<2007年に書き始めました。当時の番号は「平成ことば事情3393」>
「物価の優等生=卵」
それは本当か調べたところ、たしかに優等生ですね!
1956年(昭和31年)には、1キロ当たり241円が、51年後の現在(2007年)は358円。たったの1,5倍です。その間に、牛乳1本は7倍以上になっています。ただ、牛乳は前年の1956年(昭和31年)には95円だったものが、たったの1年で2,5倍!これは、「もはや戦後ではない」とした『経済白書』の年、高度経済社会に突入したことを示しているのでのではないでしょうか。銀行員の給料も1956年(昭和31年)には5600円だったのが翌1957(昭和32年)には、一気に1万2700円になっています。値段の歴史年表を見ていると、いろいろ背景が透けて見えて、おもしろいですね!
ちなみに、ガソリン1リットルの値段は、1957年(昭和32年)にはいくらだったでしょうか?・・・・答えは39円でした。(2013年10月14日現在、家の近所のガソリンスタンドでは、リッター149円でした)
2009年7月2日に近くの「ダイエー」で調べた「Mサイズ(58~64グラム)の卵10個入りパック」は、
「218円」
でした。
2009年7月23日の日経新聞によると、
「鶏卵卸値一段安~3月下旬から21%下落」
とありまして、
「指標となるJA全農たまごMサイズ価格(東京地区、加重平均)は1キロ150円、前週にくらべ5円値下がりし、直近で高値をつけた3月上旬からの下げ幅は40円に達した。前年同期にくらべても45円安い」
とのことです。3週間で、
「218円→150円」
になってる!
2006年11月29日に書いた「平成ことば事情2735映画『酔いどれ天使』の言葉」では、
「うみたて玉子一ツ十八円」
と映画の中で出て来たと。映画の公開は1948年(昭和23年)4月です。この文章を書いた2006年11月、近くのスーパーで10個入りのLサイズの卵のパックが、
「208円」
でした。「Mサイズ」は、
「186円」。
ということは、
「1個20円前後」
驚いたことに60年近く前と値段が変わらないのです。物価は何十倍、いや100倍以上になっているだろうに。
この映画の最後のほうでは、主人公・三船敏郎が死に、その葬式代が、
「6000円とちょっと」
というシーンが出て来ます。先日どこかで読んだ、
「葬式代の平均は150万円」
というデータを信じると、葬式代は60年間で「250倍」になっているのに、卵は、
「1倍=同じ」
きっと「バナナ」もそういう食物のひとつなんじゃないでしょうか?
なお、作家の吉川英治は、1921年(大正10年)に懸賞小説で得た「600円」で母の葬式をしたそうです。1921年から1948年の、戦争の時期を含む27年で、葬式代は「10倍」になっているということですね。
<ここまで、2009年11月25日に書きました。>
<以下、2011年4月12日に書きました>
2011年1月12日付の『朝日新聞』によると、
「鶏卵の値段が5年半ぶりの水準に高騰している」
とのこと。記事によると、
「昨夏(2010年)の記録的な猛暑で多数の鶏が死んで生産が落ちていたなか、急な寒波で鍋ものなどでの需要が急増。国の生産調整や鳥インフルエンザの影響を懸念する声もある。」
と。「物価の優等生」の値段ですが、指標となる「JA全農たまご」の
「Mサイズの1キログラムの平均卸値」(東京市場)は、
「2010年12月=240円」
で、鳥インフルの影響を受けた、
「2005年2月の272円以来の高値水準」
だそうです。ちなみに、
「2010年10月=197円」
で、2か月で2割上がったそうです。「小売値」も当然上がって、Mサイズ10個入りパックが、
「2010年12月末=212円」(農林水産省調査)。
こちらも2005年5月以来の高値で、この間で「最も安かった」のは、
「2006年1月=166円」
と比べると46円高かったそうです。
年が明けた2011年1月12日現在の卸値は、
「1キロあたり180円」
と下がったが、それでも前年(2010年)同期の2割高。「小売値」は、
「1パック211円」
で2010年末とほぼ同じだったそうです。 記事は、
「過去40年の消費者物価指数で、鶏卵の上昇率は4割にとどまる。食料全体では約3倍値上がりしており、鶏卵が『物価の優等生』と呼ばれるゆえんだ。」
とあります。それは、すごいですね。
3か月後の2011年4月12日付『読売新聞』によると、
「卵6年ぶり高値~入荷減、Mサイズ216円」
(Mサイズ10個入り)で、3か月前に比べて、「4円値上がり」と言うか、「高どまり」の状態が続いていると。(だとすると「6年ぶり高値」という表現はいかがなものか?ということになりますが。3か月前の他紙の見出しが「5年半ぶり高値」ですから。)
この3か月間に何があったかと言うと、
「東日本大震災」
ですね。記事では、
「業務用を含んだ取引の指標となる平均卸売価格は、3月29日~4月6日に1キロ260円(Mサイズ・東京地区)を付けた。7日に250円、11日に240円と下がったが、震災前の185円より3割高い水準」
なのだそうです。卸値は3か月前より、20円上がっています。また、
「東北地方は東京への供給の3割を占めている」
そうです。
また、2013年9月12日の日経新聞によると、
「鶏卵卸値、上昇止まらず」
「生産調整を猛暑が影響」
とあります。記事によると、
「卸値は7月中旬に比べ約4割高い」
「『物価の優等生』といわれ、店頭での値上がりは今のところ小幅だ」
農水省がまとめた8月の鶏卵全国平均価格は、
「1パック(10個入り)=185円」
で、2013年7月比で「3円高」だそうです。
で、この文章の最初に戻って、全体を整理してみると、わたしのウォッチングによる卵(Mサイズ・1キロ)の小売価格の推移は、
<1948年4月 =180円(=1ツ18円)>
1956年 =214円
2006年 1月 =166円
2006年11月 =186円
2007年 =358円
2009年7月初旬=218円
2009年7月末 =150円
2011年 1月 =211円
2011年 4月 =216円
2013年 8月 =185円
で、57年前と比べて、全然変わっていない!・・・どころか安くなっているではないですか!!
一番高いのが2007年の358円!それでも安いが、これだけ値段が変わらないというのは、相対的には(実感としては)、
「値下がりしている」
ということですね。実感じゃなくて絶対値でも値下がりしてますね・・・すごい!本当に"優等生"です。
その後、現在、卵はいくらかな?最近あまり気にしていなかったけど。予想は、
「250円ぐらい」
かと思っていたけど、8月「185円」だと、200円は行ってないな、きっと。
と、これを書いた翌日、家の近所のスーパーで見たら(Mサイズ10個入りパック)、
「208円」
でした!うーん、本当に、値段が変わらない!
でも、日経新聞の2013年9月12日の記事の見出しは「上昇止まらず」だけど、長いスパンで見れば、ちっとも上がっていないじゃないか!
(2013、10、15)