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『道浦TIME』

新・読書日記 2013_171

『破綻~バイオ企業・林原の真実』(林原靖、ワック:2013、7、26第1刷・2013、9、14第6刷)

 

東日本大震災の直前に発覚した、岡山のバイオ企業「林原」の破綻。「林原」と言えば、昔は「カバヤキャラメル」でも有名だった。その後「バイオの雄」「地方の雄」として名を馳せたが、2011年の2月、「え、なんで?」と思われるニュースで名前を聞き、東日本大震災で、そんな話も耳にしなくなったと思ったら、その間に「破綻」していたという。

いったい何があったのか?創業家・林原家で、社長の兄の片腕として専務を務めた著者が、「何があったのか」

を創業家の立場で語った。客観的ではないかもしれないが(一方の当事者だから)これまでは債権者・銀行側からしか語られなかった「事実」を、もう一方の側面から明らかにしたという意味では、貴重な一冊。読んでの感想は、

「『半沢直樹』よりも現実は厳しい、銀行の非情さ」

ということだろうか。著者が「様」付けで皮肉たっぷりに名指しする「S信託銀行」。本書を読めばわかるが、ある意味「林原は、銀行が潰した」と。ただ、やはりオーナー企業として、昨今のアメリカ化としてのグローバリズムと「コンプライアンス」について、経営陣があまりにも疎かったことが致命傷になったということも読み取れた。


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(2013、10、9読了)

2013年10月16日 11:50 | コメント (0)

新・ことば事情

5250「モンゴルの国旗、グルジアの国旗」

 

日本の国旗は?と言えば、誰でも

「日の丸」

と答えられますよね。図柄は「白地に赤い丸」、個人的にはシンプルで良いデザインの旗だと思います。

太平洋戦争に敗戦後、もしかしたらこの旗が変わっていたかもしれない...ということは、あまり考えたことがないのですが、世界の国々を見ていると、

「国旗は変わることがある」

のが常識のようです。私たち、「国旗は不変」だと思っていませんか?

たとえば、「モンゴルの国旗」「グルジアの国旗」、知らない間に変わっていました。

モンゴルの国旗が変わっているのに気付いたのは、2009年10月14日。その日の毎日新聞に出た「おわび」記事を見たからです。

「12日朝刊紙面で、万国旗の中のモンゴル国旗は誤りでした。おわびして正しい国旗を掲載します」

として、正しい国旗がカラーで記されていました。

で、どう間違ったのか?

10月12日の毎日新聞紙面を見ると、翌2010年のサッカーワールドカップ・南アフリカ大会に出場が決まった国々を伝える紙面に、

「デザインとして『万国旗』をあしらっていた」

のです。ほら、昔の町内の運動会のような感じの。その中にあった「モンゴルの国旗」が「古いデザイン」であったと。

どこが違ったか見比べると、古い方(つまり間違った方)は、国旗の図案の一番上が

「星(☆)」

になっていたのですが、現在の国旗(正しいもの)は、図案の一番上が、

「炎のような形」

になっていました。微妙な違いですが、確かに違います。

また「グルジア」の国旗も、2004年までは、あずき色の地味なものだったのに、2004年1月から、イングランド代表の様な「白地に赤十字」で、その4つに分けられた白いスペースにまた「風車のような4枚羽の十字架」が描かれたものに変わっていました。

その後、「2010年版」の世界地図を買ったので、「世界の国旗」のページを見ていたら、

2010年10月11日に気付いたのですが、

「セルビアの旗」

も変わっていました。以前は、

「上から『青・白・赤』の横縞の三色旗」

だったのですが、2006年、モンテネグロとの分離に伴って、

上から『赤・青・白』の横縞の三色旗の上(左側)にセルビアの紋章(双頭の白鷲?)が載ったもの」

になりました。

また、

「マラウイの国旗」

も変わっていました。2010年から2012年までは、

「上から『赤・黒・緑』の横縞の三色旗の真ん中に、白い太陽がさんさんと輝くデザイン」

でしたが、2012年5月28日、ベースの三色旗の色が、

「上から『黒・赤・緑』の横縞の三色旗」

になり、さらにその旗の一番上の「黒」の部分に、

「赤い太陽が半分顔を出し、昇りかけているというデザイン」

に変わっています。

「ミャンマーの国旗」

も、2010年10月21日に変わりました。それまでの、

「赤地で、左上4分の1が青、その部分に太陽のようなマーク」

という、ちょっと「台湾の旗」のような感じのものから、

「上から黄・黄緑・赤の横縞の三色旗のど真ん中に、白く大きな星マーク」

のデザインへの大規模な変更です。

2011年初頭の段階で、

「リビアやエジプト、チュニジアの国旗も変わるかもしれない。」

と思っていたら、やっぱり2011年2月に、

「リビアの国旗」

が変わりました。カダフィ政権のときは、

「緑一色」

でしたが、それが

「上から『赤・黒・緑』の横縞の真ん中に『三日月と星』のマーク」

の旗に変わりました。 エジプトとチュニジアの旗は、いまのところ変わっていません。

つい先日、最近「世界の国旗」に興味を持っていて、その「絵」を描くのに夢中の小学3年生の娘が、

「ねえパパ、ミャンマーの国旗ってどっちが正しいの?」

と質問して来ました。彼女が手にしている、数年前に買った、

「世界の国旗かるた」

に載っているものと、いつも、馴染みの本屋さんにもらう、

「今年のカレンダー付きの世界地図」

に描かれた「ミャンマーの国旗」のデザインが違ったのです。

「よく気が付いたねえ、ミャンマーの旗は、前は、このかるたのようだったんだけど、3年前にこっちに変わったんだよ」

と教えることが出来ました。

いつも、彼女を一緒に連れてワインを買いに行く酒屋さんには、イタリア、フランス、スペイン、ポルトガル、アメリカ、ドイツ、オーストラリア、など各国のワインが「国旗」で記されているので、知らず知らずのうちに「国旗」に興味を持ったのかもしれません。

え?「ワイン」には興味を持たないのかって?それはまだまだ早い!!

(2013、10、13)

2013年10月16日 09:58 | コメント (0)

新・読書日記 2013_170

『アントニオ・ロペス作品集』(アントニオ・ロペス、美術出版社:2013、4、27)

 

出張で訪れた名古屋。時間があったので会議が行われる会場近くでチラッと立ち寄った、美術館併設の「ミュージアムショップ」。そこで見つけた一冊が、これ。

表紙は、絶対「写真」だと思ったのに、「絵」なんですよね。しかも、

「あれ?これってスペイン・マドリードのグランヴィアの街角では?」

と思ったら、はたしてその通りでした。こりゃあ、買うしかないよね、と。

アントニオ・ロペスは、「現代スペイン・リアリズムの巨匠」なんだそうです。知らなかったです。しかも今年4月~6月まで東京のBUNKAMURAザ・ミュージアムで、6月末から8月まで長崎県美術館で、そして9月7日から10月27日まで(今でしょ!)は、岩手県立美術館で「アントニオ・ロペス展」が開かれているらしいです。行きたいけど、盛岡かあ・・・なんで大阪でやってくれないんだろ。京都か神戸でもいいけど。次は是非!


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(2013、9、20読了)

2013年10月15日 21:47 | コメント (0)

新・ことば事情

5249「『水のいのち』に思う」

 

ことしは、なぜか合唱曲「水のいのち」を歌ったり聴いたりする回数が多いです。

6月23日に東京・池袋の東京芸術劇場での「東西四大学OB合唱演奏会」で、小林研一郎先生の指揮で「稲門グリークラブ」の一員として男声版を歌い、8月4日に東京・文京シビックホールで「お江戸コラリアーズ」が男声版を、須賀敬一さんの指揮で歌うのを聴き、同じく8月11日、新装なった大阪フェスティバルホールで、またもや須賀さんの指揮で、今度は混声版を、何と1000人で歌うのを聴き、9月22日には東京・サントリーホールで、再び小林研一郎先生の指揮で「稲門グリークラブ」の一員として男声版を歌い、きたる10月20日には、大阪国際交流センターでの「おたまじゃくしコンサート」で「大阪稲門グリークラブ」(男声)の一員として「水のいのち」の1番と2番(雨・水たまり)を歌い、さらに11月3日には、兵庫・いたみホールでの「バッカスフェスタ」で「水のいのち」の5番「海よ」を歌います。もうすっかり「水のいのち」が染み付いてしまいました。

