新・ことば事情
5229「御すんぱいねぐ」
9月3日のNHKの朝ドラ「あまちゃん」。東日本大震災に遭遇した日という設定で、心配していたおばあちゃんが無事を知らせるメールを送って来たという場面。そのメール画面には、
「御すんぱいねぐ」
とありました。その後、
「お構いねぐ」
という文面も。これに関して、
「東北の人は、『文字まで訛る』ものなのか??」
と、ちょっと疑問に思いました。もちろん、関西人の場合はケータイメールの文面で、
「あかんわ」「行かれへんで」「心配せんといて」
など、関西弁をそのまま打つことは当然ありますが、東北の人もそんな感じなんでしょうか?知り合いにメールで聞いてみたところ、
「『方言コスプレ』(「方言」を「コスプレ」の様に演じる手段に使う)的なものであれば、文字も『なまる』し、若い人であればそのようにもすると思いますが、『夏ばっぱ』のような高齢の人がそのようなことをするかは、少々疑問ですね」
という返事が。私も、
「ケータイの文章は『音声言語の文字化』で、『書き言葉ではない』と思いますが、その意識は、せいぜい40代ぐらいまでではないでしょうか?それより上の世代は個人差はあっても、原則、『書く(打つ)文章は「書き言葉」で』と思っていると思うので、『気付かれない方言』以外の『方言』の出る幕はないのではないでしょうかね?」
という返事を送りました。でも、翌日の放送でも、
「お構いねぐ」
が使われていたので(回想シーンで)、原作・脚本の宮藤官九郎さんは「意図的に」使っているのだな。とそういう意味では、
「夏ばっばに『方言コスプレ』を演じさせている」
と言えるのではないでしょうか。
その後、また知り合いから届いたメールでは、
「40歳前後の東北出身女性に尋ねてみたところ、『高齢者でも、ありうるのではないか』とのことでした。そう考えると、高齢女性でもあのような打ち方をすることは、現代ではありうるのではないかと考え直しました」
とのことでした。
やはり「ケータイ」という道具は「書き言葉」ではなく「話し言葉を文字化する道具」と考えた方がいいのかもしれません。
あ、それと、東日本大震災直後から至る所で見かけた、
「がんばっぺ東北」「まげねぇぞ」「おだづなよ津波」
という横断幕やステッカーの文字も、方言でしたね。そう考えると
「御すんぱいねぐ」「お構いねぐ」
も、何の不思議もないのかもしれませんね。