち。「ネット右翼」と呼ばれる人も含まれている。それぞれの言い分を集め、最後は4人による対談という構成である。
読んでいて「ははあ、そういう考え方もあるのか」と思ったのは、「嫌韓」という空気が作られたのは「2002年日韓共催ワールドカップ」で、韓国サッカーの汚いサッカーのやり口を見たから・そしてそれ以上に、東西冷戦構造が崩れて、これまで「東」に向けて攻撃していた韓国が攻撃対象を失い、その矛先を日本向けたと。それがあったからこそ、日本側でも「嫌韓」感情が生まれたのだという主張。そうかあ、そういう捉え方もあるのかと思った。
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