そこで、単に歌うのではなく、歌詞の内容、曲のイメージについて、自分なりにどう考えてみたかを記します。

まず1曲目の「雨」。「ふりしきれ、雨」で始まる。この曲に関しては、構成が非常に「映像的」だと思います。この曲に合わせて映像を撮影しているつもりで歌えます。まず冒頭は"俯瞰"で、上から下に降る雨。その雨粒の超アップからズームバックして、大地に振り様子を表します。そう、「シェルブールの雨傘」の冒頭のような感じ。ただ、「シェルブールの雨傘」は、色とりどりの傘が印象的でしたが、この雨の映像は「モノクロ」。干からびた地上のものどもに降りしきる雨は「慈雨」であり、乾き切った地上、瀕死の状態の地上の生物・無生物に「いのち」を与えます。雨水によって命を与えられた、井戸、踏まれた芝生、こと切れた梢、根、土、すべてのものが生き返る。立ち返る。その様子は、それまで「モノクロ」だった映像が、水がしみていくように徐々に「カラー」に変わっていくことで表します。(ありきたりだけど。)

天から降る雨は、すべての地上の物に「平等」に降る。分け隔てない。この「雨」という曲(詩)は、「いのち」「生き物」「生と死」「平等」「自然(の営み)」「慈悲」といったことを感じさせます。最後に「すべてを、そのものの手に」とある「そのもの」とは何か?井戸や芝生や梢や土?もちろん、そうとも考えられます。「全てをそのものの手に立ち返らせよ」という意味の倒置法。しかし、あえて私は「そのもの」というのは、

「自然=創造主たる神」

というイメージで捉えたいです。

この「雨」から始まる5曲をつかさどるのは、まぎれもなく「自然」という「神」であり、それと向き合う「人間」の、ある種の「あきらめ」(潔く心理を洞察する目、という意味での。元来の意味の「明らめる」)をうたっているように感じるからです。

というように、全体の意味を考えながら、「合唱曲」と言うよりも「ソリスト」になった気持ちで、表現力豊かに歌いたいなあと感じさせられる、そんな曲なんです「水のいのち」。

来週、またステージで歌います!

(2013、10、13)

2013年10月15日 18:13 | コメント (0)

新・ことば事情

5248「北と道」

 

<2010年3月11日にメモをして、その後ほったらかしでした。当時、話題になったのは「北教組」。当時の番号は平成ことば事情4049」>

 

「北海道○○」

という名称を略するときには、

「道銀」(北海道銀行)

「道新」(北海道新聞)

「道庁」(北海道庁)

「道道」(北海道道)

「道警」(北海道警察)

ちょっと変わったところでは、

「エアDO(たぶん、「エア北海道」からのネーミング」)

というように、「北海道」の「北海」を省略して、

「道(ドウ)」

を使いますね。その一方で、

「北大」(北海道大学)

「北教組」(北海道教職員組合)

のように、「北海道」の「海道」を省略して、

「北」

とすることもあります。

何かその区別にはルールがあるのかな?と思いますが・・・ないのかもしれません。

「北」と省略したら、「北朝鮮」など他の「北○○○」と間違うことがあるかもしれませんが、「道」と省略すると、ほかにはなかなか同じようなものはないなあと思います。その辺りがポイントかな。

(2013、10、13)

2013年10月15日 12:42 | コメント (0)

新・読書日記 2013_169

『僕らの新しい道徳』(岡田斗司夫FREEex、朝日新聞出版:2013、8、30第1刷)

岡田斗司夫が「現代の道徳」とは何か?について「この人!」と思った人と対談を行った。これからの日本を導くものは「道徳」なのだと。うーん、たしかにそういう面もあるかもしれないが、道を間違うと、これは大変なことになるぞと思いながら読んでいきました。

対談相手は、若い人が多い。

高木新平(1987年生まれ)、古市憲寿(1985年生まれ)、開沼博(1984年生まれ)、與那覇潤(1979年生まれ)。

ま、これ以外の東浩紀、橘玲(1959年生まれ)、小林よしのり(1953年生まれ)は、"若い人"とは言えないけど。でも、若い人、多いよね。いずれも、しっかりと自分の考えを持っている人だ。

キリスト教やイスラム教の様なベースとなる"宗教"を持たなくなっている日本人の「社会の常識」としての考え方を「道徳」に求めるという。いろいろと考えさせられる対談集でした。

それにしても、若い人に対してのときと、小林よしのりに対してでは、あまりにも言葉遣いが違い過ぎやあしまいませんか、岡田さん。これも「道徳」なの?


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(2013、9、30読了)

2013年10月15日 11:45 | コメント (0)

新・ことば事情

5247「取材に基づく再現」

 

「ミヤネ屋」をはじめ情報番組では、よく、

「取材に基づく再現

というテロップが出ます。映像で状況を説明する際に使います。

ところが、先日、

「取材に基づくイメージ

というテロップが発注されてきたのを目にしました。担当ディレクターに、

「取材に基づいて、当時のように演じて撮ったのなら、それは『再現』でしょ。正確に言うと『取材に基づくイメージの再現』であって、それを省略したら『取材に基づく再現』でしょう」

と言って、そのようにテロップを直させました。ところが、きょう他局の情報番組を見ていたら、

「取材に基づくイメージ

というテロップが出て来ました。内容は「再現映像」でした。そして、同じ番組で20分ほど後に出て来た別の話題のテロップでは、

「取材に基づく再現

でした。その使い分けに区別があるようには思えませんでした。

話は少し変わりますが、以前は、

「取材をに再現」

と書かれたテロップが多かったのですが、「ミヤネ屋」では、

「この場合は『に』ではなく、『基づく』という意味で『に』だろう」

と、最近はそのように表記しています。他の情報系番組も最近は、「取材をに」ではなく、

「取材をに」

と書いているように思います。

(2013、10、13)

2013年10月14日 18:41 | コメント (0)

新・ことば事情

5246「ずんばい」

 

先日、「ミヤネ屋」で川田裕美アナウンサーが"遅めの夏休み"を取ったために、NNN系列各局の女性アナウンサー・記者に「ピンチヒッター」をお願いしました。それぞれのお国柄(郷土色)の表れた、楽しい一週間になりました。

その中で、鹿児島読売テレビの女性アナウンサーが教えてくれた鹿児島方言に、

「ずんばい」

という言葉がありました。意味は、

「いっぱい」

なのだそうです。

「すんごい」

ということかな。GOO辞書で検索したら、

「ずんばい」(鹿児島の方言)=たくさん。()カツオがずんばいとれもしたど。(カツオがたくさんとれましたよ)

とありました。「ず」と「ば」の濁音が力強く、量が多いような感じがしますね。

(2013、10、13)

2013年10月14日 12:32 | コメント (0)

新・ことば事情

5245「病院と医院」

2011年10月10日の「ミヤネ屋」で、

「病院」

という表現を使っていました。一般的には、

「医療機関=病院」

ですが、厳密には違う。「医療法」によると、

「入院できるベッド数が20床以上」=「病院」

「入院できるベッド数がそれ未満(19床以下)」=「診療所」

です。一般的に「クリニック」「医院」というのは「診療所」のことだそうです。

2013年10月11日未明に福岡市博多区の「安部整形外科」で、10人が死亡するという痛ましい火事がありました。

それを伝えた「ミヤネ屋」では、当初、

「病院火災」

という表現を使って準備していましたが、途中から

「医院火災」

に変更して、放送では「医院火災としました。

その日(10月11日)の夕刊各紙の見出しは、

(読売)医院全焼10人死亡

(朝日)医院全焼10人死亡

(毎日)医院火災10人死亡

(産経)病院火災10人死亡

(日経)診療所火災10人死亡

ということで、

「医院」=読売、朝日、毎日

「病院」=産経

「日経」=診療所

でした。

(2013、10、13)

2013年10月13日 22:29 | コメント (0)

新・読書日記 2013_168

『昭和ことば辞典』(大平一枝・文、伊東ハムスター・絵、ポプラ社:2013、5、15)

うーん、なんだか「昭和チック」な気分に浸ることが出来る一冊だなあ。なぜだか「ハト」のイラストがそこここに出て来て、「昭和チック」なセリフをしゃべるんですけど。「昭和」と言っても、昭和30年代~40年代ぐらいが中心なのかなあ。もっと前のもあるけど。50年代~60年代になると、いわゆる「昭和」の感じじゃなくなって、「レトロ感」は減衰するからなあ。

いくつか「昭和チック」な言葉を並べてみると、

「お気張りやす」「精出してお稼ぎよ」「がぜん尊敬しちゃったわ」「大車輪で」「お払い箱」「差し詰め」「んまぁ」「どうぞおひとつ」「破廉恥な」「左前になった亭主」「おじゃまさまっ」「お床、敷きましょうか」「でくのぼう」「どたぬき」「堪忍して頂戴」etc.etc.

「しょーわ」だなあ!


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(2013、10、8読了)

2013年10月13日 10:24 | コメント (0)

新・ことば事情

5244「ケガニと手紙」

 

お昼のニュースを聞いていたら、

「安倍総理が、韓国の朴槿惠大統領にケガニを送っていたことがわかりました」

とアナウンサーが。

えっ?ケガニを!?

