新・ことば事情
5232「神さびる」
川本三郎『そして、人生はつづく』(平凡社)を読んでいたら、
「ひなびた寺の方がかえって神さびて見える。」(158ページ)
という一文が出て来ました。この、
「神さびて」
が、わからない。『精選版日本国語大辞典』を引くと、載っていました。
「神さびる」=(1)神らしく行動する。神にふさわしい振る舞いをする。→かんさぶ。(2)神々しい様子を呈する。古色を帯びて神秘的な様子である。古めかしくおごそかである。(3)古風な趣がある。古めかしくなっている。年を経ている。(人間などが)老いている(4)古びて閑静な様を呈する。荒れてさびしい有様になる。」
とあり、さらに「語釈」には、
「『万葉集』では「かむさぶ」がふつうで、「かみさぶ」は挙例が唯一の例である。「かみ(神)の「み」に「美」が用いられるのは上代の特殊仮名遣としても異例。防人の歌でもあり、東国形共考えられる。」
とありました。ふーん。