新・ことば事情
5253「顔を殴られる大けがをしました」
10月21日のお昼のニュースで、大阪・豊中市で、自転車に乗った男による連続強盗事件が起きたというニュースをお伝えしました。その中に出て来た、
「顔を殴られる大けがをしました」
という一文にひっかかりました。これは正しくは、
「顔を殴られて大けがをしました」
あるいは、「鼻骨骨折」だったそうですから、
「顔を殴られて鼻の骨を折る大けがをしました」
とすべきでしょう。原稿を書いた記者によると、
「尺(原稿の時間)の関係で『鼻骨骨折』という言葉を落としました」
とのこと。デスクは、
「うーん、これは許容だと思いますけどねえ」
とのこと。尺の関係で言うなら
「顔を殴られて大けがをしました」
にすればいいでしょう。そもそも、
「○○の大けが」
という場合の「○○」と「大けが」は「同格」です。「鼻の骨を折る(=鼻骨骨折)」と「大けが」は同じことを言っています。あるいは「大けが」の詳しい内容(症状)が「鼻骨骨折」ということです。
それに対して、今回原稿に書かれていた、
「顔を殴られる大けが」
という場合、「顔を殴られる」は「けがの原因となった行為」であり、その「結果」が「大けが」ということであり、「同格」ではありません。
その辺りははっきりさせるべきだと思うのですけどねえ。
(2013、10、21)
(追記)
この話は10月22日配信のニコニコ動画「第7回道浦俊彦のことばのことばかり」の「今月のことば」のコーナーで、ご紹介しました。
ちなみに来月は、「11月27日(水)の午後7時から」です!お楽しみに!!
(2013、10、23)