その後、よく聞いてみたら、「ケガニ」ではなく、

「手紙を送っていた」

でした。そりゃそうだな。いきなり「ケガニ」を送られても...ですよね。

まあ、わたしの耳も悪いのでしょうが、発音が似ているんですよ。

「ケガニ(KEGANI)」

「テガミ(TEGAMI)」

違うところはと言うと、最初の子音の「K」と「T」、最後の子音の「N」と「M」だけで、母音は全て同じです。しかも、アクセントパターンは、

「ケ/ガニ」

「テ/ガミ」

で、共に「平板アクセント」ですから、まあ聞き違えても仕方がないですね!

(2013、10、10)

2013年10月12日 10:22 | コメント (0)

新・ことば事情

5243「DVDVD」

 

10月9日の読売新聞家庭欄の記事の見出しが、

「デートDV防ぐ啓発DVD」

もちろん、最初の「DV」は、

「ドメスティック・バイオレンス」

の略で、「デートDV」とは、

「交際相手からの暴力」

を指すそうです。別にデートをしている時でなくても「デートDV」なのです。

その「デートDV」を防ぐための啓発用の「DVD」を大阪市内の団体が作成中だという記事です。「DVD」は、

「デジタル・バーサタイズ・ディスク」

の略ですが、その「DVD」の中に全然関係ない「DV」が入っているので、

「DV防ぐDVD」

って、わかりにくいなあと思ったのでした。10年前なら、きっと、

「DV防ぐVTR」

だったのになあ・・・。

(2013、10、9)

2013年10月11日 10:21 | コメント (0)

新・読書日記 2013_167

『心づかいの技術』(鈴木健二、新潮新書:2013、6、20)

 

もう「鈴木健二」と言っても若いアナウンサーは「誰ですか、それ?」という感じで...。「え!鈴木健二を知らないの?」と驚く人は、もう45歳以上でしょうなあ。四半世紀前に引退(定年)した、昭和の時代のNHKの国民的大アナウンサーです。『クイズ面白ゼミナール』での「さあ、書きなさい!」というセリフや、『紅白歌合戦』の司会での「私に1分間だけ時間をください」など、そういう言葉のなかった当時でも「上から目線」と感じられた物言いは、決して気持ちの良いものではありませんでした。でも、おもしろかったから、見たんでしょうね。あの大ベストセラー『気くばりのすすめ』から、もう30年かあ。そういえばNHKアナウンサーを定年になって熊本の県立劇場の館長を10年ほどやってどうしたのかなあと思っていたら、なんとその後は青森の県立図書館の館長さんをしていたと。知りませんでした。地道に色々とやっていらしたのですね。

その「教え」はまっとうですが、ところどころ、お話しになっていることの内容が破綻している部分が気になりました。「~なんです」という言い方は、断定的で偉そうに聞こえるからダメだ(7879ページ)と言っておきながら、「品格が落ちるのです」と「受け入れられていくのです」と、断定的な「のです」は使っている"のです"!「なんです」と「(な)のです」は(ほぼ)同じではないのか?と、ついつい突っ込みを入れてしまいます。しかも「私は民放さんを見る機会がほとんどない」(78ページ)と言っているのに(「なのです」の例として)、「相棒」での水谷豊さんの話し方を挙げています(81ページ)。いつから「相棒」はNHKで放送されるようになったのでしょうかね?ほとんど民放は見ないけど、「相棒」は見るということか?うーん、どやさ。それと41ページの「こんにちわ奥さん」(なぜか「は」ではなく「わ」であったそう)という番組の、今でいうキャスターを「丸6年勤めましたが」は、「丸6年務めましたが」の変換ミスでしょう。

こんな揚げ足取りばかりしても失礼なので、「なるほど」と思った点を挙げておくと、

「科学文明は十八世紀以来、戦争がある度に飛躍的に進歩しましたよね。そして人間社会に、例えば自動車や列車のように素晴らしい『善』をもたらしました。しかし科学は善と同時に全く同じスピードで『悪』も広めましたよね。原子力がその典型です。たぶんこの器械(=携帯電話)も人間に通信を手段に限りない恩恵を与えるでしょうが、同時にこれまでになかった『悪』も『善』に等しい分量だけぶつけるのではないでしょうか。」

原子力を全面的に「悪」とは言えないと思いますが、東京電力福島第一原発の事故を見れば、今取り返しの付かない『悪』の面が発揮されていると言えるでしょう。「携帯電話」も確かに"負の側面"を持たないとは言えない。そもそもどこへ行っても「つながる」ということは「縛られている」ということだし。一面の真理を含んだ警句の本です。好きか嫌いかは、意見が分かれると思いますが。


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(2013、9、29読了)

2013年10月10日 18:18 | コメント (0)

新・読書日記 2013_166

『バカボンのママはなぜ美人なのか~嫉妬の正体』(柴門ふみ、ポプラ新書:2013、9、18)

この9月に新書市場に参入した「ポプラ新書」の、オープニングラインナップの中の1冊。昨今の新書の流行のタイトルの付け方に倣った、オーソドックな感じ。

著者はご存じ、有名漫画家。内容は...それほど目新しいものはない。世の中で、げに凄まじきものは「嫉妬」。嫉妬から逃れて生きるためには、たとえ成功しても「何かが欠けていること」が必要。つまり周囲から「あの人は成功しているけれど、"この面"では私(俺)の方が、上だな、フフン!」と相手に思わせることが出来る「マイナス面」を持つことが重要だと。「バカボンのママ」の「マイナス面」は、もちろん「××××」にあるということ。"処世術"とでも言うのでしょうかねえ。そんなこと考えていたのかな?バカボンのママは。


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(2013、9、24読了)

2013年10月10日 10:17 | コメント (0)

新・読書日記 2013_165

『銀行仕置人』(池井戸潤、双葉文庫)2008、1、20第1刷・2013、9、17第25刷!)

 

「半沢直樹」で、すっかりまたハマッってしまった池井戸潤。家にあった文庫本の中の一冊。一気に読んだ。なんだ、おんなじパターンだなあ。いや、面白いんですよ、本当に、一気に読んでしまいます。でも「怨み」を最後に「晴らす」という意味では、「時代劇」。水戸黄門だなあ・・・あ、水戸黄門もTBSか。「封建時代」か「会社社会」か、同じような「不自由さ」の中で、その枠を破るヒーローの登場が、スカッとするんですよね!

この小説の主人公・黒部も銀行員。そのセリフの中に、

「手段は選ばない。やられたら、やり返す」

とありました。ほら、おんなじでしょ!


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(2013、10、6読了)

2013年10月 9日 21:16 | コメント (0)

新・ことば事情

5242「歩きスマホ」

 

街中で見かけたポスターに、

「歩きスマホ禁止」

というものがありました

「禁止」を呼びかけるポスターができるほど、実際はやってる人が多いということの表れでもありますね。

かくいう私も・・・・ごめんなさい。でも、これって「法律違反」というものではない。しかし、

「危険、迷惑」

という点からはやめた方がいいな。自転車や自動車に乗りながら・・・というのは法律違反だし、危険この上ない!絶対にやめないといけません。

「歩きスマホ」の語感から連想するのは、

「歩きタバコ」

ですが、「危険、迷惑」という点においても、似ていますよね。

グーグル検索では(108日)

「歩きスマホ」=79万3000件

「歩きたばこ」=11万0000件

「歩きタバコ」=65万0000件

でした。すでに「歩きスマホ」が「歩きたばこ」「歩きタバコ」の合計を上回っていました!!

(2013、10、8)

2013年10月 9日 17:12 | コメント (0)

新・読書日記 2013_164

『人間にとって成熟とは何か』(曽野綾子、幻冬舎新書:2013、7、30第1刷・2013、8、22第3刷)

 

 

このところ、すごいペースで新書を出しているように思える曽野綾子。とても80歳を超えているようには思えないほど精力的だ。

この本でひかれたのは、「尊敬を得ようとするな」ということ。ああ、これは人間的な成熟ではなく「未熟」なんだなと。ついつい注目されたくなるということ自体が"煩悩"ですな。他人は他人、自分は自分。比較しない。自分の信じる道を行くことこそが「成熟」。なんだか宗教っぽいなあ。


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(2013、9、20読了)

2013年10月 9日 15:15 | コメント (0)

新・ことば事情

5241「一番ベター」

 

事務所内の立て替え金を巡ったトラブルに直面している西郷輝彦さん。「ミヤネ屋」の取材に答えて、

「話し合いで済ますのが一番ベターなところ」

と話していました。

ん?「一番ベター」?「ベスト」ではないんでしょうか?

