新・ことば事情
5238「コンセントとプラグ」
きのう(8月20日)のニュースの中の、大阪で高齢者が2人が室内で死んでいたという件で、エアコンの、
「コンセントが抜けていた」
と、各社伝えていました。読売テレビでは、
「電源プラグが抜けていた」
と伝えました。本来「コンセント」とは、
「プラグの差込口」
であり、抜けていたのは、
「電源プラグ」
ですよね?しかし、一般的には「プラグ」のことも「コンセント」と言うと思います。
この一般的な使い方は、放送でも「許容」とされているのでしょうか?
それとも、やはり放送では「プラグ」と使うべきなのでしょうか?
この件について各社の知り合いに、個人的な意見を聴いてみると、
(NHK)NHKのニュースでも、「プラグ」の意味で「コンセント」を使っています。過去の原稿で「プラグをコンセントから抜いて・・・」としたものもありましたが、ほとんどは「コンセントを抜く」になっています。「日本語的な表現」ということでしょうか。なお「コンセント」自体「和製語」で、英語では「outlet(アウトレット)」です。
(KTV)調べたところ、初報は「コンセント」で出稿していました。「コンセントを抜く」という使われ方もなくはないものの、ニュース原稿にはふさわしくなかったと考えます。
(ABC)弊社のテレビニュース原稿を確認したところ、「電源プラグが・・・」となっていました。(8月20日夕方ニュース)ただ、用語として決めているわけではないようです。 一般的には「コンセント」の方が通用しているでしょうから、「伝わりやすさ」で考えれば、「誤用とはいえ、報道局として使うことを排除しない」という考えのようです。
というようなメールが返ってきました。
読売テレビも、今回は「電源プラグ」としたものの、「コンセントを抜く」という表現を使っていないとは言い切れないのではないかと思います。あまり意識していませんでした。
『精選版日本国語大辞典』で「コンセント」を引くと、
「コンセント」(和製英語)電器敗戦の末端に設ける、プラグの差込口。また、その器具。(電気工学ポケットブック【1928】)
とあり、「語誌」には、
(1) 大正の末頃、プラグと差込口を組んだものをコンセントプラグと呼んでいたが、東京電燈会社に務(ママ)めていた小林薫が、同社の電気工事規定である内線規程(第二版)を起草するに際して、コンセントとプラグに分けたことから、専ら差込口をいうようになった。
(2) イギリスではwall socket, plug socket, アメリカではoutolet, receptacleという。
とありました。「東京電燈会社」と言えば、今の「東京電力」ですね。あそこの内規で「コンセント」と「プラグ」が分けられたのかあ。
また、私なんかが「ソケット」と聞いて思い出すのは、松下幸之助の、
「二又ソケット」
ですが。