うーん、きっとこれは、

「自分にとっては『ベスト』の状態ではないけれども、今、自分でできる範囲では、『一番良い』」

という意味を込めて、

「一番ベター」

という表現になったのではないかなあと、お察し申し上げました。「ベスト」ではないが、「一番ベター」という表現が「モアベターよ」ということなのでしょうね、きっと。

(2013、9、19)

2013年10月 9日 10:00 | コメント (0)

新・読書日記 2013_163

『できる男はウンコがデカい』(藤田紘一郎、宝島社新書:2013、6、10)

 

えらいタイトルですな。

タイトルだけじゃないですよ。大人向けの本で、こんなに何度も「ウンコ、ウンコ」と出てくる本(新書)を、私はほかに見たことがありません。

寄生虫ハカセとして有名な著者、寄生虫の研究のためには、当然ウンコにも注目すると。それに「寄生虫と人間の共生」と言いますか、人間の健康の関係や、昨今の日本でのアレルギーの増加は「菌」を遠ざけすぎたからではないかと言う。「抗菌」グッズばっかりだしね、世の中。金に対する抵抗力が弱まっているのかな。それはあるかもしれない。菌の中には、「良い菌」もあるよね。うーん、なかなかそのバランスが難しいですよねえ。

まぁとにかく、きょうも元気にフンばるぞぉ!! 


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(2013、9、19読了)

2013年10月 8日 22:13 | コメント (0)

新・ことば事情

5240『腐っても台風」

 

10月8日の『関西情報ネットten.を見ていたら、気象予報士の蓬莱大介さんが、

「あすは、勢力は弱まりますが、台風24号が日本海を進みます。勢力が弱まったとはいえ『腐っても台風』ですから、お気を付けください」

と言いました。この、

「腐っても台風」

という言い回しは、初めて聞きました!台風って腐るんだ!・・・ではなく、もちろんこれは、

「腐っても鯛」

という言葉を基にしたダジャレと言うか言葉遊びというか、なかなか蓬莱さん、上手いこと、言わはりますなあ。

ということで、皆さん、台風には、十分お気を付けを!!

(2013、10、8)

2013年10月 8日 17:58 | コメント (0)

新・読書日記 2013_162

『公務員のシゴトが楽しくなる48の話』(山本雄司、ぎょうせい:2013、6、1第1刷・2013、8、25第3刷)

 

これ、現役の東京都の特別区の課長さんが書いたもので、私の本も出版してもらっている出版社「ぎょうせい」から「ぜひ、ご一読の上、感想を!」と送って来てくれた。たしかに、本屋さんで目に留まったとしても、私なら手に取らない種類の本なので、「へえー」と、新鮮な感覚で読めた。何でも専門誌『月刊・地方行政』『都政新報』『受験ジャーナル』に連載したエッセイをまとめたものだそうだ。ということは、対象読者は「公務員」や「公務員を目指す人」でしょう。そういう人には面白いのかもしれないが、私はどちらかというと役所に文句を言うたちなので、こういった「クレームを受ける側」の人の「グチ」に対しては厳しいです。「グチ言ってるヒマがあったら、改善せい!」と言いたくなる気持ちを抑えながら読んだので、カッカしてきた。58~59ページに書いてある「電話応対」。それは「は行」で、「はぁー」「ひぃー」「ふーん」「へぇー」「ほぉー」と対応すればいい、と。一体何を言ってるんだ!「ふーん」や「へぇー」などという失礼な相槌を役所で打たれたら、私はトコトンまで問い詰めると思う。どんな気持ちで今の相槌を打ったのか、何を考えながらそういう相槌をしたのか!・・・泣いたぐらいじゃ許さないですよ。こんなことを書いているようじゃ、役所は良くならないと思います。180ページの「仕事を楽しむ」は、まあ同意。最近はこのぐらい追い詰められている、ということか。それは民間の会社も同じで、役所だけの問題ではないけれども。


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(2013、9、23読了)

2013年10月 7日 12:16 | コメント (0)

新・読書日記

5264「立つか?建つか?」

 

10月18日の「ミヤネ屋」のテロップチェックをしていたら、読売新聞校閲OBで、ytvの報道のテロップのチェックを手伝ってもらっているNさんから、

「『家が建っている所』の『たっている』は『立っている』ではないか?」

とご指摘を受けました。確かに用語集にはそう書いてあるようですが、

「立つ」=stand

「建つ」=build

というイメージから言うと、「家」は「建つ」の方がイメージとして合う気がしました。

「たつ」=「建てられて、今ある」。単に「立っている」のではない、というイメージだったので、この日の放送ではそのまま、

「家が建っている所」

にしました。


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(2013、10、30)

2013年10月31日 23:30 | コメント (0)

新・ことば事情

5263「ホットのための」

 

ほぼ毎日のように飲んでいる缶入りのブラックコーヒー。

10月に入ってから缶のデザインがちょっとだけ変わりました

同じ銘柄なのですが、その缶に、

「ホットのための」

という文字が入ったのです。ところが!

この缶コーヒー自体は「温」ではなく、「冷」で販売されているのです!

別に「御表示」とか「偽装」というわけではないと思うのですが・・・。

いつ、その表示通り「ホット」に切り替わるのかに注目しています。

きょうが10月31日でしょ、とすると、切り替わりの区切りがいいのは、

「あす、11月1日」

ではないか?もしくは連休明けの、

「11月5日あたり」

かな?報告を待て!

 

 

(追記)

11月1日には「ホット」になりませんでしたが、ついに連休明けの11月5日(火)、「ホット」になりました!予想が当たった!!

しかし、同じ自動販売機の中で、1本は「ホット」、もう1本は「アイス」です。

そして、読売テレビ報道フロアにあるもう1台の自販機は、まだ「アイス」のままです。

来週あたり変わるのかな。最低気温を参考にしているのでしょうか?

(2013、11、6)

 

(2013、10、31)

2013年10月31日 22:29 | コメント (0)

新・読書日記 2013_183

『日本農業への正しい絶望法』(神門善久、新潮新書:2012、9、20)

 

辛口の「名著」との誉れが高く、購入して「読まねば」と思っている間に1年がたってしまった。「これはいけない!」と頑張って読んだ。勉強になった。

そして、先週の阪急阪神ホテルズのメニューの"誤表記""偽装"発覚に始まった問題は、日本列島全体に広がっているが、ふと思い出して、改めて本書をひもといた。

すると、農業者(つまり生産者)が技能習得に専念しにくい状態にある原因として記されていたのが、

「『能書き』やら生産者の顔写真やらの演出・宣伝が偏重されるようになり、消費者が舌で農産物のよしあしを判定する習慣を失った結果、よい農産物を作るよりも演出や宣伝に力を入れたほうがトクという状態にある」

という文章が。ドキッ!まさにそのとおり。今回の一連の出来事を予見していたかのような一文。そして、我々民放も、広告業界と密接に関連している。そういう風潮を助長したことは間違いない。そして・・・消費者を結果として"だました"ホテル・レストランはたしかに悪いが、7年もの間、味の違いに気付かなかった我々も、そういった風潮に加担していたのではないか・・・と改めて考えさせられた。


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(2013、10、6読了)

2013年10月31日 16:15 | コメント (0)

新・読書日記 2013_182

『常識では読めない漢字~近代文学の原文を味わう』(今野真二、すばる舎:2013、8、23)

 

ある日、名も知らぬ人から送られてきた、この本。著者の今野真二さんの本は、これまでに何冊か読んだことがあったが、送って来たのはその編集者の方。とても綺麗な字の手書きのお手紙が付いていた。なんでも私の大学のゼミの後輩なんだそうだ!(たぶん10歳ぐらい若い人)。この「読書日記」を、その大学のゼミの後輩で編集者の人も、著者の今野先生も、読んでくださったことがあって、「それなら」ということでこの新著を送ってくれたらしい。どうも有難うございます。あまりヘンな感想を書けなくなりました。

この本は、サブタイトルにあるように「近代文学の原文を味わう」ということで、漱石や鴎外、一葉、紅葉、藤村、蘆花、涙香・・・といった、日本人なら誰でも知っている(でも読んだか?というと「教科書で...」という人も多いはずだが)文豪の作品の中に出て来る漢字の読み方を、クイズ形式で紹介した本。気軽に読める。そして、そんなきかっけから、近代日本文学への興味を持ってもらおうという意図が透けて見える本。

まえがきには、こういった感じの表記を通じて「明治時代の雰囲気を味わってもらおう」と思っていると、きっちり書いてありました。

外来語を漢字で表記するのももちろんだが、擬態語・擬声を漢字でどうやって表記するのか、苦労しながらもフンイキの出た漢字表記がいくつかあって「なるほどねー」と思った。勉強になりました。


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(2013、10、20読了)

2013年10月31日 10:12 | コメント (0)

新・読書日記 2013_181

『宇宙兄弟22』(小山宙也、講談社:2013、10、23第1刷)

改めて・・・だけど、絵が浦沢直樹的な感じ!(『マスター・キートン』のような)外国人がよく出て来るし。『神の雫』よりも、話が進むから良い。また4か月経ったか...という感じです。お兄ちゃん、頑張ってるよな。早く宇宙へ行けるようになるとイイね!


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(2013、10、27読了)

2013年10月30日 22:03 | コメント (0)

新・読書日記 2013_180

『バラ肉のバラって何?~誰かに教えたくてたまらなくなる"あの言葉"の本当の意味』(金澤信幸、講談社文庫:2013、6、14)

 

本書のタイトル「バラ肉のバラ」って・・・知りません。バラバラのお肉?バラの花びらのように広がるお肉?それは牡丹肉(イノシイの肉)か。読んでみたら・・・なんと、

「アバラ肉」

の事でした。「ア」が脱落して、「新宿」を「ジュク」、「池袋」を「ブクロ」というようなものか。へえーというような言葉のうんちく話を満載!巻末の参考図書を見ると、かなりきっちりと色んな本を参考に書かれていることが分かる。米川明彦先生の本も多かったなこういった言葉は「俗語」に多いからだろうな。ためになりました。


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(2013、10、26読了)

2013年10月30日 18:30 | コメント (0)

新・ことば事情

5262「大陪審」

 

おとといの「ミヤネ屋」で、17年前にアメリカで起きたジョンベネちゃん殺人事件で新事実!という特集を放送しました。その中で出て来た言葉に、

「大陪審」

がありました。日本にはありませんよね、「大陪審」は。英語ではなんというか調べると(というか、英語の文書の翻訳版だったので)、

jury

でした。「ジュアリー」・・・「ジュリー」!

そうか、ロンドンオリンピックの柔道で出て来た「ジュリー」と同じですね!

あの時は、

「なぜ沢田研二が、五輪柔道に突然、出て来るんだ?」

と思ったのですが・・・ほんとに。それで、その時に「ジュリー」について書きかけて、ほったらかしになっていた文章がこれ。

 

『平成ことば事情4800「ジュリー」

ロンドンオリンピック柔道の海老沼選手が、韓国選手との対戦で判定が覆る椿事がありましたが、その審判、主審1人・副審2人、そしてもう1人、

「ジュリー」

と呼ばれる人がいます。また、開会式での「宣誓」でも、選手代表・コーチ代表と並んで「ジュリー」が出てきました。「審判団代表」としてです。そもそも、この「ジュリー」とは何語なのか?意味は「審判」でいいのか?そのあたりが疑問です。』

(2012、7、30)

 

その疑問が、13か月ぶりに解決!!

英和辞典によると「jury」の意味としては、

「(1)陪審、陪審員団(2)(展示会・協議会などの)審査員団審査委員会」

とありました。納得です!

 

(追記)

この「大陪審」という言葉を聞いた隣の席のOさん、

「大陪審って、アンパンマンに出て来るバイキンマンの別れの挨拶の『バイバイキン』に似てますね」

だって。たしかに!似てますね!

(2013、10、30)

 

 

(2013、10、30)

2013年10月30日 11:30 | コメント (0)

新・ことば事情

5261「橋桁と橋脚」

 

台風27号の中継で京都・福知山の様子を伝えていたYアナウンサー。

「ご覧いただけますでしょうか、先ほどまで川の水位は3m19cmでしたが、一番新しい発表によりますと2m97cmまで下がったという事です。しかし、先ほどまでの水位の跡が"橋桁"にくっきりと残っています。」

そうコメントした時に、カメラは、

「コンクリート製の橋脚」

に残った水の跡にズームしていきました。

なにげなく聞いていましたが、このコメントは間違いですね。

水位の跡が残っていたのは「橋桁」ではなく、「橋脚」です。「橋桁」は、橋脚の上に横に渡すもので、その上に橋板を載せるのです。「橋脚」は言うまでもなく垂直方向に柱のように立っていて、その橋脚と橋脚の間に渡すのが「橋桁」です。

なぜ間違ったのか?

もしかしたら、「桁」が表外字なので平仮名で書いて「橋げた」と書いたことで、

「橋下駄」

を連想して、その「下駄の歯」のイメージで「橋脚」を「橋げた」と勘違いしているのではないか?「憮然」の「憮」が表外字で交ぜ垣をして「ぶ然」となったことで、「憮」の「がっかり」というイメージが伝わらずに「ブスッとする」イメージに置き換わってしまったように。また、

「橋桁と橋脚を一体のものとして『橋桁』と呼んでいるのではないか?」

という指摘もありました。

Yアナウンサーにはもちろん正しておきましたが、この間違いに対して、特にどこからも苦情や意見がなかったというのも気になります。

(2013、10、28)

2013年10月29日 18:13 | コメント (0)

新・ことば事情

5260「ツカモトのアクセント」

 

10月25日、みずほ銀行の「塚本会長が辞任」というニュースを、NHKの夜7時のニュース「ニュース7」で、女性アナウンサーが、

「ツ/カ\モトカイチョー」(中高アクセント)

と読んでいましたが、これって、

「ツ/カモトカイチョー」(平板アクセント)

なのではないでしょうか?

よく「ミヤネ屋」でも、宮根さんが、リポーターの「中山さん」のことを、

「ナ/カ\ヤマサン」

「中高アクセント」で呼ぶのですが、これも普通は、

「ナ/カヤマサン」

「平板アクセント」のような気がします

もちろん、そういう呼び方をする人がいるのは認識していますが。

人の名前のアクセントって難しいですねえ。

 

 

(追記)

10月28日の日本テレビ「NEWS every.の中で、このみずほ問題が取り上げられていました。その際に男性ナレーターは、

「ツ/カ\モトカイチョー」

と、やはり「中高アクセント」で読んでいました。

NHKも日本テレビも「東京発」の読み手が「中高アクセント」を使っているのは何故なんでしょうねえ?

(2013、10、28)

 

 

(追記2)

俳優の火野正平さんが、自転車で日本全国をぶらり旅する番組。いま、山形県を訪れています。自転車で、と言っても、全部自転車ではなくて電車も利用しているようです。その旅で、山形県の「米沢駅」に着いた時の駅のアナウンス。女性の声で、

「ヨ/ネ\ザワ」

「ネ」が上がるアクセントでした。私は、「平板アクセント」で、

「ヨ/ネザワ」

だと思っていたので、意外でした。

(2013、11、7)

 

(2013、10、25)

2013年10月28日 11:03 | コメント (0)

新・ことば事情

5259「藤原の効果」

 

今回の台風27号と28号のように、2つの台風が近づいてお互いの進路に影響を及ぼすような、まるで独楽(コマ)がケンカをしているような気象状況を、

「藤原の効果」

と呼ぶのだそうです。「藤原」というのは人名です。お笑いンコンビのFUJIWARAは関係ありません。

1921年、当時の中央気象台所長だった藤原咲平(ふじわら さくへい)さんという人が、このような相互作用の存在を提唱したのだそうです。

今から90年以上も前にそんな気象状況を分析していたとは、スゴイ日本人ですね。

調べてみると、この「藤原咲平さん」は、18841029日生まれ、1950922日没。長野県諏訪市生まれの気象学者。高島尋常小学校・諏訪高等小学校では、陸軍中将の永田鉄山と同級、また同じく諏訪出身で岩波書店の創立者である岩波茂雄らとは生涯にわたって交友があったそうです。19261月には、あの寺田寅彦の後任として、東京大学地震研究所員に、そして19417月に第5代中央気象台長に就任したそうです。

気象台、藤原・・・あれ?もしかしたらこの人は、

「作家の新田次郎のお父さん」

ではないか?つまり、

「元・上智大教授でエッセイストの藤原正彦のおじいさん」

ではないか?と思ってさらに調べたら、

「作家の新田次郎は甥、数学者の藤原正彦は大甥に当たる」

とありました。やはり、「親族」でしたか!

「作家の新田次郎のおじさん」

だったのですね。

(2013、10、25)

2013年10月27日 12:25 | コメント (0)

新・ことば事情

5258「のろのろ?ノロノロ?」

 

台風27号が日本に接近中ですが、この一週間、ずっと「接近中」で上陸しないのに、前線を刺激してものすごい雨を降らせています。この台風を指して、

「のろのろ台風」

と呼んでいるようですが、「ミヤネ屋」のスタッフが、

「平仮名で『のろのろ台風』でしょうか?それともカタカナで『ノロノロ台風』でしょうか?」

と質問して来ました。私の語感では、

「ノロノロ台風」

なのですが、そう口にすると、そのスタッフが、

「カタカナだと『メロメロ』みたいで・・・」

なーるほど。実際にどちらがよく使われているかネットでグーグル検索しました。(1025日)すると、

「のろのろ台風」=5万4200件

「ノロノロ台風」=2万3500件

で、「平仮名」を使っていたのは共同通信など、「カタカナ」を使っていたのは日本気象協会、テレビ朝日などでした。「ミヤネ屋」では、そのスタッフの希望通り、

「のろのろ台風」

としました。念のためこれも引いておきました。

「メロメロ台風」=47件

ま、あるけど、内容なものだな。

台風27号で、これ以上被害が出ないことを祈ります。

(2013、10、25)

2013年10月26日 10:05 | コメント (0)

新・ことば事情

5257「大三冠」

 

10月18日の読売新聞朝刊に、

「井山『大三冠』史上2人目金字塔」

という文字が。前日・17日に以後の名人戦を制し、「七大タイトル」の内の「6冠」を制した若き天才・井山裕太さん(24)を取り上げたものです。

この記事の見出しにもなっている、

「大三冠」

という言葉は初めて目にしました。

「七大タイトル中、2日制で競われる棋聖など3タイトルはトップ棋士の証しとされ、同時に保持する大三冠は囲碁界では特別な称号」

だそうで、これまでに「大三冠」を達成したのは、

「1983年と1996~99年に達成した、趙治勲二十五世本因坊(57)だけ」

だそうです。

しかしこの記事では「大三冠」の「3大タイトル」のうち、「棋聖」以外が分からない・・・というのも、「棋聖戦」の主催が「読売新聞社」であり、残り2つのタイトル戦の主催は「他の新聞社」なので、タイトル名を出さないのではないかと・・・。

で、調べてみたら、「大三冠」とは、

「棋聖・名人・本因坊」

を指すとのことです。これらは「七番勝負」で、持ち時間が8時間。優勝賞金は、それぞれ、4500万円、3700万円、3200万円。「大三冠」以外の4つのタイトルは「5番勝負」で持ち時間は3時間あるいは4時間。優勝賞金も750万円~1400万円と、「大三冠」よりは規模が小さくなっています。

ちなみに「七大タイトル」とは、( )内は主催者。

「棋聖」(読売新聞社)

「名人」(朝日新聞社)

「本因坊」(毎日新聞社・大和証券グル―プ)

「天元」(ブロック紙3社連合)

「王座」(日本経済新聞社)

「碁聖」(新聞囲碁連盟=河北新報、新潟日報、信濃毎日新聞、静岡新聞、北國新聞、京都新聞、中国新聞、四国新聞、高知新聞、熊本日日新聞、南日本新聞、沖縄タイムスの12紙で構成)

「十段」(産経新聞社)

となっています。

(2013、10、21)

2013年10月25日 20:09 | コメント (0)

新・読書日記 2013_179

『ヘイトスピーチとネット右翼~先鋭化する在特会』(安田浩一・岩田温・古谷経衡・森鷹久、オークラ出版:2013、11、4)

 

京都の朝鮮学校の周辺で「ヘイトスピーチ」と呼ばれる差別的な発言をしたとして、街宣活動を行った団体(在特会=「在日特権を許さない市民の会」)などに10月7日、京都地裁が1200万円余りの賠償などを命じた。私はこれまでに安田さんの著作を読んだりして「ヘイトスピーチ」という言葉を耳にしたことがあったが、今回のこの裁判のニュースで、初めて「ヘイトスピーチ」という言葉を聞いた人も多いことだろう。そこでもう一度「ヘイトスピーチ」について勉強しておこうと思って、この本を読んだ。4人の著者の内、安田さんが1964年生まれで、少し年が行っているが(と言っても私よりは若いが)、そのほかの人たちは、岩田氏(1983年生まれ)、森氏(1984年生まれ)、古谷氏(1982年生まれ)といういずれも若者の論客たち。「ネット右翼」と呼ばれる人も含まれている。それぞれの言い分を集め、最後は4人による対談という構成である。

読んでいて「ははあ、そういう考え方もあるのか」と思ったのは、「嫌韓」という空気が作られたのは「2002年日韓共催ワールドカップ」で、韓国サッカーの汚いサッカーのやり口を見たから・そしてそれ以上に、東西冷戦構造が崩れて、これまで「東」に向けて攻撃していた韓国が攻撃対象を失い、その矛先を日本向けたと。それがあったからこそ、日本側でも「嫌韓」感情が生まれたのだという主張。そうかあ、そういう捉え方もあるのかと思った。


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(2013、10、13)

2013年10月25日 16:54 | コメント (0)

新・読書日記 2013_178

『若者の取扱説明書~「ゆとり世代」は、実は伸びる』(斎藤孝、PHP新書:2013、6、28)

 

齋藤孝さんの本は、大体タイトルを見れば、読まなくてもほぼ内容が分かる・・・という気がするが、まあ、そういうことだ。

「ゆとり世代」と呼ばれる世代の若者は「ほめて伸ばす」「競わせて伸ばす」というように、周りの大人がその操縦方法を考えてやれば、能力はあるのだ、という本でした。

参考にします!


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(2013、10、19読了)

2013年10月25日 11:53 | コメント (0)

新・読書日記

5256「尿路結石」

 

10月23日の「ミヤネ屋」「腎臓結石」「尿路結石」の傾向と対策の特集を放送しました。ムチャクチャ、痛いんだそうですね、あれ。

そのテロップやパネルのチェックをしていて、「腎臓結石」「尿路結石」から、ふと、想像してしまったのが、そう、

「ハリーポッタ―と賢者の石」

ならぬ、

 

「ハリーポッターと腎臓の石」

 

という言葉。

「ハリーポッターと尿路結石」

でもいいか。なぜかこの組み合わせに、一人で笑ってしまったのでした。語呂がいい。

『ハリーポッター健康シリーズ』で、

「ハリーポッターと脳血栓」

とか、

「ハリーポッターと高脂血症」

とか、いろいろな病魔と闘うハリーポッター、というのはおもしろい、役に立つ企画かもしれません。

でも、全部、魔法で治しちゃったら、しょうがねえな。


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(2013、10、23)

2013年10月25日 08:57 | コメント (0)

新・ことば事情

5255「犬吠埼」

 

この秋、台風中継で頻繁に出て来る、千葉県の、

「犬吠埼」

ですが、よく見ると、

「『犬吠崎』ではなく『犬吠埼』」!

つまり、「ざき」の漢字は、

「埼玉の埼」

だったんですね!このほかにも、

「野島埼灯台」

というのも「ミヤネ屋」で出て来ました。「埼玉の埼」の「ざき」は、千葉県に多いのかな?

「埼と崎」はどう違うのか?ネット検索したら、「海上保安庁海洋情報部」のサイトに、

『「埼」と「崎」はどうなってるの?』

という、まさにおあつらえ向けのページが出て来ました。それによると(抜粋)、

 

『Q:海図上には「○○埼」と土へんの埼が書かれていますが、地図帳には「○○崎」と山へんの崎が書かれています。どうなっているのですか?』

『A: 海図では海洋に突出した陸地の突端部の名称としての(Saki)は、おおむね土へんの「埼」を用いています。例えば、東京湾付近では地図帳などには野島崎・観音崎・剱崎と「山へん」で記載されていますが、海図には「土へん」で野島埼・観音埼・剱埼と図載しています。土へんの「埼」は、陸地(平地)が水部へ突出したところを表現し、山へんの「崎」は本来の意味として山の様子のけわしいことを言い、山脚の突出した所を示しており、平野の中に突出した山地の鼻等を言う意味なので、海洋情報部では漢字の意味からも地形が判る土へんの「埼」を採用しています。なお、「みさき」の地形を表わす名称には「埼」のほかに「岬」、「碕」、「角」、「鼻」があり、まれに「岬」を(Saki)と読む場合もあります。海洋情報部は、明治時代の海軍水路部のころから、土へんの「埼」を海図に採用してきました。これは、埼、崎、岬で地形の意味を表現するために使い分けをして、海図の使用者である航海者が地名から地形が判断できるようにしていました。たとえば、野島埼は、「野島」が地名を表現し、「埼」がそこの地形を表現していると考えると判り易いと思います。国土地理院では、前身の陸軍陸地測量部が山へんの「崎」を使用していた経緯があるので、引き続き使用しています。』

 

ちょっと長い引用になってしまいましたが、そういうことだそうです。             

ふーん、その岬の「地形」によって漢字が違うのか!でも、そういう区別をしている所としていない所があるのか!海軍と陸軍で違ったのか!

これで思ったんですが、

「みさき(岬)」

というのは、

「み・さき」=「水・崎(埼)」or「御・崎(埼)」

なのではないか?ちなみに「みなと(港)」は、

「水(み)な門(と)」

から来ているんですよね。

この話、きのう(10月22日)、ニコ生の『第7回 道浦俊彦のことばのことばかり』で話しましたよ!

(2013、10、23)

2013年10月24日 20:56 | コメント (0)

新・読書日記 2013_177

『視覚障碍をもって生きる~できることはやる、できないときはたすけあう』(栗川治、明石書店:2012、7、20)

 

著者は、私の大学時代のグリークラブでの2年先輩で、現在、新潟の県立高校の社会科の先生。そして、「全盲」である。大学時代はそうではなかったのだが、社会人になってから病気が進んで、中途失明者となられた。その経緯、これまでに歩んできた道、失明してからの高校での授業の様子や、読み書き、歩行に関して、そして趣味の「合唱」「ランニング」「スポーツ」について、第1編「視覚障碍をもって生きる」には記されている。大学卒業後に合唱を再開したのは2007年、合唱団100周年記念で、OBが700人も集まって歌ったことがあったが、それがきっかけだったと。その際、私も著者(栗川先輩)と一緒にステージに載っている。そして今年も、6月に東京・池袋の東京芸術劇場で、コバケン(小林研一郎先生)の指揮で一緒に歌い、つい先月(9月)には、やはり東京のサントリ-ホールで一緒に歌った仲間である。新潟から東京まで練習にも何度も通われ、その行動力・努力には、もう頭が下がるとしか言えない。同期の先輩たちも栗川さんをよくサポートしていて、凄いと思った。

2編「障碍制度改革と政権交代」(199ページから)は、「障害者自立法」という、名前とは正反対の「悪法」を改正するための仲間たちの動きを、おそらく議事録などで追って、自分の意見なども書き入れたもの。まるでそれらの会議に、栗川さんも出席していたのかな?と思うぐらい詳細な記録である。


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(2013、10、10読了)

2013年10月24日 17:35 | コメント (0)

新・読書日記 2013_176

『「便利」は人を不幸にする』(佐倉統、新潮新書:2013、5、25)

タイトルが気に入った。昔の「日めくりカレンダー」に書かれていた警句のようだ。

「便利」を追い求めすぎると、それと反比例して減少してしまうものがあるということ。結局、便利のために犠牲にするものと、便利の割合をどうブレンドするか、というのがポイントなのだが、「便利」に対してベクトルが1方向しか向かないのは危険であると。以前から私も唱えているのと同じ内容だと思う。世の中で大切なのは「バランス」です!!


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(2013、9、19読了)

2013年10月24日 12:34 | コメント (0)

新・読書日記 2013_175

『いつも一言多いあのアナウンサーのちょっとめったに聞けない話』(長谷川豊、小学館:2013、9、4第1刷)

 

2013読書日記1782で書いた『僕がメディアで伝えたいこと』(堀潤=元NHKアナウンサー)と同じく、これも、テレビ局(こちらはフジテレビ)を辞めたアナウンサーの書いた本。ネットで1か月限定か何かで書いていた「会社を辞めるに至った経緯」を、本にしたようだ。なんか最近、「辞めた局アナ」の本がよく出ているなあ。また、それをよく読んでいるなあ。

一言で言うと「身から出たさび」ということなんだろうなあ...そういう感じが、文体からも感じられる。会社の中にも悪いヤツ(陥れようとするヤツ)がいるらしいというのもわかったが・・・これ以上コメントしたくない。


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(2013、9、29読了)

2013年10月24日 10:33 | コメント (0)

新・ことば事情

5254「公募区長」

 

大阪市淀川区の「公募区長」榊区長が、ツイッターで不適切なつぶやきをしたとして問題になっていますが、この、

「公募区長」

という言葉、カタカナで発音を書くと、

「コーボクチョー」

となりますが、これが文字を見ずに耳だけで聞くと、

「公僕長」「コーボク・チョー」

に聞こえます。少し間をあけて、「2語」であることを示して、

「コーボ・クチョー」「公募・区長」

「ぼ」と「く」を離して読めば、聞き違えることはないのですが・・・。読み方って難しいですね。

(2013、10、23)

2013年10月23日 18:30 | コメント (0)

新・読書日記 2013_174

『関東連合~六本木アウトローの正体』(久田将義、ちくま新書:2013、9、10第1刷り・2013、9、20第2刷)

 

従来はあんまり興味もない世界。でも「ミヤネ屋」でよく取り上げるので、ちょっと勉強しておかないとな、という感じ。「半グレ」と呼ばれる団体だが、本当は「半グレ」どころか「全グレ」だと。「関東連合」という名前はあっても、組織もないし本部もない。本当に「団体」と呼んでいいのか?という意味で、得体が知れない。もとをたどれば暴走族、チーマーにたどり着くが、その当時の団体とは似ても似つかないものになっていると。著者は1967年生まれ、明大中野高校出身で、当時ちょうど、チーマーなどが明大中野にはたくさんいたと。だから肌感覚で当時のことはわかるようだ。私よりは少し若い(6歳ほど)が、この差は大きい。地域差も。私なんかは全然わからないし、その後、流行った『BE BAP HIGH SCHOOL』なんぞも、私は全然、世代的にカスッていない。

それにしても、日本はこういった"不良文化"を受け入れる土壌があるのだなあと、改めてそれは認めざるを得ない。

この本を読んでいる途中の10月21日、いわゆる「クラブ」で客を踊らせていたということで(無許可でダンスホールを経営していた)、東京・西麻布のバー経営者(37)ら4人が逮捕される事件があった。これまでも問題になっている。風営法違反の現行犯だそうだ。店内にいた約600人の客の内約100人が踊っていたのだそうだ。どうやって数えたのだろうか?新聞では、「客が踊るのは表現の自由だ」というような主張も見られるし、私も「そのぐらい、いいのではないか?」と思っていたが、本書を読んでいたら、著者は「関東連合」の特徴として「OBのビジネスセンスが優れている印象が強い」と記し、その特徴は「クラブシーンを抑える」「ギャル業界に影響を持つ」「AV業界に進出する」「芸能界とつながる」「格闘技業界とつながる」「ヤクザになる者もいる」といった点を挙げていた。ということは、もしかしたら警察の「真の目的」は、「クラブで踊ることを禁止する」ということではなく、踊ってはいけないのに躍らせたという事を口実に、「ビジネスセンスの優れた半グレ連中の"資金源"を断ち、いわゆる"ハングレ集団"を壊滅に導くための一つの手段ではないか?」という気がしてきた。そういう意味では勉強になる一冊ではある。


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(2013、10、23読了)

2013年10月23日 15:51 | コメント (0)

新・ことば事情

5253「顔を殴られる大けがをしました」

 

10月21日のお昼のニュースで、大阪・豊中市で、自転車に乗った男による連続強盗事件が起きたというニュースをお伝えしました。その中に出て来た、

「顔を殴られる大けがをしました」

という一文にひっかかりました。これは正しくは、

「顔を殴られて大けがをしました」

あるいは、「鼻骨骨折」だったそうですから、

「顔を殴られて鼻の骨を折る大けがをしました」

とすべきでしょう。原稿を書いた記者によると、

「尺(原稿の時間)の関係で『鼻骨骨折』という言葉を落としました」

とのこと。デスクは、

「うーん、これは許容だと思いますけどねえ」

とのこと。尺の関係で言うなら

「顔を殴られて大けがをしました」

にすればいいでしょう。そもそも、

「○○の大けが」

という場合の「○○」と「大けが」は「同格」です。「鼻の骨を折る(=鼻骨骨折)」と「大けが」は同じことを言っています。あるいは「大けが」の詳しい内容(症状)が「鼻骨骨折」ということです。

それに対して、今回原稿に書かれていた、

「顔を殴られる大けが」

という場合、「顔を殴られる」は「けがの原因となった行為」であり、その「結果」が「大けが」ということであり、「同格」ではありません。

その辺りははっきりさせるべきだと思うのですけどねえ。

(2013、10、21)

(追記)

この話は10月22日配信のニコニコ動画「第7回道浦俊彦のことばのことばかり」の「今月のことば」のコーナーで、ご紹介しました。

ちなみに来月は、「11月27日(水)の午後7時から」です!お楽しみに!!

(2013、10、23)

(2013、10、21)

2013年10月23日 14:19 | コメント (0)

新・読書日記 2013_173

『ロスジェネの逆襲』(池井戸潤、ダイヤモンド社:2012、9、28第1刷・2013、9、20第18刷)

「半沢直樹」第3弾!出向させられた先の証券子会社で起きた"事件"に巻き込まれていく半沢直樹。いろいろな陰謀渦巻く親会社の銀行、新興IT会社の興亡も絡み、乗っ取りなどなど、「倍返し」が満載で、なかなか面白かった。

でも、銀行って本当にこんなに根性悪い人たちばっかりなの?と疑問も。元銀行員の池井戸さんが描いているんだからそうなのか?それとも、途中でやめた銀行員が書いているから、恨み節っぽくなっているのか?その中で、銀行を救うヒーローとして半沢が出て来る。すでに、第4弾も雑誌で連載中らしい。楽しみである。


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(2013、10、15読了)

2013年10月22日 18:12 | コメント (0)

新・読書日記 2013_172

『僕がメディアで伝えたいこと』(堀潤、講談社現代新書:2013、9、20)

 

著者は元NHKアナウンサー。東日本大震災と東京電力福島第一原発の事故を機に、独自の発言をツイッターなどで行うようになり、アメリカ研修を経て今年春に帰国したのに、4月に12年間勤めたNHKをやめた。本書は、入局からのNHKの話に始まり(その前に生い立ちで、転校を繰り返していたので、いじめられたという話もありました)、第2章「僕がカメラに背を向けた理由」では、NHK内で感じた違和感について、第3章「果たせなかったメディアの責任」ではNHKという「マスメディア」でのニュース番組の限界を感じたこと、「原発の話はもういいよ」「組は国家を転覆させたいのか」と言われたこと、そして第4章「僕がメディアで伝えたかったこと」では、アメリカ研修で学んだこと、感じたこと、それを実現しようとしたら退局するに至ったという事が記されている。

いろいろと不満がたまったのはわかったが、NHKを辞めたところが、あまりにもあっという間にスルッと辞めてしまっていて、その辺りの事情がちょっと解せない感じがした。


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(2013、10、3読了)

2013年10月22日 13:10 | コメント (0)

新・ことば事情

5252「物価の優等生」

2007年に書き始めました。当時の番号は「平成ことば事情3393」>

 

「物価の優等生=卵」

それは本当か調べたところ、たしかに優等生ですね!

1956年(昭和31年)には、1キロ当たり241円が、51年後の現在(2007年)は358円。たったの1,5倍です。その間に、牛乳1本は7倍以上になっています。ただ、牛乳は前年の1956年(昭和31年)には95円だったものが、たったの1年で2,5倍!これは、「もはや戦後ではない」とした『経済白書』の年、高度経済社会に突入したことを示しているのでのではないでしょうか。銀行員の給料も1956年(昭和31年)には5600だったのが1957(昭和32年)には、一気に12700になっています。値段の歴史年表を見ていると、いろいろ背景が透けて見えて、おもしろいですね!

 ちなみに、ガソリン1リットルの値段は、1957年(昭和32年)にはいくらだったでしょうか?・・・・答えは39でした。(2013年10月14日現在、家の近所のガソリンスタンドでは、リッター149円でした)

 

200972に近くの「ダイエー」で調べた「Mサイズ(5864グラム)の卵10個入りパック」は、

「218円」

でした。

2009723の日経新聞によると、

「鶏卵卸値一段安~3月下旬から21%下落」

とありまして、

「指標となるJA全農たまごMサイズ価格(東京地区、加重平均)は1キロ150円、前週にくらべ5円値下がりし、直近で高値をつけた3月上旬からの下げ幅は40円に達した。前年同期にくらべても45円安い」

とのことです。3週間で、

「218円→150円」

になってる!

2006年11月29日に書いた「平成ことば事情2735映画『酔いどれ天使』の言葉」では、

「うみたて玉子一ツ十八円」

と映画の中で出て来たと。映画の公開は1948年(昭和23年)4です。この文章を書いた200611近くのスーパーで10個入りLサイズの卵のパックが、

「208円」

でした。「Mサイズ」は、

「186円」

ということは、

「1個20円前後」

驚いたことに60年近く前と値段が変わらないのです。物価は何十倍、いや100倍以上になっているだろうに。

この映画の最後のほうでは、主人公・三船敏郎が死に、その葬式代が、

「6000円とちょっと」

というシーンが出て来ます。先日どこかで読んだ、

「葬式代の平均は150万円」

というデータを信じると、葬式代60年間で「250倍」になっているのに、卵は、

「1倍=同じ」

きっと「バナナ」もそういう食物のひとつなんじゃないでしょうか?

なお、作家の吉川英治は、1921年(大正10年)に懸賞小説で得た「600円」で母の葬式をしたそうです。1921年から1948年の、戦争の時期を含む27年で、葬式代は「10倍」になっているということですね。

<ここまで、20091125日に書きました。>

 

<以下、2011412日に書きました>

2011年1月12日付の『朝日新聞』によると、

「鶏卵の値段が5年半ぶりの水準に高騰している」

とのこと。記事によると、

「昨夏(2010年)の記録的な猛暑で多数の鶏が死んで生産が落ちていたなか、急な寒波で鍋ものなどでの需要が急増。国の生産調整や鳥インフルエンザの影響を懸念する声もある。」

と。「物価の優等生」の値段ですが、指標となる「JA全農たまご」の

「Mサイズの1キログラムの平均卸値」(東京市場)は、

「2010年12月=240円」

で、鳥インフルの影響を受けた、

「2005年2月の272円以来の高値水準」

だそうです。ちなみに、

「2010年10月=197円」

で、2か月で2割上がったそうです。「小売値」も当然上がって、Mサイズ10個入りパックが、

「2010年12月末=212円」(農林水産省調査)。

こちらも2005年5月以来の高値で、この間で「最も安かった」のは、

「2006年1月=166円」

と比べると46円高かったそうです。

年が明けた2011年1月12日現在の卸値は、

「1キロあたり180円」

と下がったが、それでも前年(2010年)同期の2割高。「小売値」は

「1パック211円」

で2010年末とほぼ同じだったそうです。 記事は、

「過去40年の消費者物価指数で、鶏卵の上昇率は4割にとどまる。食料全体では約3倍値上がりしており、鶏卵が『物価の優等生』と呼ばれるゆえんだ。」

とあります。それは、すごいですね。

3か月後の2011年4月12日付『読売新聞』によると、

「卵6年ぶり高値~入荷減、Mサイズ216円」

(Mサイズ10個入り)で、3か月前に比べて、「4円値上がり」と言うか、「高どまり」の状態が続いていると。(だとすると「6年ぶり高値」という表現はいかがなものか?ということになりますが。3か月前の他紙の見出しが「5年半ぶり高値」ですから。)

この3か月間に何があったかと言うと、

「東日本大震災」

ですね。記事では、

「業務用を含んだ取引の指標となる平均卸売価格は、3月29日~4月6日に1キロ260円(Mサイズ・東京地区)を付けた。7日に250円、11日に240円と下がったが、震災前の185円より3割高い水準」

なのだそうです。卸値は3か月前より、20円上がっています。また、

「東北地方は東京への供給の3割を占めている」

そうです。

また、2013年9月12日の日経新聞によると、

「鶏卵卸値、上昇止まらず」

「生産調整を猛暑が影響」

とあります。記事によると、

「卸値は7月中旬に比べ約4割高い」

「『物価の優等生』といわれ、店頭での値上がりは今のところ小幅だ」

農水省がまとめた8月の鶏卵全国平均価格は、

「1パック(10個入り)=185円」

で、2013年7月比で「3円高」だそうです。

 

で、この文章の最初に戻って、全体を整理してみると、わたしのウォッチングによる卵(Mサイズ・1キロ)の小売価格の推移は、

<1948年4月 =180円(=1ツ18円)>

1956年    =214円

2006年 1月 =166円

2006年11月 =186円

2007年    =358円

2009年7月初旬=218円

2009年7月末 =150円

2011年 1月 =211円

2011年 4月 =216円

2013年 8月 =185円

で、57年前と比べて、全然変わっていない!・・・どころか安くなっているではないですか!!

一番高いのが2007年の358円!それでも安いが、これだけ値段が変わらないというのは、相対的には(実感としては)、

「値下がりしている」

ということですね。実感じゃなくて絶対値でも値下がりしてますね・・・すごい!本当に"優等生"です。

その後、現在、卵はいくらかな?最近あまり気にしていなかったけど。予想は、

「250円ぐらい」

かと思っていたけど、8月「185円」だと、200円は行ってないな、きっと。

と、これを書いた翌日、家の近所のスーパーで見たら(Mサイズ10個入りパック)、

「208円」

でした!うーん、本当に、値段が変わらない!

でも、日経新聞の2013年9月12日の記事の見出しは「上昇止まらず」だけど、長いスパンで見れば、ちっとも上がっていないじゃないか!

(2013、10、15)

2013年10月18日 18:32 | コメント (0)

新・ことば事情

5251「32年東京五輪」

 

2013年10月17日の産経新聞(大阪版)を読んでいたら、

「世界都市ランク大阪17位→23位」

という見出しが。東京は4位。1位はロンドンだそうです。

へえーと思って読んでいたら、こんな一文が。

「一方、32年の東京五輪開催が決まったため」

え!?東京五輪は「2020年」では?「32年」って間違いじゃないの?

 

と思って2秒ほど考えてナゾが解けました。

「平成32年」

なんだ。産経新聞は「西暦」ではなく「年号」を使っていますから。

記事を最初から読むと、

「平成25年の世界主要40都市の総合力ランキング」

と、「年号」で書かれていました。

とは言え、「32年東京五輪」には違和感が。ポスターも西暦ですし、全世界から来る人たちは「2020年」じゃないと通じないのではないでしょうか。産経新聞さんは、そうは思いませんか?せめて西暦と「併記」して、

「平成32年(2020年)東京五輪」

にしてはいかがでしょうか?

(2013、10、17)

2013年10月17日 12:20 | コメント (0)